だいすき!絵本

初瀬 恵美




『おつむ てん てん』
作:なかえ よしを
絵:上野 紀子
出版社:金の星社

 1月の終わりの土曜日のことです。ちょうど、保育園で2番目に小さい、かりなちゃんの1歳のお誕生日でした。同じクラスにいる3歳になるみれいお姉ちゃんが、『おつむ てん てん』を、かりなちゃんに読んでくれました。

 『 さっちゃんが おつむ てんてん おくちは あ わ わ ・・・あわわわわ 』 と、かりなちゃんの顔をみながら、手で口をパタパタすると、大喜びをして、かりなちゃんも『あわわわわ・・・』とまねをして楽しんでいました。その光景があまりにも微笑ましかったので、今月はこの絵本を紹介したいと思います。

 この絵本のタイトルの上には「あかちゃんとおかあさんのえほん」とかいてあります。文字通り、おすわりやつかまり立ちができるようになった頃のあかちゃんから楽しむことのできる絵本だと思います。繰り返しのある文と、いろいろな動物が登場し、小さな子どもたちは大好きで、暗記してしまうほどの絵本です。

 読むときのポイントは、みれいお姉ちゃんみたいに「おつむ てん てん」や「あ わ わ」という動作を一緒に楽しむということです!おひざの上で読んであげるときは、お子さんの手をもって優しく頭を「てん てん」としてあげたり、お口に手を添えて「あ わ わ」としてあげてもいいですし、顔を見合わせて一緒に動作を楽しんでもいいと思います。このときに、絵本だけに集中するのではなく、動作をするたびにお子さんの目を見てあげてくださいね。だいたい動作の後には、読んでくれている人を見ると思います。手を添えてもらっているときは「なんだか楽しいな」と思ったり、マネをするのが上手になって一人で「あ わ わ」とできるようになったときは「じょうずでしょ?」とアピールしたり、その時どきの子どものいろいろな気持ちをのせて、読んでくれている人を見ると思います。だから「楽しいね」「じょうずだね」という気持ちをまたアイコンタクトで返してあげてほしいのです。声に出して「じょうず!じょうず!」とほめてあげてもいいと思います。1歳前後は、絵本の文を忠実に読むよりも、絵本を通しての関わりを深めてゆくことが、大切だと私は思います。きっと楽しいひとときにもつながり、絵本が大好きになる第一歩にもなると思います。

 私が、こんなことを書かなくても、不思議なことに、この絵本を開き読み始めるとほとんどの人が自然と動作を一緒にしてしまい楽しいひとときを共有できると思います。それは、私たちの遠い記憶の中に「おつむ てん てん」や「あ わ わ」という動作が残っているのかもしれませんし、知らない人でもつい絵本の登場人物のマネをしたくなる優しい絵にその答えが隠されているような気がします。ちなみに、この絵本は、『ねずみくんのチョッキ』を書かれた方がコンビでつくられた絵本なので、その絵本をご存知の方は絵にも少し懐かしさも感じられると思います。
 
 小さなお子さんをお持ちの方におすすめの一冊です。




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