ウルトラマンクロノス 第4話【Cthulhu
登場人物紹介
★★高浪 亜季★田町 香子★相良 俊夫
STORY
堰需シモン病院の地下に忍び込んだ二人が知った事実は、彼女たちの想像を超えていました。
クトゥルとルルイエの存在、”C”と呼称する”クトゥル”に対抗する為に、秘密裏に設立されたMAITの存在。
そして、堰需市街地爆発事件の被害者たちの多くに”C”が融合しているという事実。
もしかしたら、知り合いに”C”が存在するかも知れないという恐怖に、二人は愕然としたのです。
だが、もう一つ驚かされたのは、”相良”が、クロノスの存在を知っていたという事・・・
それは、一体何故だろうか?

「それが、君たちと”C”との戦いだったのだろう?ウルトラマン・・・」
”相良”の問いかけに無反応のクロノスの意識・・・
彼は、それと関係なく、言葉を紡いでゆきます。
「ルルイエの光は、闇の存在を復活させたんだろう?そして、銀河で戦いとなった・・・」
「結果、その戦いで、闇を封じ込めたが、君たちも大きな傷を負った・・・」
次々と語られる内容に、”亜季”が突然話を遮るのです。
「ちょ、ちょっと待って!”相良”さん、どうしてそんな事がわかるんです?」
彼女は、”相良”の存在に混乱していたのです。敵なのか味方なのか・・・
彼女の問いかけに”相良”は、明瞭に応えます。
「私達もルルイエの光は、観測していたんだ。当然銀河方向の事象も確認できていた・・・但し数年遅れて」
MAITは、観測により銀河系宇宙での異変を感じ取っていました。
しかしあまりにも遠い空間の事象なので、注意深く観測する事しかできませんでした。
ところが、数年後の今になって、ルルイエの異常事象が、日本で確認されたのです。
MAITは、その事象にウルトラマンの存在が、関与していると考えていました。
以前、地球防衛軍の遊撃隊を支える”赤い巨人”の存在が、報告されていたからです。
そして、彼が飛び去った方向が、先の事象現場と一致していたからでした。
「これは、僕達の推測だ!応えてくれ!」
彼の呼びかけに、遂にクロノスが応えます。
≪君たちの推論は、正しい。我々は、奴らとの戦いに敗れたわけではないが、大きな痛手を負った≫
≪私も、その戦いで傷を負い、”亜季”と同化する事で生き延びている・・・≫
初めてクロノスの意識を感じ取った”相良”と”香子”は、驚きの表情を隠しません。
「それでは、彼女の”C”反応は、君のものなんだな・・・」
”相良”は、”亜季”から察知される”C”反応が、通常と全く異なる事に興味を覚えていたのです。
あの日、あの時、事件に巻き込まれたはずの女子高生が無傷で生存している。
そして、”C”反応があるにも関らず、人間的生体を保ったままである事に。
MAITは、彼女の保護を考えたが、”相良”の強硬な提案で、彼女に直接コンタクトを行う事にしたのだった。
彼女が何かに守られていると推測した”相良”。
そのために、彼女を監視下に置いていた事を告白するのだった。
そして、今日出逢う事に成功したのだった。
クロノスと呼ばれるウルトラマンの存在に・・・
「クロノス、君は地球人の味方として、手を貸してくれるのか?」
”相良”の問いかけに、クロノスは躊躇無く応えるのでした。
≪私は、”亜季”と共にある。彼女の意思が、私の意思でもある。だから彼女と話して欲しい≫
クロノスの返答に、”相良”は、”亜季”を見つめます。
「君は・・・君は、我々に力を貸してくれるだろうか?」
その時でした、基地内に鳴り響く警報音。
”相良”の携帯にも緊急指示が転送されてきます。
物々しい雰囲気に圧倒される彼女たち。
「何が一体起こったの?」”香子”の問いかけに”相良”は応えます。
「郊外の森で、”C”による犠牲者がでたそうだ。すぐに出かけるつもりだ」
部屋を飛び出そうとする彼に、”亜季”は、叫びます。
「私達も連れて行って!!」
その言葉に笑顔で返す”相良”でした。

