だいすき!絵本

初瀬 恵美

『のどか森のリトル・ジョイ ジョイのおくりもの』
作:柳川茂 絵河井ノア


 今月は、『のどか森のリトル・ジョイ ジョイのおくりもの』(作:柳川茂 絵河井ノア)を紹介します。
 
 こぐまのジョイは、お父さんとお母さんと暮らしています。クリスマスが近づいてきたある日、ジョイは赤と青のきれいな小石をみつけました。そして、クリスマスのプレゼント用に、その石でお父さんとお母さんにペンダントを作りました。
 
 しかし、ペンダントをどこに隠しておくかで悩みます。隠しても隠しても、次々に見つかりそうになり、困ってしまいました。そして、最後に思いついたのは、家の中ではなく、森の中でした。クリスマスの前日、小石の目印をつけて、プレゼントを隠しました。しかし、その夜雪が降ってきたのです。翌朝目を覚ましたジョイは、雪の森へと飛び出し、プレゼントを必死に探しまわりました。一方ただならぬ顔で、飛び出していった息子の姿を父はちゃんと、見ていました。そして、あとを追いかけて行き、声をかけます。ジョイはプレゼントが見つからないことをお父さんに話しました。すると、お父さんは、雪の空に向かって「神さま!ありがとうございます!こんなに こんなに いい子をありがとうございます!」と叫びました。そして、「・・・本当のクリスマスプレゼントというのはね、形なんてなくったっていいんだよ。」「相手のことを思いやる気持ち・・・愛がいっぱいつまっている心・・・それがクリスマスプレゼントなんだよ。」と語りかけます。ジョイの心の中は、なんだかとってもほんわりとあたたかくなってきました。そして「ありがとう パパ! ぼくも今 パパからクリスマスプレゼントをもらったよ!」と答えました。
 
 最後に、ジョイは「神さま、ごめんなさい。ぼく、プレゼントのかくし場所ばかり気になって・・・。きょうはクリスマス。クリスマスはイエスさまのお誕生日だったんですね。おめでとう! 神さまは、ぼくたちのために大切な大切なイエスさまを与えてくださったんですよね。こんなにすてきなプレゼントは、ほかにはありません。ぼくには何もお返しするものはないけど、感謝の心だけはいっぱい持っています。ありがとうイエスさま。ぼく、きょうからは何でもイエスさまにお話します。お祈りもします。だから、いつまでもぼくのそばにいてください。」と手紙を書いています。
 
 今月は、絵本の引用がとても、多くなってしまいましたが、この絵本は、今の私たちに、とても多くのことを教えてくれている絵本だと思いました。年々、クリスマス商戦が早くなり、イルミネーションが華美になる中、ジョイの手紙は本当のクリスマスの意味を教えてくれ、純真な心を感じさせてくれます。また、形あるプレゼントに、目や心を奪われてしまう今の世の中で、お父さんは「形なんてなくったっていいんだよ」と教えてくれました。そして、私の心を温かい気持ちにしてくれました。子どもの中に育っている「相手を思いやる気持ち、愛がいっぱいつまっている心」を喜び、神様に感謝しています。そのことを、少しでもお伝えしたかったのです。ぜひ、一度実際に手にとって、この絵本をご覧になってみてください。 



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