ロマンドリップ

GAME

PCゲームの感想

朱 -Aka-

ねこねこソフトのゲーム。前作のみずいろとは対称的な作品で、今度は荒涼な砂漠を舞台としたシリアスノベル。
全4章構成で(若干違うが)、第1章が導入、第2,3章で物語を進めつつ少しずつ謎を解き明かし、最後にグッとまとめてくる作りになってます。

みずいろマンセーであった私はこの作品は発売前から早速期待しておりました。購入はもちろん初回限定版で。かるく何度かの発売延期のあと、ようやくでたので月姫ほったらかしで朱を最優先でプレイ。異様なまでに少ない選択肢はいかにゲーム性を排除し、シナリオに集中させるかというねこねこのやり方です。なのでひたすらトゥルーエンドエンドめざし爆進することができました。

プレイし終えてみて思ったことといえば、そだねー、作りがかなりしっかりしていたと。
というのは、そのクォリティの高さ。シナリオはもちろん抜群ですが、画面をシネマサイズにし、2行字幕表示に加え、それに負けず劣らずのCGとさらに情景を盛り立てるオーケストラ使用のBGMが、各章の終わりで私の涙を誘っていました。むしろかなり泣ける。
今回はシナリオ重視のためあまりキャラが目立って立つような事は無かったのですが、それ故かねこねこソフトはサブキャラに萌えを重視してきました。宿屋の娘とか最高。

今回少し気になったのは、ゲーム1週目では第1章ヒロインのアラミスの声が出ないということ。ねこねこが言うにはサクサクとプレイができるようになっているのですよとか言ってましたが、実際のところどうなんでしょ。でも声無しでもシナリオは全然オッケーでした。なんつーか、こっちのほうが朱っぽい雰囲気が出ていたので。
他の章ではもちろん各ヒロインはきちんと声が出ていました。ほっほう〜、チュチュたんは日和声ですか。

あとシナリオに関しては、もの凄く泣けます。私の場合各章の終わりには涙無しではいられなかったのですが、特に一番最後のところは号泣です。
話が終わりに近づくにつれ、なんか感動しそうな感じがしていたのですが、いったんヤられると涙が止まらなくなります。

なので感動を求める人にはいいかもと思います。

あといつも通りなのですが、えちぃシーンは本編では薄いです。オマケモードは熱いです。
まじかるさんも出ます。両方。

そんなわけで以降各章の感想へ。むしろこっちの方でダラダラと言ってますんで。

第一章 Arrems [アラミス]

「そ、そして、貴方を還すものです・・・」

最強の眷族と呼ばれし「還す者」のアラミス。そして、此の者を護る「守護者」のカダン。

舞台は荒涼として乾燥しきった砂地。そこで人々を「還す」ために旅を続ける二人。そしてふたりは「ルタ」を目指して歩いていく・・・。第一章は、朱という作品の入り口に立っているような感じでした。まずはこの二人を登場させることで、これから分かっていくであろう朱のさまざまな謎を置いていってます。

まあ一章をまずやってみて、思ったことは「全体的に暗い印象を受ける」ということです。初回プレイ時はヒロインアラミスの声が出ないということもありますが、どちらかというと静かに淡々と進んでいきました。
あとアラミスの性格も少しあったかと。アラミスはおとなしい性格だったから・・・もう少しはじけて欲しかったです。

ただ、第一章の完成度はかなり高いものと思います。砂漠を旅しているときに流れるBGMや各種の演出、美麗なCGなんかは朱を一つの作品として仕上げてます。

ストーリーとしては、謎が多いです。まずは「還す」ということ。これは人の記憶を消すということなのですが、果たしてその目的とは一体何なのか?また、それに関して○十年という表現も出てきたが、一体これは何を意味するのか?そしてそれは「ルタ」からの義務である。果たしてなぜなのか?など、まあ始まりということなのでいろいろ気になっている次第です。

一つ不満があるとしたら、第一章の終わり方でしょうか。突然にふっと終わったのでアレ?とか思いました。もう少しはっきりして欲しかったです。

あ、もちろん感動しましたよ。最後でふたりが向き合っているときなんかは(´Д⊂)(´Д⊂)!!あ、アラミスゥゥ!!

第二章 Chu-Chu [チュチュ]

「ごっはん、ごっはん〜、おいしいごはん〜」

ねこねこ比ポンコツ度3割減と言っていましたが、私にとってはもう少し減っていたかなと。いやしかしプレイする前からなんとなく予想していましたが、まさかひよりんの声とわ。「わわわ」とか「わわわ」とか「わわわ」とか。あからさまに狙っている確信犯。

しかしポンコツ度が減少してしまったために、ストーリーは中盤若干読んでてかったるかったです。毎日が同じ展開だとプレイしていて結構退屈。でもアル=イェドの町にいた宿屋の娘に激しく萌えてました。

だけど優柔不断というかなんというか、ブライタの木を埋める所とか目的の場所とかが行ったり来たりしていたのが気になりました。どっちなのかはっきりしろと。
結局はこっちのほうを選びましたね。そして還されて・・・やはりというかなんというか、やっぱりあの終わり方はなんだったんだ。 一章同様、また中途半端に終わった感じで。やはり続きが気になります。

全体的な面から、第二章は・・微妙といったとこです。チュチュは彼女でまあ良かったのですが、第二章の印象は人によって違うかも、です。

第三章 Fou [ファウ]

