ロマンドリップ

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PCゲームの感想

家族計画

  • メーカー:D.O.
  • ジャンル:ハートフルコメディADV
  • 発売日:2001/11/02
幼いときに両親を失い、家族と言う温かさを知らずに生きてきた主人公沢村司。
ある日、バイトの帰りに行き倒れになっていた中国少女と出会う。
同居するハメになり、一緒に生活していくうちに司は、様々な問題を抱えた人たちと出合う。

彼らは皆家族というものがなく、生きていくのにも必死。
そしてある者がいった。「お互いの欠如を相互補完することにより生きていく」
それが相互互助計画、家族計画。



感想ー。

家族計画という名の共同生活。つまりは、まったく見ず知らずの赤の他人同士が集まり、一つ屋根の下お互いが抱えている問題点を他の人間が補うという生活。

数あるシナリオの中でも、この作品は笑いあり涙ありでかなり面白いものでした。
しかもそれの配置がうまく、ニヤリと笑わされる部分もあれば、心にじわりとくるシリアスな部分もありで、全体的に文章にリズム感が出ているために非常に読みやすいものでした。


なかなかにイケたのが父親役である寛。ヤツの面白さには正直言って脱帽でした。
暇さえあればギャグを飛ばしているような人間ですが、家族計画で一番面白かったのが彼であり、彼の存在無しにはこの作品の評価も異なっていたことでしょう。
ゲームをプレイする前には、デモムービー見ながら「エロゲに父親が出てきて大丈夫なのだろうか」と疑問を投げかけていたのですが、それは完全に前言撤回。絶対爆笑します。
そしてそんな寛に泣かされたりもしました。元はマジメな企業戦士であった故、後半、シリアスモードのときにマトモな寛が語りかけてくる言葉はそれこそ胸をガンガン打ってきました。 数あるエロゲの中でも、父親に泣かされたと言うのは初めてです。

ギャグでいえば、寛のほかにも司のバイト先の店長である劉さんとの掛け合い。いや劉さんが(゚∀゚)イイ!のですよ。顔はメチャクチャイケメンだったりしますが、かなり砕けた性格で、いつかは司をいろんな意味で取り込もうとするその意気が良いです。個人的には結構好きなキャラ。リアルではあまり関わりたくないですけどね^^;



この作品が最終的に目指しているもの、それは絆と言う強い結びつき。
見えないところで少しずつ形成されていく“家族”との繋がりは、正直言ってラストにかなりの涙を誘います。
順調に進んでいるように見えても、どこかしらには必ず綻びが生じる。そんな紆余曲折を経て描かれるエピローグはどのキャラに対しても涙なくしては語れないと言う出来。
普通こう言った感動系のモノって、最後にブワッとくる場面が多いのですが、プレイ途中で涙がホロホロ出てきたのは久しぶりです。というか泣きながらプレイしていたような感じでした。
各キャラ毎に用意されたドラマは、どれをとっても胸が詰まるもので、特に青葉ルート、そして最初にクリアした春花ルートはかなり泣かされました。
「人は一人では生きていけない」という言葉をよく耳にしますが、これほどまでにそれを実感させてくれたものは初めてです。


そしてもう一つ、この作品で外せないものがOPとED曲。最高です。
OPの方は前にデモムービーを落として見ていたのですが、初めて見たときにあまりの素晴らしさに鳥肌が立ちました。
歌詞自体は文章のレベルで見ればたいした事が無いのですが、しかし曲がめちゃくちゃ良くて、特にBメロからサビにかけての旋律は今でもゾワゾワと来るものがあります。
EDもそれなりに良いものです。まずはイントロの部分、つまりはゲームをプレイしていて導入の役割を果たすところなのですが、プレイヤーの心が詰まっているときに曲が流れ出すやり方がうまかったですね。歌詞の内容も作品と密接しているのですが、これもこれで単体として聞くのにも良いものです。

もともと味のある2曲ですが、ゲームのプレイ後に聞くとプレイ前に比べ印象が変わりました。OP曲では文章のレベルが云々と言いましたが、プレイ後に改めて歌詞を見ると、作品のテーマにあまりにもぴったり当てはまり、折れの中では名曲であったこの2曲が超名曲へとランクアップしました。
ちなみにどちらの曲も100回以上聞きました。それでもまったく飽きが来ない出来に別の意味で感動します。



それでは以下、各キャラごとの感想。攻略順に載ってます。

高屋敷春花

本名・王春花(チュンファ)。日本名は、はるか。高屋敷家の三女。
中国から母親を探すために日本に不法入国した少女。司に拾われた。
天真爛漫で、いつも笑顔を絶やさない。
高屋敷家に住み始めてから、ひとりであちこちに出かけるほどの行動派。
純粋無垢な性格故か、司や末莉の言動に汚染されつつあるが、本人には大した自覚がない。
そしてかなりの大食家。他に、按摩がめっちゃうまい。


