■ 沿　　革　　　　（ページ先頭へ）

　従来から黒色クロムめっきは耐熱性、密着性、防錆力、硬度が特に優れためっきとして開発され第二次世界大戦中、機関銃の銃心内部に黒クロムめっきを施す事により、連射による熱のために銃心が「ナマ」ってしますのを防ぐ重要な機能めっきとして実用化されていました。

然し乍ら、当時の黒クロムめっきは酢酸塩類によって析出させるクロムめっきで、色調が灰黒色無光沢な皮膜であるために、戦後利用度が薄れ見捨てられていました。

当社では、この素晴らしい特性を持つ黒クロムめっきに目を付け、長期間に亘る改良研究を続け、前記の特性に加え色調が光沢のある優雅な漆黒色を呈し、然も電流や電波に全く抵抗の無い新しい黒色クロムめっきを開発し、昭和３５年４月から「きよしブラッククロム」の名称で生産を開始しました。

早速に警視庁で使用する張込み用通信機（トランシーバー）のアンテナに採用され、その指定工場となる他、ミシン、カメラの品名マークに、又メガネの金属フレーム、高級家具の飾り板、蝶板、自動車のフラッシャーレバー、ラジオ、テレビ部品、止めビス、蝶子、ナット類、医療機器・器具、フライパン等の焼き鍋類、万年筆ボールペン、文具、オートバイのメーター枠、等々続々と採用され、その特性を活かして防眩用に耐熱、防錆用に通電通電波用等目的用途に応じ広く利用され好評を博しています。

特にメガネの金属フレームは、汗や強烈な直射日光にさらされる過酷な条件下に、全く変色せず素晴らしい防錆力を発揮するとして高く評価され、フランスと西ドイツから特に名ざしでの受注があります、又他の類似品と分別するためブランド名を明記する様にとの要望により「エルゴール、ブラックック」のブランド名で現在輸出しております。

註「エルゴール」の名称はElegant、Galvanization、Color、優雅な色彩の電気めっきの意味を込めて「Elgor」と名付けたものです。



■ きよし黒クロムめっき（エルゴール、ブラック）の浴成と特質　　　　（ページ先頭へ）

　浴は無水クロム酸と硝酸塩類○とからなり、生成皮膜は金属クロムと酸化クロムとの共折皮膜と考えられています。

めっき浴は光沢浴と半光沢浴の２種があり、それぞれ特質を持ち用途により使い分けられます。
電流密度は　40Λ/d�u、めっき厚0.2μ〜0.5μ、浴温は15℃〜20℃が最良です。

　　◎ 光沢浴は弗化物を含み次の長所短所が有ります。

　　　　● 長所
　　　　　　�@ 光沢、色調共、極めて良好です。
　　　　　　�A 黒色皮膜の生成が、極めて早い。
　　　　　　�B 表面硬度が硬いので、耐磨耗性に優れています。
　　　　　　�C 防錆力、耐熱性、密着性、通電通電波性に優れています。

　　　　● 短所
　　　　　　�@二度付けが出来ない。
　　　　　　�A 硬度が硬いので厚く付け過ぎるとビリ易くなる。
　　　　　　�B 凹部等複雑部のつき廻りが悪い。

　　◎ 半光沢浴は光沢浴よりもPHが高く次の長所、短所が有ります。

　　　　● 長所
　　　　　　�@ ダブル付けが可能で厚付けをしてもビリが無く、密着性は抜群です。
　　　　　　�A 複雑部へのつき廻りが比較的良好です。
　　　　　　�B 光沢浴に比して硬度が軟らかいので、、延性に富み、屈曲性が優れています。
　　　　　　�C 防錆力、耐熱性、通電通電波性に優れています。

　　　　● 短所
　　　　　　�@黒色皮膜の生成が光沢浴に比して遅い。
　　　　　　�A 表面皮膜に若干のカーボンが残るので拭き上げが必要。
　　　　　　�B 浴温の変化に敏感で液温管理に注意が必要。

　　◎ アルミ、チタン、を除き殆どの金属に直接めっきする事が出来ます。

　　◎ 耐熱性と折曲げに対する密着性は生地直接にめっきした方が強い。
　　　　（これは下地に施しためっきにより左右されるからです。）



■ 目的用途を満たす利用例　　　　（ページ先頭へ）

　　・ 医療器具（半光沢）手術を行う際の防眩用、煮沸消毒で変色剥離がありません。
　　・ メガネフレーム（光沢）装飾用、汗や直射日光に対し変色や錆がありません。
　　・ アンテナ（半光沢）夜間防反射用、電波抵抗がなく、伸縮の際摩擦に強い。
　　・ 小ネジ類（光沢・半光沢）装飾用、締付け等脱着に傷が付きにくく、耐磨耗性が大きい。
　　・ 焼鍋類（半光沢）防錆、防コゲツキ用、耐熱性が大きく、変色がありません。
　　・ マーター類（ガラスブチ）（半光沢）装飾、防眩、防錆用、ガラスを入れ120°にカシメる屈曲による密着性が大きい。



■ 公的規格と試験結果　　　　（ページ先頭へ）

　　◎ 現在アメリカ規格MIL-C-14538Aを適用しています。
　　　　�@ 塩水噴霧試験　　（塩水５％）　　５時間　　（下地より錆発生不可）
　　　　�A 破壊試験　　　　（屈曲）　　　　180°　　　（ハガレ　不可）
　　　　�B 過熱試験　　　　（500℃）　　　１時間　　（変色ハガレ　不可）
　　　　�C 光沢反射　　　　13.4°　　　　　梨地　３°

　　◎きよし黒色クロムめっきの当社での試験結果（参考）
　　　　�@ 塩水噴霧試験　　（塩水５％）　　200時間　　異常を認めず
　　　　�A 破壊試験　　　　（屈曲）　　　　180°　　　　　　〃
　　　　�B 過熱試験　　　　（500℃）　　　3時間　　　　　　〃

　　（但し、上記試験品は鉄鋼直接に0.3μきよしブラッククロムめっきを施したものです。）


　　尚、きよしブラッククロムは自動車業界（日産）弱電業界（ソニー、ナショナル）その他、色々な業界に於て、
　　独自の試験方法によってテストを受け、品質の優秀性を立証して戴いており、多くの部品図に指定を受けております。



■ 黒色クロムめっきとは　　　　（ページ先頭へ）

　　アメリカのMIL規格によれば、黒色クロムめっき皮膜は金属クロムの結晶と酸化のクロムとの共積皮膜であると言われ
　　ています。
　　従って未完成皮膜（鑑賞色…虹色等）は酸化膜ですから通電性に乏しいが、黒色の完成皮膜は普通のクロ
　　ムめっきと遜色なく通電性は良好です。



■ 黒色クロムめっき工程　　　　（ページ先頭へ）

■ 沿　　革

■ きよし黒クロムめっき（エルゴール、ブラック）の浴成と特質

■ 目的用途を満たす利用例

■ 公的規格と試験結果

■ 黒色クロムめっきとは

■ 黒色クロムめっき工程