網膜光凝固治療による網膜病変の治療

網膜光凝固治療は、眼科病変の治療に有効な治療方法ですが、患者さんによっては痛みを強く訴える方も見受けます。

ほとんどの患者さんで、点眼麻酔のみで治療を行います。


レーザー光線の誤射により視力を失った報告も見られますが、協力の得られる患者さんでは問題は生じません。

網膜光凝固治療の適応疾患

網膜光凝固治療中

網膜剥離裂孔

加齢黄斑変性

中心性網脈絡膜症

網膜静脈閉塞症など

種々の網膜脈絡膜疾患

が挙げられます。



糖尿病網膜症に伴う糖尿病黄斑症

糖尿病網膜症の中でも、黄斑症は視力が著しく低下する疾患です。

黄斑症による視力低下に対する光凝固治療は、黄斑部に滲出性変化がおよぶ前に治療する必要があります。



視力低下はなく、糖尿病の眼底検査時に発見された黄斑症

黄斑部に病変がおよんでいない。


網膜光凝固治療によって浮腫は消失、視力は良好

この時期に治療するのが理想です。


網膜光凝固治療を受けていたが、しばらく眼科受診せず

糖尿病黄斑症のため視力低下を自覚し受診した。

糖尿病黄斑症の網膜光凝固治療後

治療によって黄斑部の滲出性変化および視力も改善した。

糖尿病網膜症

糖尿病網膜症は糖尿病が発症してから10年以上の経過で、見られるようになる。

内科治療中も、3〜6ヶ月毎の眼底検査が、失明予防のために必要です。



糖尿病網膜症は、両眼に発生することが多く、内科の血糖コントロールが極めて大切です。

この患者さんも両眼に網膜症が発生し、軟性白斑が多発しています。

初診時は左下に見られるような白内障のため網膜光凝固治療が不可能でした。

上の眼底写真は白内障手術のあとの写真です。



白内障のため光凝固治療が十分にできません。

糖尿病網膜症の経過観察には、白内障手術が必要です。


網膜光凝固治療後

白斑・出血は消失しました。


光凝固治療前

糖尿病網膜症の光凝固治療は、網膜全体に凝固斑を

作成します。


光凝固治療後

光凝固の際には、凝固斑が重ならないようにし、

強すぎない事が重要です。


網膜光凝固治療前

強い滲出性変化の糖尿病網膜症


網膜光凝固治療後

強い浮腫は消失している。


加齢黄斑変性症

50歳以上の患者さんにみられる、中途失明の原因疾患です。

早期には光凝固治療・末期には手術治療や放射線治療が適応となりますが、予後不良の疾患です。



黄斑部新生血管による出血と高度な浮腫がみられる。

蛍光眼底検査による脈絡膜新生血管の確認が重要です。

蛍光眼底撮影で確認した新生血管に光凝固治療を行う。

新生血管の消失により出血や浮腫は消失した。

網膜静脈分枝閉塞症

網膜静脈閉塞症は、高血圧症や動脈硬化症が原因となる疾患です

黄斑部に出血や浮腫が生じると視力低下が起こります。

内科的治療とともに、浮腫軽減のために光凝固治療が必要です。

黄斑部に強い浮腫が存在する場合には、硝子体手術の適応となります。



網膜耳下側領域・黄斑部に

出血が見られる。




網膜光凝固治療後に

出血は吸収し淡い凝固斑が

見られる。


黄斑部領域に白斑を含む

浮腫が見られる。




網膜光凝固治療後に

白斑・浮腫は消失した。




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