個人的な感想として、ちゅ・・・ちゅんふぁー!!!という感じ。
はるばる母親を探す為に、危険を犯してまでやってきた少女。はじめは言葉がなかなか通じずたどたどしいところもありましたが、個人的にはそこが一番ナイスなところでもありました。

家族計画では高屋敷家の中で一番明るい性格で、ムードメーカーというよりはある意味ムードブレイカーと言った方が的確かもしれないけれど、純粋に明るく、そして強く振舞おうとする姿に折れの心は胸キュンしてました。不安なところが何もない、そんな印象を受けつつも内に秘める想い。
一番の目的は実の母親に会うこと。高屋敷という「家族」の中で、時に明るく、そして時に母親の温もりを探しながらの日々。

いつもぽけーっとした表情が個人的には好きですね。彼女本来の性格が表れている、おそらく故郷では見せなかった笑顔かもしれません。日本に来て、そして高屋敷の家に住んだことでできた心の余裕が見せたもの。

生みの親を見つけたのにも関わらず、それでも彼らの幸せを想い、会わないことを心に決めた春花に胸が痛んだりしました(つД`)

最終的に国際的な規模にまで発展するなど、自分の予想よりもかなり話がでかかったのには驚きましたが、結果的には一人の男と一人の女性との強い絆という、小さくても強固なモノへと収束したことに感動をっ 感動を!!(つД`)

高屋敷準

本名・大河原準。高屋敷家の次女。
司と高校の時の同級生で人見知りが激しく、人と話すのが苦手で、引っ込み思案。
以前司とは「契約」というだけの関係であったが、司がそれ以上に関わろうとした為に以降姿を消した。
主食はブロック型栄養食。双子の妹がいる。

ショートカットは属性でない折れですが、ショートもいいんじゃない?と思ったキャラ。
そっけない態度を見せつつも、ときおり見せる準なりの“優しさ”にグッと来たりも。

準ルートでもっとも来るところが、あのオムライスのシーンでした。
ウン・・・(グスッ)・・・ここまで、(グスッ)食事をするということに涙したことはない。(´Д⊂)
あのオムライスがッ!!くうぅっ!!
あのっ・・・!あの「おいしい」って台詞がッ!!!・゚・(つД⊂)・゚・。

こんなにも当たり前のこと。僕らにとって、当たり前すぎる、そんな日常の光景。
そんな当たり前のことを経験できなかった人がいる。今まで感じたことのなかった温かさがある。初めての感覚、初めての味、初めての、家族―――

自堕落に生きている折れがバカみたいだ。なんてのは大げさかもしれないけれど、人から見れば小さいこと、だけど彼女にとっては生涯忘れられないこと、家族計画がこうして一人の少女を救ったこと、うー・・・なんかゲームたった今終えたばっかだから感情の赴くままに書いちゃってますが、幸せって良いものですねぇ。 



一旦涙が出ると堰を切ったように・・・とはこのことですね。
止まらない止まらない。シナリオの一文一文、準の涙、そして暖かく迎え入れようとする「高屋敷家」の人々。どれもがすべて折れを感動に導く要因であり、そして感動のスイッチが入った折れはそれこそ体の水分を全て搾り出すかのごとく・・・・おぉぉ・・・

始めに出会ったときの準とは裏腹の、彼女が持っていた「目的」。
その目的をかなえる方法が歪んでいたとしても、なんつーか、その心に激しく折れの心が打たれたシナリオでした。
(つД`)

高屋敷末莉

本名・河原末莉。高屋敷家の四女。
とある事情でホームレス生活を送っていた。
素直な性格で、いろんなことを自ら行なおうと頑張っている。
ただ、素直すぎる性格故か青葉に嫌われ気味。自己責任を強く感じてしまうために、時々自分を責めたりも。
ボーイズラブが好きで、SMややおいに強い興味がある。
ロリ好きなヲタには殺人的なキャラ(ぉ

高屋敷家では一番年下のキャラでしたが、やることはしっかりとやろうとする良いキャラでした。
特に家事に関しては、真純さんと一緒に料理を作ったりなんなりと、末莉ちゃんいい奥さんになるよ〜的な感じのキャラでお父さんお嫁に出したくないっと思うほど可愛いかったです。

家族計画末莉ルート、他のキャラもそうですがこの末莉ルートも泣けました。
まったくの赤の他人であった彼女とは、最後には強い絆で結ばれ本当の家族になることができた、これ以外の泣ける理由なんてありません。
しかし末莉ルート、感想は?と聞かれて言えること、それは

