運動会を終えて・・・

初瀬基樹


 今年も無事に運動会が終わりました。からたち役員さんをはじめ、クラス役員さんや、その他にもたくさんの保護者の方々にご協力を頂きまして、準備から片付けに至るまで驚くほどスムーズに流れた運動会でした。ご協力、本当にありがとうございました。おかげさまで、とてもいい運動会になりましたね。

 子ども達もよくがんばりました。毎年、運動会前に配布しておりますお便り『からたち保育園にとっての運動会とは』にも書いていることですが、私達の園の運動会は、他の園の運動会とはちょっと違うかもしれません。どっちがいいとか、悪いとかではなく、「何をねらいとしているか」が違うのだと思います。
 
 今年、わが園の運動会を見に来てくださった某園の園長先生(チョイ悪オヤジ風のおしゃれさで一際目立っていましたね・・・)が、「うちの園の運動会に雰囲気が似ていて、ホッとした。子ども達の表情が実に生き生きとして良い運動会だった。いろいろ勉強になった。」とうれしい感想を述べてくださっていました。


 鼓笛(マーチング)やダンスなどに力を入れている園の運動会は、パッと見は、とても見栄えがするかもしれません。しかし、よくよく子どもたちの表情を見ると、あるいは練習風景を見ると・・・「何のために?」「誰のために?」と頭をかしげたくなることが、しばしばあります。私の知り合いの保育者も「園の伝統として、長年やっているから、自分も年長児の担任になったら教えなきゃいけないけど、本当はやりたくない。」と言っていました。しかも、その出来栄えが「自分の保育士としての評価」につながるから、やっぱり必死になってしまって、怒りたくないのに子どもに怒ってしまうこともある・・・と。

 そういう取り組みは、なんだか、「小さな大人」を育てているみたいで、どうも好きになれません。もっと、子ども達が目を輝かせ、子どもらしく、生き生き、のびのびと「躍動」できる取り組みを大事にしていきたいものです。


 運動会は子ども達が身に付けてきた力を「見てもらう場」ではありますが、「見せるためだけの場」にはしたくありません。見に来る大人のための運動会ではなく、やっぱり子ども達自身のための運動会にしたい。だから、わが園の取り組みでは「運動会の練習」という風にはしていません。ご存知のように「ミニ運動会」を数回行います。子ども達にとっては、毎回、本番なのです。年長さんぐらいになると、やっぱり「かっこいいところをみんなに見てもらいたい」という思いも生まれてきて、お家の方が見に来る運動会に備えて練習しようという気持ちも出てきますが、本来、子どもは「今を生きる」存在です。「今が楽しくなければ、先のことを楽しみにはできない」のです。この年齢の子ども達にとってみれば、練習もまた楽しいものでなくてはならないと思います。発達の姿からみても「毎日毎日反復練習をして・・・」「きつい練習に耐えてこそ・・・」なんていうのは、まだ難しい年齢だと思います。

 運動会に限らずですが、やっぱり、子ども達には行事を楽しみにしてほしいし、「がんばったら出来た!」という達成感を充分に味わって欲しいと思います。そして、行事が終わってからも「やっと終わった。もう練習しなくて済む・・・」ではなく、「ぼくもあれやってみたい」「この前は失敗したけど、もっと上手にできるようになりたい!」そのような思いが生まれてくる行事であってほしいと思っています。


 ここ数年、毎年つくし組が取り組んでいる跳び箱。昨年はどちらかというと「高さへの挑戦」でした。それはそれで多くの方に感動を与え、すばらしい取り組みになりました。さらに、今年は「高さ」ではなく、「演技としての美しさ」、個人競技ではあるけれど、取り組みにおいては、教えあったり、励ましあったりといった「仲間を思いやる気持ちを育てる」といったことも大事にしたいという思いから、「つくし組全員が、跳び箱をきれいに跳ぶ」ことをねらいとしました。今年もまた、さらに良い取り組みになったと思います。


 3歳以上児が異年齢混合クラスになって2度目の運動会。まだまだ、職員同士もどう動けばいいのか、異年齢混合クラスとして行事にどのように取り組むべきか、悩むことも多いのですが、「年齢、クラスを超えて、職員全員が、どの子も自分の園の子どもとして関わっていこう。」そんな思いで取り組んでいます。大人にも得手、不得手があります。また、子どもとの相性のようなものもあるのかもしれません。同じ指導法でも違う大人が少し関わるだけで、これまで出来なかった事が簡単に出来るようになることもあります。また、今年度は特に、子ども同士で「もっとこうしたほうがいい」など言い合っている姿をよく見かけました。そして、跳べなかった子が跳べるようになったときなど、自分のことのように喜んでいる姿もありました。リレーなどにおいても、バトンゾーンの導入により、より高度な作戦会議が必要になり、子ども達同士での「お互いを思いやり、チームとして力を合わせて、より上を目指そう」という話し合いもできるようになったとのことです。

 こうした子ども達の育ちは、あまり表には見えませんが、こういう姿こそ、取り組みのなかで、本当に大切にすべき姿だと思います。


 子ども達の運動会前後の様子を含め、運動会を御覧になったご意見、ご感想、ぜひお聞かせ下さい。




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