スヌーピー
SNOOPY
ゲーム&ウォッチパノラマスクリーン/任天堂


Written by T鈴木


不振のシリーズ


「次世代のゲーム&ウォッチ」として、任天堂が満を持して送り出したテーブルトップシリーズが、全くと言っていいほど不振に終ったのは皆さんご周知のことだと思われます。
自然光を取り入れ、鏡に反射させることによって、フルカラー液晶を実現。これまでのシリーズにはなかった美しいメロディ効果。アーケード筐体を思わせるアップライト型の筐体&プラスチックのボタン。乾電池を使用し、何と3年以上持続すると言うバッテリー
何から何まで革新的に思えたのですが、いかんせん値段が高すぎた!
世の中が安値で色々なゲームが遊べるカセット交換式テレビゲーム機に移行する中、単体で7800円もする電子ゲームは、やはり消費者からも小売店からも、すこぶる不評だったようです。

カラー液晶


カラー液晶だ!

そんな不振に終ったテーブルトップシリーズは、結局「セメントファクトリー」「ドンキーコングJr.」「スヌーピー」の3機種で終ってしまいましたが(海外では「ポパイ」も発売)、そこで素早くユーザーの要望に対応するのがさすが任天堂!
同年8月には、早くもその改良版である「パノラマスクリーン」シリーズを発売しました。

具体的にどの辺が改良されているかと言うと、まず本体を折畳式にして、全体的にコンパクトになった。
乾電池からLR44型のバッテリーに戻し、値段も通常の6000円と、安くなった・・・・などです。
それでいて、ゲーム内容は全く変わっていないのですから、まさに「改良版」と言うに相応しいシリーズですね。

基本的に構造はテーブルトップと同じなので、ゲームも移植が中心となっています。
今回は、そのシリーズ第一弾である、海外の人気コミック「ピーナッツ」のキャラゲーム、「スヌーピー」を紹介しましょう。


音符を叩こう


同じ色の足場で叩け!

シュローダー(注:人名)がヘタクソなピアノを轢いています。
ピアノの音が音符となって飛んでくるので、木の上で寝ているウッドストックに当たらないように、スヌーピーを操作してハンマーで叩き落すゲームです。
要するに、スヌーピーは音速を超えて移動しているのです!(笑)

音符はオレンジ、黄緑、青、ピンクの4色あって、それぞれの色に対応した足場に移動しないと叩けません。
青の音符が飛んできたら青の足場で、ピンクの音符が飛んできたらピンクの足場で叩きましょう。
(スヌーピーが左右の一番端の足場にいる場合、それ以上進むと落下してミスになってしまいます。注意!)

ゲームが進むごとにシュローダーの演奏は早くなり、音符の数も増えていきます。
寝ている者にとっては、大迷惑以外の何物でもありませんね。
まさに現代社会の、騒音問題そのものの様子を呈しているゲームなのです(笑)!

音符は1個叩くごとに1点です。
これではとても高得点は望めそうにありませんが(汗)、ノーミスしで300点までいくと、何と次回のミスまで得点が倍になります!(それまでにミスした場合は、今までのミスが帳消しになる)
これは後期ワイドスクリーンやマルチスクリーンにあったシステムを継承してますね。
チマチマ1点ずつ取っていくのはとて大変なので、300点までは何が何でもノーミスでいきましょう。

足を踏み外して落下するスヌーピー


メロディ必聴ゲー!


100点ごとにルーシーがピアノを蹴飛ばすぞ

また、この「スヌーピー」を語る上で、外せない話題が音!
従来までのシリーズでは「ピー」とか「ビビッー」といった単音しかありませんでしたが、何とパノラマスクリーン(テーンブルトップ)シリーズにはメロディがあります!
(マルチスクリーンの「ピンボール」でもありますが、登場したのはこの後です)

特にこの「スヌーピー」はその部分が凝っていて、何と音符の種類によって、鳴る音が異なるのです!(どどん)
これがどういうことかというと、シュローダーが4種類の音符を飛ばしてくる度にそれぞれ違う音が鳴るので、あたかも本当にピアノを弾いているように聞こえるのです!(言い過ぎか?)
ゲーム後半になると音符が次々と飛んでくるので、とても賑やかなBGMになりますよ。

そして、100点取るたびにルーシーがピアノを蹴飛ばすデモが見られるのですが(ひでえ・・・・)、そこで鳴るファンファーレも大変美しいメロディなので必聴です!しかも複種類あるんだこれが。

ちなみにスヌーピーのゲーム&ウォッチでは、これ以前に「スヌーピーテニス」が発売されています(週刊電子ゲームレビュー第61回参照)。
そのときの主役級キャラだったチャーリーブラウンは、今作ではアラームキャラに成り下がっているので、その点にも注目です(笑)。

1983年


「スヌーピー」のパッケージ

ところで、この「パノラマスクリーンシリーズ」が、「テーブルトップシリーズ」の不振を受けて改良発売されたことは前述しましたが、だからといってこのパノラマシリーズが大成功を収めたといえばそうではありません。
このシリーズが発売された1983年は既に電子ゲームブームなど終わっており、結局不振に終わってしまった悲劇のシリーズなのです。
これはトミーやバンダイなど他メーカーでも言えることですが、この1983年という年は、電子ゲームブームを再興しようと、各社試行錯誤を繰り返し、実にバラエティにとんだ機種が多数発売された時なのです。
そのいずれもが時代の闇に埋もれてしまったのは残念でなりませんね。

そんなわけで、同じゲーム&ウォッチであっても、これ以前のワイドシリーズと比べると遥かに数が少ないわけであり、現在でも手に入れるのは至難の業でしょう(ネットオークションとかには出てきますが、高いんだ、これが笑)。

ちなみに筆者はこの「スヌーピー」を九州で1個、東海地区で1個発掘しました。
その頃はまだインターネットなど普及しておらず、自分の足と情報網を駆使して探さなければならなかったわけですが、やはりその頃からパノラマスクリーンは垂涎モノのアイテムであり、発見したときは興奮して、嬉しくて、その場で東京のコレクター仲間に電話してしまったものです。
そのときの相手の第一声が「じゃあそれ1万円で買うわ」だったのが悲しかったですが(しかも本当に買われてしまった(哀))。



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