だいすき!絵本
初瀬めぐみ
『こいぬがうまれるよ』
文 :ジョアンナ・コール
写真:ジェローム・ウェクスラー
出版社:福音館書店
あけまして おめでとうございます。
本年も、よろしくお願いいたします。
今年は戌年。その戌年にちなみ、新年の一冊目は、『こいぬがうまれるよ』(福音館書店)を紹介いたします。
私がこの絵本に出会ったのは、まだほんの少し前のことです。次女が冬休み前に小学校から数冊絵本を借りてきました。その中にこの絵本があったのです。子どもと一緒に読んでみて、ただならぬ感動を覚え、ぜひ紹介したいと思いました。
ところで、みなさんは、犬の出産シーンを見たことがありますか?私はありません。この本は絵ではなく写真で、こいぬの誕生シーン、そして少し成長するまでを、記録しています。その分、出産するところは、生々しくドキリとさせられる方も多いと思います。私の子どもたちは、「わぁー、お尻から生まれてる。何で?何で?きたな―い。」といいました。今まで何度も子どもたちに「ねえ、私たちはどこから生まれたの?」と質問され答えをはぐらかしてきたつけが、ここにきてしまったと、反省させられました。「きたな―い。」という子どもたちに、「きたなくないよ。おしっこがでるところでも、ウンコがでるところでもない、ちゃんとあかちゃんだけが通れて生まれてくる場所があるの。」と答えましたが、子どもたちは「???・・・・。」でした。難しい話です。もっと、小さなときにこの本に出会っていれば、自然に誕生シーンを受け入れられたのではないかと、思いました。
誕生シーンは、そんなやりとりもあったのですが、次のページをめくってもまたまた驚きました。母犬が、歯で袋をやぶり、そこからでてきた子犬と母犬はまだへその緒でつながっていたのです。当たり前のことなのですが、犬もそうなんだということを改めてしらされました。そのへそのおを母犬が噛み切るのです。そして、なめてきれいにしてやってから、おっぱいをあげるのです。日本で出産するほとんどの人は、病院で出産し、へそのおも切ってもらうし、産湯にもいれてもらいます。そして、母子共に健康ならばその後に母乳をのませます。このように、現代日本は生も死も家庭から離れてしまいましたが、基本的には、哺乳類の親子って、同じなんだということを、妙に実感しました。子どもたちもそんな母犬の愛情を次々と目のあたりにして、息をのむほど本に釘づけになっていました。そして、子犬の成長を自分たちに重ね合わせ、やっぱり、「私たちみたーい!」を連発していました。
生命の偉大さと、母親の愛情を実感できる一冊です。ぜひ、一度手にとってその感動を味わってみてください。