だいすき!絵本

初瀬 めぐみ


『ぶん ぶん ぶるるん』
作:バイロン・バートン
訳:てじま ゆうすけ
出版社:ほるぷ出版

 今月は私が最近出会った『ぶん ぶん ぶるるん』(作:バイロン・バートン/訳:てじまゆうすけ/ほるぷ出版)という絵本を紹介します。
 
この絵本の表紙は、黄、黄緑、オレンジ色がとてもあざやかです。しかし、表紙に並んだ動物や人は、何故か「ムッ!!」とした表情をしています。この表情をみると、ちょっと、とっつきにくい感じもしましたが、一度ページをめくり、その言葉を読み始めると、文の持つリズムの軽快さに、とりこになってしまいました。ユーモラスあふれる絵と、短くてリズムのある文の組み合わせが、最高に絵本をおもしろくしています。

 そのさわりを少し紹介します。「ぶん ぶん ぶるるん みつばち ちくりと おうしを さした。 おうしは びっくり はねまわる。おかげで めうしは ごきげん ななめ。 みるくしぼりのおばさんを みるくといっしょにけとばした。・・・・」はちの一刺しから騒動がはじまり、おうしからめうしに、めうしからみるくしぼりのおばさんにと、次から次へと騒動が連鎖していく。そして、最後には、またみつばちへと話が戻り、終わりのないお話になっています。表紙に戻り、もう一度絵本を読み返そうとすると、表紙はストーリーを表していたことに気が付きました。動物や人が「ムッ!!」としていたのも納得できました。子どもたちも、こんな、くりかえしのある言葉遊び的な絵本が大好きです。数回読めば、表紙の絵を見ながら話が出来るようになり、そのうち、暗記して言えるようになるところがすごいと思います。そんなときは、子どもの頭の中で絵が動いているんですよ。とにかく、楽しく印象に残る絵本なのです。

 ところで、この作者バイロン・バートンさんの名前、どこかで、聞き覚え(見覚え)がないですか?乳児に人気のシリーズ「はじめてであうのりもの絵本」『ふね』『ひこうき』『でんしゃ』『とらっく』の作者です。これらの「のりも絵本」は、日本では、1992年に出版されました。一方、『ぶん ぶん ぶるるん』は、1975年に初版が出版されています。ずいぶん前に出版されていたことに驚きました。きっと私が「のりもの絵本」に出会ったのが先だったのと「のりもの絵本」の方がベストセラーになっているからでしょうね。不思議な違和感を覚えました。しかし、『ぶん ぶん ぶるるん』は、「のりもの絵本」とは、また、違った味のとてもよい絵本です。バイロン・バートンさんのもつ、ユーモラスな世界も楽しんでみてください。 




河内からたち保育園のホームページへ