"相良”の用意した4WDで、現場に向う3人。
”香子”は、車載の装備に興味があるようでした。
「君は、こういうものに興味があるんだね」”相良”が話しかけると”香子”は、恥ずかしそうにします。
「”香子”は、コンピューター関係に強いんだから♪」友人を自慢げに話す”亜季”。
「彼女の能力は、確認済みだよ」
”相良”は、コーチの情報をホストから消去する為に進入した彼女の腕前を褒めます。
そして、”香子”の援護をするように、”相良”のグループが、補佐していた事も伝えるのでした。
「やっぱりね・・・あんまりにも進入が簡単だと思ったんだ」
残念そうな”香子”に”相良”は、笑顔で返したのです。
車は、森に進入するとMAITの先遣部隊と接触します。
その隊員の一人が、”相良”に敬礼する姿がありました。
”亜季”は、その姿から”相良”が、高官であると感じます。
「現場は、ここだ。”C”が複数体、活動しているらしい・・・君たちは僕の側を離れないように!」
車を降りて、先遣隊と共に森を捜索する3人。
「”亜季”くん・・・君は、彼の力を恐ろしいと思った事はなかったのかい?」
”相良”の思いもかけない質問に、戸惑う彼女。
「突然そんな事を言われても・・・彼は、私を助けてくれたんだし・・・」
そんな彼女の姿に羨ましい表情の”相良”
「君たちのように、信じあえる異星人ばかりだと良いのに・・・」
小声で呟いた彼の言葉が聞き取れなかった”亜季”
「”相良”さん・・・今、なんて・・・」
彼の真意を聞き取ろうと、話しかけようとした”亜季”に静かにするように言う”相良”
「何か・・・いるようだ・・・」
部隊の隊長からの合図で、周辺への警戒隊形をとる先遣隊。
”C”の恐怖で、彼らの武器を持つ手に汗が滲んでいました。
突然、木々の一つが揺らぎ、蔓が何本も飛び出してきたのです。
からめとられる先遣隊の隊長。その首筋にいきなり触手が刺さると血液を抜き取ってゆきます。
見る見るうちに白く変色する隊長の姿に、周りの隊員の恐怖は、抑えきれなくなってしまいます。
その後は、暴発したように銃撃戦となってしまったのです。
ある者は、”C”に捕獲された仲間をたすけようと銃撃を繰り返しますが、仲間に銃撃したり・・・
ある者は、呆然としているそばから、からめとられたり・・・
ある者は、仲間を見捨てて逃げ出したり・・・
先遣隊は、一度の襲撃で指揮系統を粉砕され、その戦闘力を失ったのです。
「何てことだ・・・」
対”C”の訓練を十分こなしていると思われたMAITの部隊でしたが、”C”の恐怖は、それを凌駕していたのです。
”相良”は、まず彼女らの安全を確保する為に、後方への後退を決意します。
MAITの先遣隊が、交戦している間に・・・
「あの人達を助けないんですか?!」
”亜季”の問いかけに”相良”は、説得するように話します。
「君たちが死ねば、希望の一つが失われるんだ!行け!ここで”C”を食い止めるから!!」
後ろ髪を引かれる思いで、後方へ退く二人。
その姿を確認した”相良”は、懐からMAITシュートを取り出すのでした。
「さて、こいつの威力がどの程度か、実戦で試すとするか・・・」
MAITシュートを手に、”C”の触手を撃ちぬいてゆく”相良”
彼は、二人とは別方向に走り始めるのです・・・自分を囮にして・・・

”相良”の言われたとおり走る二人・・・
だが、”亜季”は立ち止まってしまいます。
「”アキ”?」声をかける”香子”に彼女は、自分の考えを”香子”に伝えるのでした。
「ここで・・・ここで逃げても奴らは、また現われるわ・・・」
「逃げても、もう解決しない・・・」
彼女の決意を理解した”香子”は、”亜季”の手を握り、まっすぐに目を見据えます。
「そうね・・・そうよね。もう知らない世界だからと、目を背けていられないものね」

”香子”には、逃げるように言う”亜季”だったが、彼女は同意しません。
「わたしも、あなたの仲間なの・・・それに・・・」
「それに・・・?」
「”アキ”・・・自分で”相良”さんの所に戻れるの?」
”香子”に指摘され、自己嫌悪に陥る”亜季”
彼女は、方向音痴でもあったのです・・・

