ゴールドクリフ
GOLD CLIFF
ゲーム&ウォッチ/任天堂


Written by Gen

超難解!!


電子ゲームの中ではかなり有名なゲームウォッチシリーズのひとつでありながら、限りなく無名なゴールドクリフ。
洋ゲーマニアの私にとっては愛すべきゲームのひとつなのですが、外人向けに作られたゲームだけあって、その内容は実に強靭な精神力を要求されるゲームでもあります。

映画インディージョーンズの主人公のように未知なる世界に挑戦する探検家達。
普通の人なら全く知らない場所に一人でいるだけで大変心細くなるものですが、彼等は勇敢に誰にも知られざる世界に単身で挑戦し、謎を解き明かしていきます。
このゲームの主人公もそのような勇気ある探検家の中の一人のようです。彼を待ちうけているのは、その奥に眠っているであろう莫大な財宝なのか、それとも悲劇的な結末なのでしょうか。


記憶力+反射神経!


上下2画面のマルチスクリーンだ

ゴールドクリフは海外のみ販売されたマルチスクリーンの1機種で、上下2画面をフルに活かした遺跡探索ゲームになっています。
一部地域以外は正規な国内販売のないゲームなので入手するまでは魅力的なゲームでした(入手後は・・?)。
背景のツタの絡まる石壁に刻まれた謎の紋様が、なんとも言えない不思議な雰囲気を漂わせていて、古代のマヤ文明やインカ帝国の遺跡のような印象を受けます。

ゲーム内容は一見単純なアクションゲームのように見えますが、実は頭脳派アクションゲームだったりもします。
勇気ある主人公(プレーヤー)の探検の目的は、同じマルチスクリ−ンシリーズのドンキーコング等でおなじみの十字キーとワンボタン(ジャンプ)の操作を駆使して、2画面にわたる石壁をひたすら上に登って最上部を目指すのですが、梯子も鍵縄も持たない主人公は素手と素足で険しい垂直の石壁を登らなければなりません。
しかしゲームをスタートするとなぜか石壁の所々に、足場のような板が下から上に次々とテレポートしてきては消えていくのを繰り返すようになり、プレーヤーはこの足場の上に主人公ジャンプさせて順番に飛び移る事で上に登る事が出来るようになります。
おそらく遺跡の財宝を守る為に当時の最先端の技術を導入して造られた防御システムなのでしょう。記憶力と正確な飛び移りのタイミングを要するためかなり大変です。
ファミコンゲームのロックマンにも同様な消える足場の連続飛び移りの場面があるのですが、その難しさは実にうっとうしくて頭に来る腹立たしいシステムです。

このようなシステムのゲームが嫌いな方はこのゲームをプレイしない方が無難です。
きっと貴重なこのゲーム機破壊の欲望にかられることでしょう。


鍵をGETしろ!


鍵を運べ!

なんとか上画面まで登るとてっぺんに出口の扉があり、主人公がここにたどり着く事で1面クリアとなるのですが、やはり簡単にはクリアさせてはくれません。
上画面の右端と左端のどちらかに扉のカギが置いてあり、まずはこのカギをてっぺんの扉まで運ばなければなりません。

運ぶといってもカギの置いてある場所に行ってカギに触ると自動的にカギは次の場所に移動してくれます。
こうやってカギを1〜2回移動させると、ようやく出口の扉にカギが移動し、カギの下でジャンプして左キーを押す事により扉が開いてめでたく脱出できるのです。

ともかくこうして2面クリアすると3面目には最上部の扉の所に、宝箱を抱えた奇妙な遺跡の怪物が登場します。どうやらこの遺跡に眠る黄金を守る番人なのでしょう。


VS番人!!


ひと突きで死ぬボス(?)。

ここで遺跡の番人との壮絶な闘いがあると思いきやなにもありません・・。
今までカギがあった所に今度は短剣があるので、これまでと同じように短剣を最上部に移動して遺跡の番人を短剣で一突きするとあっさりやっつけてしまえます。

いちおう遺跡の番人は左右に移動しているので、短剣の真上にきた時にジャンプして上キーを押してやっつけましょう。 
なんとも弱い遺跡の守護神でガッカリします。


こうして遺跡の謎を解明した主人公は黄金の入ったと思われる袋を手に入れ、飛び上がって喜ぶのでした。(表示の関係上、主人公が左右に揺れているだけなのですが)

これで1ステージクリアとなりますが、さらに難易度が上昇したステージの過酷な謎に主人公とプレーヤーは挑戦し続けるのです。




コンティニュー機能搭載!


下に落ちれば恐怖のカニが・・・

ゲームが進むと足場の出現パターンの難易度が徐々に上昇していき、時には絶対に不可能とも思えるような間隔で足場の板が出現するようになります。
途方にくれてここでゲームをやめてしまうプレイヤーも多く、私も長くその内の一人だったのですが、実はジャンプボタンを押すと普通のジャンプ、長く押すと大ジャンプが出来て長い距離の足場を楽々と飛び移ることがようになっていました。
説明書にはちゃんと書いてあるのですが、海外版の説明書は英語なので読む気も起こらなかったのと、ボタン長押しというテレビゲーム風の操作が電子ゲームあるとは思いもよりませんでした(^^;

ところでこのゲームはジャンプを多用するゲームなので、頻繁に足場から落下してしまいます。たとえ最上段から落下しても主人公は死なないのでミスにはなりませんが、下画面の最下部には「恐ろしいカニ」が生息していて、このカニが2ひきセットで歩いてきて主人公を苦しめます(歩いて来るだけなのにけっこうよけにくい)。
ついうっかりと足場から落下して、このカニに触れてしまうと主人公は絶命してしまい1ミスになります。慎重に大ジャンプで避けましょう。

高難易度の面になってくると、足場の出現パターンに頭を悩ませている内に今いる足場から落下してカニに殺されてしまうことが多いので、すぐにゲームオーバーになってしまいます。これでまた最初のステージからスタートなら恐らく2度と遊ばなくなってしまうゲームなのですが、それを見越してか任天堂はなんとG&Wに"コンティニュー"機能を搭載させたのです。
これにより従来のゲームAとゲームBの2種類のゲームはなくなってしまいましたが、何時でも何度でも挑戦できるコンティニューは機能とても便利で、時間をかけてじっくりと遊べるゲームになっています。当時の電子ゲームでも画期的なこの機能は箱にも大きく「コンティニュー」と書かれてアピールされています。
ただ注意しなければならないのはゲームスタートボタンとコンティニューボタンを押し間違えないようにしなければなりません。誤ってスタートボタンを押してしまうとまた最初からやり直すことになります。
私はこれで2度と遊ぶ気をなくしました(^^;


後期G&Wの憂鬱


ゴールドクリフのパッケージ

ゲームウォッチはシンプルでテンポのよいゲームという印象がありますが、海外販売のみのゲームウォッチにはこのゴールドクリフのようにファミコンゲームに近いゲーム内容が多いようです。

ゴールドクリフでは出来る事はただ足場にジャンプしてひたすら登ったり落ちたりを繰り返すしかなく、敵もカニだけしか出てこないし、しかもそのカニすらも倒すことができないので遊んでいるとかなりストレスがたまります。

同じファミコン的なゲームならもう二工夫くらいはして欲しかったゲームですね。
制限の多い電子ゲームではもはやアイデアも限界だったのでしょうか。
この辺にファミコンに押された後期のゲームウォッチの悲しい現実が見えてしまっていたような気がします。





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