ご入園、ご進級おめでとうございます。
初瀬基樹
新年度を迎え、新入園の子どもたち、在園の子どもたち、ともに新しい環境、新しい担任に戸惑いを見せながらも、また一つ大きくなった喜びとこれからどんな楽しいことが待っているのかという期待で胸を膨らませていることと思います。子どもも大人も新しい生活に慣れるまでは、先の見えないトンネルに迷い込んだ気分になることもあるかもしれません。しかし、この先には、必ず光が見えることを信じて、ともに歩んでいきましょう。子育ては、決して一人ではできません。お互い迷惑かけあって、お互い助け合って、「おたがいさま」の精神で楽しく子育てしていきたいと思います。
今年度より母の跡を継ぎ、私こと初瀬基樹が「主任」となりました。また久しぶりに午前中だけではありますが、すみれ組の担任として毎日保育にもあたります。気持ちも新たにがんばりますので、どうぞよろしくお願いします。
さて、『からたちガイドブック』にも掲載しておりますが、再確認という意味で、もう一度お伝え(お願い)したいことがあります。それは、私たち保育者を呼ぶ際に、「○○せんせい」という呼び方をしないでくださいということです。
私たちの園では、職員同士でも「○○先生」と呼び合うのをやめるようにしています。(以前の癖で、つい「先生」がついてしまうこともありますが・・・)子どもたちも私たち保育者を「○○っピー!」とか、「○○ちゃ〜ん」とか、私なども「モトキー!」「モトキッキー」などと呼ばれています。初めてうちの園に来られた方などは、少々びっくりされることもあるようですが、このことについては、私たちが考える「保育園のあり方」、そして、「保育者と子ども」や「保育者とおうちの方々」の関係についての真剣な思いが込められているのです。
私たちの考える理想の保育園とは、「小さな学校」ではなく、「大きな家庭」です。そこにいる「大人」と「子ども」の関係は、学校のように「教える側」と「教えられる側」とに分かれた関係ではなく、「一緒に生活していくなかで、ともに悩み、ともに育ちあう関係」でありたいのです。そして、おうちの方々とも、「"子ども"を真ん中に、対等な立場で"子育て・人生・地域・社会"を語り合う関係」でありたいのです。
確かに、私たちは保育の専門性を学んで保育士となったわけですから、ある意味では専門家です。しかし、この園のように若い保育者も多い中、お父さん、お母さん、ましてや、おじいちゃん、おばあちゃんは人生の先輩であり、「我が子を産み、育てるという経験」からすれば、子育てにおいても先輩である場合が多々あります。また、私たち保育者も一人の人間として、子どもたちから、あるいは、お父さん、お母さん、おじいちゃん、おばあちゃんたちから、たくさんのことを学んでいきたいのです。子どもたちが見せるさまざまな姿、うれしいこともあれば、困ることも当然あります。そんな姿から、また、ご家庭から受ける報告、相談、苦情、ご意見などなど、すべてが私たちにとって学びの機会なのです。保育園側の都合を一方的にご家庭に押し付け、協力を求めるのではなく、かといって保育園側が、子どもやご家庭の要望に全て応じるわけでもなく、「園と家庭のお互いにとって、そして、何よりも子どもたちにとって、何が最善なのか、どうすることが必要なのか。」を一緒に考えていきたいのです。ですから、私たちは、おうちの方々とも、あくまで「子育てのパートナー」でありたいのです。「先生」という垣根を取り払って、一緒に子どもを育てている同じ立場の「人」と「人」としてお付き合いしていきたいのです。
子ども達が、私たち保育者を「○○!」と呼び捨てにすることも多々あり、おうちの方はドキッとされるようですが、どうぞあまり神経質にならないでください。私たちは、この幼児期において「形式だけのしつけ」は必要ないと考えています。もちろん、「○○さんって呼んでね」などといった言葉がけも、時にはしますが、むしろ、保育者が子どもから呼び捨てで呼ばれることは、それだけその子が保育者に対し、心を開いてくれている(何でも素直に言い合える関係)という証でもあります。「形」より「中身」で尊敬される大人になりたい、「教育」より「共感」「信頼」によって子どもたちを育てていきたいと思っているのです。そのために、形だけ大人を「尊敬させる」のではなく、本当に心から尊敬される大人になれるよう、私たち大人が努力し続けなければならないと思っています。
このような私たちの思いをご理解頂き、おうちの方々もどうぞ遠慮なく「○○さん!」と呼んでください。
ともに考え、ともに悩み、ともに成長しながら、一緒に子育てをしていきましょう。