だいすき!絵本       

初瀬 めぐみ



『あっちゃん あがつく
 たべものあいうえお』
原案:みね よう
作 :さいとう しのぶ


 今年の夏、和歌山県に住む、大学時代の友人が、家族連れで熊本へ遊びに来てくれました。再会時間は、わずか数時間だったのですが、話は、つきることなく、とても楽しいひと時でした。そして、お礼にと絵本を2冊送ってきてくれました。その1冊を今月は紹介したいと思います。

 『あっちゃん あがつく たべものあいうえお』(原案:みねよう 作:さいとう しのぶ)

 この絵本は、「あっちゃん あがつく あいすくりーむ」「いっちゃん いがつく いちごじゃむ」というように、食べ物あいうえおの、うたになっています。(下図参照)原案者である、峯陽(みね・よう)さんは、昔からある「ミッチャンミチミチ・・」みないな、からかいや悪口のようなはやし歌ではなく、うたって嬉しくなるようなうたを心がけて、つくったそうです。絵はさいとうしのぶさんが描かれました。下の絵をご覧下さい。「おにぎりふたつ」という言葉から、ラブラブによりそっているおにぎりや、それをほほえましく見守るミニトマト(下図、右絵)などが描かれています。食べ物に命が吹き込まれ、絵により、うたがとても楽しくなっていることが分かると思います。このように、うただけでなく、絵により、別のストーリーも描かれていることは、この絵本をめくるもう一つの楽しみとなっています。

 さらに、もう一つ別の楽しみ方として、こんなこともありました。子どもたちと最初は、「あっちゃん あがつく〜♪」のような調子で見ていたのですが、数ページ進むと「次はなんだろう?」となったのです。例えば「う」で始まる食べ物思い出してください。「うどん?」「うに?」「うり?」などありますよね。この絵本では「うめぼし」でした。考えるとなかなか思いつかない文字もあり、ゲーム感覚で楽しむことができました。峯さんは、「新しい詩を考えたりして、遊んでくだされば幸いです。」と、メッセージを書かれています。そのとおり、新しい詩、さらには、新しい絵などの創作意欲をそそる絵本とも言えます。また、「食欲の秋」にぴったりの、食欲をそそられる絵のオンパレード。私のお気に入りの一冊です。




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