先遣隊は、ほぼ壊滅し、一人戦う”相良”にも疲労の色は隠せませんでした。
「一人じゃ無理かな・・・彼女たち逃げ切れたかな・・・」
木陰で身を隠し、”C”の意識を感じ取ろうとする”相良”
その彼も一瞬疲労で、注意がそれたのです。
”C”の触手が、彼に取り付こうと背後に迫っていたのです。
「”相良”さん!危ない!!」
”C”の狙撃に、身を張って庇う”亜季”。
怪物の無数の刺が、木々に突き刺さります。
間一髪”相良”は、”C”の攻撃を避ける事ができたのです。
「”亜季”くん!?どうして戻ってきた?」
ここで逃げても、事態の解決は無いと判断した事や、”C”を倒す為に自分が必要な事を説明する”亜季”
「とにかく、ここを離れよう!」
3人は、”C”の追撃を振り切ろうと走り出しますが、徐々に追い詰められてゆきます。
状況が緊迫している事を、十分感じている”亜季”と”香子”。
「”相良”さん!」「このまま・・・やられちゃう??」
”C”は、樹木を擬態として、活動していたのです。
触手が、伸縮を繰り返し、隠れている彼女たちを探しています。
「ダメ・・・見つかる・・・」
小声で叫ぶ”香子”の体を支えるように”相良”が守ります。
「大丈夫だ、動かないで・・・、奴は動いているものしか見えないようだ・・・」
確かに彼が言うとおり、”C"は、触手で動体物を探しているようでした。
”香子”の目の前を通り過ぎる触手・・・
”亜季”は、”香子”を守る為に、自分が囮になることを決意します。
「”相良”さん!”香子”をお願い!!」
彼女の意図を悟った”相良”でしたが、彼女を止める事はできませんでした。
このままだと一番餌食になりやすいのは、無防備な”香子”だと、彼も判っていたからです。
黙って頷き返す”相良”。
その横を通り過ぎる触手・・・
一瞬の間をおいて、逆方向に飛び出す”亜季”
その動きを捉え、追跡し始める”C”
「さあ、追ってきなさい。あなたの獲物は、こっちよ!」
”亜季”は全力で、山道を駆け下ります。
バレー部で鍛えた肉体と、クロノスとの共有で得られた力で、超人的な走りを見せる”亜季”
だが、やはり人間の肉体を母体としている為、”C”に追いつかれてしまいます。
触手にからめとられる”亜季”
その感触に恐怖を覚える彼女の意思に反応して、体が輝き始めるのです。
光が収まると、そこに居たのはウルトラマンクロノスでした。
絡まった触手を引きちぎると、”C”との戦いに挑むクロノス。
異なる生命体の生死をかけた戦いでした。
どちらも、共存が許されない存在ゆえに、どちらかの消失をもってしか終わる事の無い戦い・・・
そして、その戦いの行く末が、人類の命運を決める事にもなるのです・・・
クロノスを叩き潰す為に巨大化する”C”
同じ様にクロノスも巨大化します。
そしてクロノスは、FDSを展開し、戦いによる被害を最小限にするようにしたのです。
そんなクロノスには、関係なく突進してくる”C”
お互いに組み伏せ、叩きのめす彼らの戦いに、驚愕の色を隠せない”相良”たち。
そこに現われる2体目の”C”
2体の”C”に挟撃されるクロノス。
だが、ウルトラマンクロノスは”C”の一体を叩き伏せ、ついで、もう一体を蹴り上げます。
吹き飛ぶ巨体に、木々が押しつぶされてゆきます。
”C”の体から伸びる触手を叩き切るクロノス。
左の腕が輝きだすと、スラッシュボルトが発動し”C”を粉砕するのでした。

2体の”C”を葬ったクロノスは、”亜季”へと姿を変えるのでした

「うわさ通りの力だったな・・・ウルトラマン」
”相良”は、地球防衛軍に噂されていた”赤い巨人”の伝説を語り始めます。
1年の間、侵略の脅威から地球を守ってきた謎の異星人の存在を・・・。
「MAITは、彼の正体を推測してきたんだ。そして、また戻って来てくれた・・・」
今後起きるであろう”C”との戦いに、ウルトラマンは、欠かせない存在でした。
「頼む、ウルトラマン。人類に手を貸して欲しい」
「そして、”亜季”くん。君にも手伝って欲しい」
頭を下げて助力を願う”相良”の様子に、”亜季”と”香子”は、言葉も無く立ちすくむだけでした・・・。

予告
★MAITと”C”との戦いに協力する事になった彼女ら。だが、新たなクトゥールの脅威が、彼女たちの身近な存在から迫りつつあったのです。次回”友情のアタック”に御期待下さい。
  
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