だいすき!絵本

初瀬 恵美

文:谷真介
絵:赤坂三好
佼成出版社


 今年は秋の訪れが早く、夜の空気は澄み渡り、月や星の輝きが美しい季節となりましたね。今月7日は満月です。それにちなみ、今月は『月へいったうさぎ』(文:谷真介、絵:赤坂三好、佼成出版社)をご紹介します。
 「月」というと、日本では、多くの人が「うさぎ」を思い浮かべます。それは、お釈迦様の説話『月へいったうさぎ』が、昔話として伝えられてきたことによるといわれます。その昔話を絵本にしたものが今月の絵本です。良くご存知の方もいらっしゃれば、どこかで、耳にしたけれど、どんな話だったかなーと思っていらっしゃる方もいると思います。

 あらすじは次のとおりです。森に住む動物たちは「次に生まれかわるなら、人間になりたい」と話していました。すると、かわうそが「人間に沢山いいことをすればいい」と教えてくれました。それから、2、3日後、倒れた旅人を動物たちが見つけます。動物たちは、必死で旅人の看病をします。そして、交代で木の実や野菜や魚のご馳走を届けました。うさぎが、ごちそうする番になったとき、何もごちそうするものがなく、途方にくれてしまいました。そこでうさぎは「ぼくの ぼくの にくを、おなかいっぱい たべてください」と、火の中へ飛び込んだのです。慌てて止めようとしましたが間に合わず、動物たちはオロオロするばかり。一方、旅人は、いつの間にかお釈迦様の姿に変わり、自分のために命を捨てたうさぎをお月様にすまわせることにしたのです。そのうさぎの姿が一番よく見えるのは、秋の美しい満月の十五夜の夜だというお話です。

 うさぎが、火の中に飛び込み、「ぼくの ぼくの にくをおなかいっぱい たべてください。」という場面は、とても切なくなります。しかし、十五夜にうさぎの姿を見たとき、うさぎが月に住み続けていること確認して子どもたちは、ホッとできることと思います。科学的には、月に生命体が存在しないことが証明されてはいますが、昔話に思いを馳せてみるのもいいものだと思います。10月7日が晴れていたら、ぜひ、お月見をしてみてください。
 秋の夜風、秋の香り、そして虫の音など、自然を感じながら、美しいお月様が見られると良いですね・・・。 




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