だいすき!絵本

初瀬 恵美



作:木坂 涼
絵:木村しゅうじ
出版社:福音館書店

 からたち保育園には、おっぱいが大好きな子がいっぱいいます。「おっぱい、おっぱい」と言って胸をさわってくる子が沢山いるんですヨ。男の子ばかりか、女の子も・・・。でも、なぜかさわられるのは、既婚の子持ち女性ばかり。子どもながら、若い女性には、遠慮しているのでしょうかね(笑)

 さて、今月の絵本は『みんなおっぱいのんでたよ』(文:木坂涼、絵:木村しゅうじ、福音館書店)を紹介します。
 この絵本は、「○○のこども もう あかちゃんじゃないよ 〜たべてる」⇒次ページ⇒「でもね、ほら あかちゃんのときはかあさんの おっぱいこくこく のんでたよ」と、ちょっと成長した動物の姿と、赤ちゃんの頃を交互に描いた絵本です。

 繰り返しのある文と、優しく暖かいタッチの絵がほのぼのとさせてくれる、いやしの絵本です。特に、子どもたちにおっぱいを飲ませているときの、お母さんの優しい表情と、お母さんのおっぱいを飲んだり、かたわらで寄り添っている子どもたちの表情や仕草は、何ともいえません。心まで温かくしてくれる絵で私は大好きです。

 この絵本は、乳児クラスから楽しめる絵本です。だから、絵本を見始める子どもたちも、ちょうど動物の子どもたちと同じように、いろいろなものが食べられるようになった子どもたちがいます。そして、かつては、おっぱいや、ミルクを飲んでいた子どもたちです。だから絵本に登場する動物たちと、とても近い存在です。いろいろなものを食べられるようになり、成長した自分を誇らしげに思う気持ちと、ちょっと懐かしい赤ちゃんだった頃の自分を重ね合わせて楽しめる絵本です。

 また、絵本の表紙はアライグマのお母さんが赤ちゃんたちにおっぱいを飲ませている絵ですが、絵本の中には、アライグマの親子のお話は出てきません。そして、再び、出てくるのは、絵本を読み終えて、閉じたときです。裏表紙にザリガニと向き合い、威嚇しているアライグマの子どもが出てきます。つまり、読み終わった後に、裏表紙に文はないけれど、絵を見ながら「あらいぐまのこども もう あかちゃんじゃないよ〜。」と話し、表紙に戻って「でもね、ほら あかちゃんのときは かあさんの おっぱいこくこく のんでたよ」とお話しが続けることもできるのです。それもこの絵本の楽しみの一つです。

 この原稿を書く前に次女(小3)に、読み聞かせをしてみました。実は、次女も、おっぱいが大好きでした。さらに動物好きとあり、もうこの絵本がとってもお気に入りになってしまいました。表紙の絵を見ただけで、「わ〜かわいい。毛がふさふさしよる。お手てば、こがんしよる・・略・・」とおしゃべりがとまらないほどでした。読んでいっても、1ページ、1ページじっくり絵を見て、「〜だね。」「みて!○○」と楽しんでいました。このように、いい絵本は、「参考年齢に関係なく、楽しめる」ということを改めて、実感しました。(ちなみに、この絵本の参考年齢は2歳〜4歳と書いてあります)この絵本が次女の宝物になるかどうかは、わかりませんが、大人になっても、宝物の絵本が1冊でもあるというような、絵本に出会えたら、幸せですよね。みなさんは、宝物の絵本がありますか?あったら、ぜひ教えてくださいね。




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