だいすき!絵本

初瀬 恵美




文:岸田衿子
絵:長野博一
出版社:佼成出版


 季節はもう夏へと移り変わってきて、天気の良い日は、毎日暑いですね。
 
 今月は、2歳くらいから楽しめる絵本『なにをたべてきたの?』(文:岸田衿子、絵:長野博一、佼成出版)という絵本を紹介します。
 
 
 主人公は「しろぶたくん」。おなかのすいた「しろぶたくん」は、食べ物をさがして、歩きます。まずはじめに、おいしそうな、きれいなりんごを食べました。するとおなかのあたりが赤くなりました。すれ違った仲間のぶたが「おや しろぶたくんかい? いつもと すこし ちがうみたい」と声をかけますが、そんなことはおかまいなし、まだまだ食べるものを探します。レモンを食べ、メロンを食べ、ぶどうを食べ・・・食べたものの色が体に現れ、どんどんきれいになっていきます。そして最後に食べたのは・・・さてどうなるのか・・?


 この絵本の見所というか、私が好きなところは、まず、余分な色を省き、柔らかなトーンで洋書を感じさせる絵のタッチです。「しろぶたくん」を入れて、全部で7匹のぶたが登場しますが、全部違う種類のぶたたちで、ちぢれっけのぶたやぶちのぶたなどとてもきれいにかつ可愛く描かれています。

 次に「しろぶたくん」の表情です。おなかがすいているときの顔は、とてもあわれなのですが、食べ物にありつき、食べるときは、すごく幸せそうなのです。そのギャップが何ともいえません。特に食べているシーンは、左側のページに顔のアップが、右側に食べ物のアップが描かれており、とてもインパクトがあります。(下絵)





 3つ目は、食べたものの色が体に現れることです。りんごなら赤、レモンなら黄色というように。そのことにより、子ども達は、色をみながら、「しろぶたくん」が何を食べたかを思い出し、文と一緒に「りんごとレモンと・・」と言うことができるのです。絵と文が結びつき、口ずさむということで、読んでくれている人との距離がグーンと近づき、絵本が楽しくなるきっかけが生まれます。

 絵本の最後は仲間のぶたたちが、しろぶたくんに「でも まえより おおきくなったみたい なにと なにを たべてきたの?」と尋ねて終わりです。そこで、絵本を閉じて、表紙を再び見ると、「しろぶたくん」のからだに色がついている絵であることに気付きます(左上図)。その絵をみながら「りんごとレモンと・・・」と、子ども達と再び楽しむことができるしかけになっています。

 このように、絵本の最後の文章と表紙の絵がつながっている絵本もまた、子ども達が大好きな要素の一つです。ぜひご覧になって素敵な絵と文を楽しんでください。





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