Hシーンがエロかった(´Д`;)

ってことでしょうか。
そんなに激しく乱れているわけではなく、むしろ末莉はめちゃくちゃ大人しい。だけど末莉の台詞だとかシナリオがめっちゃエロくて、小さい子好きなヲタであれば、否、どんな奴でさえもその理性が破壊されることは必至。
何度も何度もしたくなる司の気持ちが痛いほど分かります。
エロシーンの濃度が薄いこのゲームにおいて、末莉のHシーンは家族計画の中で最も抜けるんじゃないかと思います。(ぉ

いや、もちろんこれだけじゃなく、肝心のシナリオの方も素晴らしい。
「お金なんか要らない、一緒にいて幸せに暮らすことができればそれ以外に求めるものは何も無い。」
それを感じさせてくれます。

うん、これも良いシナリオだった。(´Д⊂)

高屋敷真純

本名・板倉真純。家族計画では母親役。
以前知り合った男と結婚詐欺にあい、橋の上から自殺しようとしたところを助けられる。
気弱で主体性が無く、鬱になりやすい。
家族計画では高屋敷家の母親役として、主に家事全般を行なっている。
たまに財布が無くて喫茶店から出られなくなることもしばしば。



感想を言うと一番普通のシナリオ。
さすがに30にもなっちゃうと萌えね〜って訳で、まあシナリオもそこそこ、CG枚数もそこそこ。
気弱で主体性がないというところから、プレイヤーの立場からしてみれば真純さんウジウジすんなよ!と思ったりもしました^^;

それよりも真純さん、絶対に司のこと狙っていたような・・・
まあ30といえども、女性としてみればこれからが盛り、濃密なフェロモンがムンムン・・・彼女が本気出せば若い男の子はクラクラくるかもってな感じ。

ただ、やっぱ家族計画を通してみれば真純さんは「よき母親」として、その命を果たしていたように思います。
鬱になりやすい性格ではあるけど、時には明るく振舞い、時には司に色仕掛けをかましながらも必要以上には距離を縮めない。
もう少し芯が強ければ、本当の意味で理想的な母親になれたかも、と感じました。


そして寛のことはうまく手なずけていたようにも思いますが・・・どんなもんでしょ。
でもやっぱ折れとしては年下の方が・・(ぉ  

高屋敷青葉

本名:同じ。家族計画では長女役。
高屋敷という大きな財閥の社長令嬢で、祖父が残した一軒屋家を相続して住んでいる。 クールで攻撃的な性格で、不器用と言った面もある。



個人的には一番とっつきにくいキャラ。もともと住んでいた家にある日いきなり他人が住み始めるんだから当然かもしれないけど、周りの人間に対して無関心だわ超がつくくらい自己中心的で傲慢な人間。

性格的にはキツいキャラでしたが、シナリオ的には一番泣けました。
単に探しものというと、Kanonのあゆも7年前のそれを必死に探していたのと同じく、家族計画の青葉ルートでも「大事なものを探す」というのがありましたが、異なる点で言えば探し物を見つけてからが真の物語であり、そこからが本当の青葉ルートでの始まり、という点です。

悲観的なストーリーでプレイヤーを一度凹ませ、そこから真の事実を伝えるに至る経緯が個人的にかなり「来る」ものであって、後半、特に真の事実を知った瞬間辺りからあとはひたすら泣いてました。
「泣く」と言う行為は、折れにとってキャラクターの心理状態を最もシンクロさせやすいために、例えば悲しいという感情によって涙しているときなんか、個人的にはかなりググッときます。そのため、滅多に・・・というか全く泣かない青葉が涙を見せたことによって、かなり感情移入してました。

青葉ルートでは祖父の存在が物語の重要なファクターを占めているのですが、この祖父がかなり泣かせてくれます。
だが祖父自体は既に他界しているので、直接的には関わってくるということはありません。あるのは祖父が遺したものだけ、それを主人公を通じて語りかけてくるものがなかなかにプレイヤーを揺さぶってきます。

こういった背景もあってか、Hシーンも密度的にすごく濃いものを感じました。
めっちゃ感動して気分が高まっているときにHシーンに突入したわけだから当然と言えば当然なのですが、その内容自体も濃く、こちらとしても末莉ルートとは別の意味でかなり刺激してくれました。
末莉ルートでは完全にロリータ思考でヤっているのに対して、青葉ルートではそれこそ動物の持つ繁殖行為に近いものがあってこちらはこちらでよし・・・・といった感じです。

家族計画では、一番心に残るシナリオでした。
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