ロマンドリップ

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PCゲームの感想

痕 リニューアル版

  • メーカー:Leaf
  • ジャンル:AVG(ビジュアルノベル)
  • 発売日:2002/07/26
別居中だった主人公の父親の突然の事故死から早一ヶ月。

 せめて四十九日の間くらいはと、長い大学の夏休みの終わり、主人公はかねてから予定していた旅行を取りやめ、田舎にある父親の実家へと訪れた。

幼い頃に両親を亡くし、主人公の父親に扶養されていた従姉妹たちも、悲しみに明け暮れていた日々に決別し、徐々に明るい笑顔を取り戻しつつあった。

 心に深い痕を残したまま、主人公を優しく迎え入れてくれる彼女たち。だが事件は、そんな彼女たちの心を、冷たく非情に引き裂いていった…。

(オフィシャルサイトより)


Leafのビジュアルノベルシリーズ第2段。
自分の中で鬼という存在が現れ、そして自分の精神を蝕もうとする鬼と戦いながらその謎を一つ一つ解明していくという伝奇モノです。一度そのキャラのシナリオをクリアしたら終わりと言う訳ではなく、プレイするたびに選択肢が追加され更にストーリーが展開していくというマルチエンディングシステムです。


感想〜



繋がっていく点と点、真実を知るたびに面白くなっていく

自分は攻略チャートを見ながらゲームを進めていきました。
各キャラ毎のシナリオでもそれぞれに一応物語は完結しますが、それでも謎が点として残っていきます。
ところがゲームを進めていくうちにその謎が少しずつ解明していき、点と点が繋がって少しずつ一つの線となって行く様子はプレイしていて気持ちのいいものでした。

物語の時間軸上で見ると、パラレルワールドという平行世界が何本にも生じていくため、ゲーム側の視点で見れば進行に矛盾が生じるのは仕方のないことです。
しかしユーザーサイドから見るとその時間軸を超越してプレイすることができるために、彼らだけでは見出せない一つの流れを掴むことが出来ます。
つまり、千鶴、梓、楓、初音などのキャラクターを通じてその背景にある物語の真実を見出していく。キャラクターはあくまでもプレイヤーに真実を伝える伝道者であり、そしてプレイヤーは彼らの紡ぎ出す言葉を受け取り、一本の線に繋げていく。キャラ重視のモノとは異なり、ゲームというよりかはどちらかというと小説を読んでいる感覚に非常に近いです。伝奇モノというジャンルで引き寄せられたのもあるけれど、こういったスタイルものをプレイしたのってあまりないために、オリジナルは古いゲームであるけれど逆に新鮮さを感じました。


またひとつ終えるたびに選択肢が追加されるために何回も遊べるというマルチエンディングシステムを利用し、例えばとあるキャラにおいて物語を敢えて謎を残したまま中途半端に終わらせ、プレイヤーに再プレイを促すスタンスも面白いと思いました。俗にいう、マンガの週刊誌等でちょうどいい場面でまた来週、みたいなやつ。そんな感じです。




キャラの顔は脱力系^^;

リニューアル版になり一部シナリオ変更と共に変わったのがキャラの絵。キャラクタを新たに描き直したと聞きます。自分はオリジナル版をプレイしたことがないために詳しくは分からないけれど、オリジナル版をプレイしたことにある人に聞いたところ、リニューアル版はかなりダメーポらしいです。
リニューアル版のキャラの絵に関しては、個人的印象としてはかなり脱力した感じ。
どのキャラに対しても自分を主張する感じをまるで受けない。たれ目キャラが多いというのも理由の一つかもしれません。特に長女千鶴なんて完璧にやる気のない顔をしているものだから、シナリオが骨太のくせに顔を見るたびに思いっきり脱力してはの繰り返しでした。
体のバランスもあきらかにおかしいが・・・・

以前どこかでオリジナル版の絵を見たことがあるのですが、めちゃくちゃクセのある顔でかなりのインパクトが出ていた記憶があります。それと比較した場合リニューアル版はかなり温いんじゃないか?と思います。ユーザーの間でも発売前からかなりの不評を買っていたらしく、そのことを考えると何かその辺うなずけます、はい。




Hシーンがこれまたエロかった

何ていいましょうか・・・この辺は感想といわれても素直にこれくらいしか言えないのですが。
お姉系、女子高生、そしてロリィ×2人。必ず誰かしらのHシーンにお気に入りが生じると思います。あと、CGモードの内容が思った以上にHシーンのものが占めているのには驚きました。
ぶっちゃけシナリオ重視のADVなんてエロいCGはちょこっとだけだと思ってましたから。

ちなみに個人的なお気に入りは楓とのHシーン。しかもぶっ掛けるほうが自分としてはヤバいくらいにエロかったですよ〜


・・・・・すみません・・・。




キャラ萌えよりシナリオ。VN本来の道をいくスタイル。

前半は日常生活のキャラとの掛け合いを描き、そして後半は鬼の伝説を中心としたシリアスモードというオーソドックスな展開、しかし完璧に二分するのではなく序盤からいきなり伏線を張るなど、日常生活の中にも少しずつ謎を絡ませていく形が絶妙でした。そんな訳でなかなかに読み込まされました。

楓、初音という完璧にロリィなキャラを用意したのは小さいの好きな自分にとっては正直めっちゃおいしいものでした。ただそれに負けない強力な内容がかなり引っ張ってくれます。
萌え萌えな絵じゃなくシナリオで引っ張っていく。萌え<シナリオ という構図は、ビジュアルノベルとして本来の道をいくスタイルものだと思います。
個人的には初音に激萌え。あのキャラとあの性格は違反。完璧に堕ちましたよ(モヘヘヘヘ




感想として

このゲームでは鬼という、現実世界では伝説とされている存在が登場します。そして、そのこととそれと町で起こっている殺人事件とが関連しているという事実を知ったときから突入する非日常の内容にかなり引き込まれました。今まで隠し持っていた種を発芽させるということにある種の恐怖感を覚えずにはいらせません。
そしてマルチエンディングを利用して一つずつ真実を紡いでいく様は本当に面白いものでした。

そしてこのゲームを面白いと感じた一番の決定打が、4人の登場人物の中で最後にクリアした初音シナリオ。このシナリオの一番ラスト、謎の光が降りてきた時にプレイヤーにポツリと囁くように出てくる主人公の言葉。それはまるで痕という世界を完結させまいとする鬼たちの最後の抵抗を受けているようで、その含みのある主人公の言葉にある種の衝撃を受けました。

痕が面白いといわれ、ファンに受け入れられている要因。それは極太のシナリオもあるけれど、最後の最後まで緊迫感を外さずに終えていく、あの雰囲気もあるのだと思います。
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