「だから、このささやかな恵みは、みんなで分けたいんです」

ファウたん最高

ま、私から言わせて見ればファウたんは良かったですよ。かったるかった第2章と比べ、第3章は展開にあきることも無く、どんどん読み進めていくことが出来ました。これはファウが一途であるということもあり、はじめからはっきりとした大きな目標があったためだからだと思います。
また、第1章や第2章とキャラや舞台などがリンクしている部分があり、プレイしていて、おっと思う部分もありました。話は各章独立していましたが、完全というわけではなく、むしろリンクしていることによってストーリーが出来ていました。

で、いつもなぜか中途半端に終わるシナリオ、この第3章でもやってくれました。なんというか、ラストでファウが癒しの力を使ったあのシーン、キャラの声は同じだけど話し方が違うということに、はじめ一瞬何のことやら。どうやら朱は突然に終わるやり方がデフォのようですな。(そんなこと気にしてらんないくらい激しく泣いてましたが。)
表面的に文章を読んでいると、最後のこの展開が一体なんだったのか分からないまま終了してしまいます。だからかなり集中していないと難しいかと。

しかし癒しの力を持つファウ、その代償は大きかった。これははっきりと描かれているわけではないが、もし私の想像どおりならば、ファウの使ったその力の代償は大きすぎるぞオイ!


で、ファウたんというキャラについて。

も最高。(ただそれだけです。分かってください。)

朱、第四章 Rutent [ルタ]

「心の中で生きている限り、それが己の証。」

よし!最後の第4章だ!とか思ったらその前にインタールードとして「朱」の章がありました。
ここは短いので、第4章と一緒に感想をあわせて。
朱では1章より再びアラミスたちが登場。4章ではルタが登場しました。

朱では1章の終わりからスタート。1章を終えたときから予想していたとおり、カダンは還されませんでした。
朱ではアラミスが失った過去を取り戻すために再びルタの元へ行くことを決意。途中、チュチュたちにも会ったのですがひたすらにルタの元へ向かっていくだけなので、これといった感想もないですね。

で4章なのですが、はいはい来ました。「彼女」の登場です。
ここで名前を出すとネタバレしそうなのですが・・・あぁそうか。ゲーム感想のトップに「ネタバレしまくり」とか書いたんだっけ。ならいいや。

そう、ラッテ。いろいろと謎に包まれていたあの小さい小娘です。 ストーリーはルタとラッテが出会う所から始まりました。ラッテか・・・うん、小さいラッテか・・・



よし。 (理解る人だけ)



いやいやそんなヴァカなこと言ってるより感想を書かねば。
そうだなぁ。感想としては、けなげに旅を続けるラッテたんが良かったかなぁと。それはもうまもなく目が見えなくなってしまうというルタに、外の世界を見せてあげたいというマィラの願いと、あと半ば強引に旅をしようという強気なラッテのせいでもあるのですが。
4章でもいつも通り淡々と物語は進みました。まあ雰囲気は同じということで。
結局終わりはルタとラッテが崖から落ちるという所で終了。またもや中途半端に(というかものすごく唐突に)終了しました。朱お得意の終わり方で4章が終わるとは・・・あれ・・・いや待て。



このゲーム4章までのはずなのにこんな所で終わってどうする。



続くっ

銀色

「・・・ルタは、幸せを願っています」

いよいよ朱も終わりを迎えました。そう、最終章です。
最終章では一人のヒロインをずっと追いかけるのではなく、アラミスらとラッテ(ルタ)たちのたびの様子を交互にシャッフルしながら進む展開のため、場面の切り替わりに対応が迫られました。特に後半になってくると切り替えが頻繁だったため何がなにやら。
しかしここまでくると第3章までの展開やら人物像やらが分っているので、あとはストーリーを徹底的に追いかけるだけ。ルタの元へ行って帰ってこられた者はいない・・・というなか、それでもルタの元へ向かおうとするアラミスたち。そして、自分の目的を果たすべく旅を続けるルタと、それについてきたラッテ。この二人のヒロインはその旅がどことなく似ているような気も。


客観的に見てみると、最終章ではストーリーの核心を突くというのもありましたが、どちらかというと過去と現在をシャッフルさせることにより演出効果を高め、まあなんだ、感動を呼び込ませるというか(実際に自分そうだったし)そんな感じでした。
これはルタたちとアラミスたちを重ねることで両ヒロインの目的がしだいにゴールに近づいているということを示させ、そしてアラミスらがいよいよルタに会うことが近づいてきたということをはっきりと示すための演出だったと思います。
今までプレイしたゲームでは、一人のヒロインに対するストーリー展開だったために、こういった場面を切り替えるという演出はなかなか面白いものでした。(なんかもうプレイしていて、「あ、これくるな。絶対泣いちまうぞ」とか思ってたし)

こんな感じでプレイしていきましたが、結局最後にアラミスらがルタの元へ到着したあたりからはもう凄い泣きまくりでした。も本当の意味で号泣ですよ。
もうルタが還されるときなんかあ!!!

・・・もう何もいえません。そのくらい泣いてました。


そしてそんなこともつかの間、273年(=101067days)の物語が終了し、しかしまだ余韻が収まっていないときについに最後の場面。
結局この物語のすべてを繋ぎ合わせたのはアラミスでした。そしてアラミスは人の記憶を「還す」眷属。
そう、まだ物語は終わってなかったのです。
アラミスは第1章ではうまく作るのが難しかった砂の城を作り、そして海岸で向き合う二人・・・

プレイしたひとは理解るでしょう。そう、第1章のラストと同じあの場面です。



泣 き ( ま く り ) ま し た 。



たぶん、というか確信的に、最後の展開はもの凄く綺麗にキマってくれたと思います。
いやはや、もう脱帽で。
戻る
since 03/04/04
© 2003-2004 2SAKURA
All Rights Reserved.