パックリモンスター
PACKRI MONSTER
FL/バンダイ


Written by 史


「パックリ」とは、これいかに?
’81年の7月頃にバンダイより発売された、おなじみのパックマンゲームです。高級感を持たせたゲーム本体のデザインは、シリーズの一環として他のFL3種(「FLフリスキートム」「FLアタックモグラ」「FLチェンジマン」)と統一されています。
シリーズ中で最も売上を伸ばしたのもこの「パックリモンスター」です。本家ナムコのパックマン(’80)が登場してから20有余年の月日が経過した今でも、バンダイやHIRO等のメーカーによってキーチェインゲーム化されるほどの人気を誇ります。まさに、不朽の名作といえるでしょう。
オリジナルを完全に踏襲する形となったこのゲームですが、さすがに名称だけは変えてあります。
「当社の新製品では、ネーミングに””を盛り込もう。パック””でいくぞ。」という方針だったのでしょうか。しかし、僕達はここですかさずフォローしてあげなければいけませんね。「”ッ”がないともっと良いですよ」と。
※画像は海外版のパッケージです。
 
内容は「パックマン」そのものだ
その他の表現方法
同種のゲームには他に「パック●●」「●●パック」「パクパク●●」「パックン●●」等があります。「早食い」「一気食い」あるいは「噛まずに飲み込む」というような感じでしょうか。日本語には食べ方に応じた擬音方法がいろいろあるんですね。感慨無量です。しかし、何故そうまでして””と””の発音にこだわったんでしょう。こんなことなら「モグモグモンスター」とか「ムシャムシャマン」とか「ゴックンヒーロー」あっても良いと思いますね。単純に「イートマン」とは、なかなかいかなかったようです。
 
そんなに美味いのか
「あのエサはどんな味がするんだろう」と考えたことはありませんか?食欲旺盛な彼にあって、決して飽きさせない味なんだろうなと。延々と食事するパックマンをぼんやりと眺めながら、僕はそんなことを考えてしまいました。とくにこのパックリモンスターを当時やった時には、「オレにも食わせろ!」と強烈に思いましたね。
では、この機会に私なりの一応の結論を出してみましょうか。黄色のエサは、きっと主食にちがいありません。我々にとって「米」のような存在といえます。甘くなくしょっぱくもなく、辛くもないがほんのり甘いといったところでしょうか。何故かといわれても困りますが、私にとっては「うまい棒コーンポタージュ味」ということになります。
そして、あの赤いエサです。前者が「米」ならば「梅干」か、ということになりそうですが、ここではエスニック系ということになります。精力倍増・食欲増進と謳うピリ辛スタミナ料理といったところでしょうか。これも詰問されては困りますが「うまい棒メンタイ味」ということになります。話は変わりますが、
ライダースナックでおなじみのカルビー食品は、子供向けのスナック菓子として次のような商品を発売しようとは考えていなかったのでしょうか?その名もズバリ「やめられないとまらないパックマンのエサ」です。
 
 
何とコーヒーブレイクを再現!
コーヒーブレイクもパックリ
なかなかどうして移植度はかなりのものです。「デモンストレーション」表示、「ワープトンネル」はもちろん、2面ごとに繰り返される「コーヒーブレイク」まで再現されています。面の進行に伴う難易度変化やゲームスピード、軽快なサウンド、手に馴染むジョイスティック、絶妙な経路構成、4色の蛍光表示と至れり尽せりです。
さらにいうと、オバケはもとより、パックリモンスターの”お家”まで作るとはニクイことをします。これで生活の基本3原則である「衣」「食」「住」のうちの2つは満たされました。得点表示は999点を超えると0に戻り、再びカウント続けます。電子ゲーム全盛期、最も多くの電子ゲームを世に送り出していたバンダイ製品の中でも、トップレベルの完成度といって良いでしょう。ここで秘技を伝授。ワープトンネル内で、レバーを上下に入れると中にとどまることが可能です。知ってました?
 
 
彼の名はパックリモンスター。ヒーローと呼ぶには頼りない食いしん坊の彼です。
あれ、実はモンスターなんだ?
 
”オバケ”ときどき”弱虫オバケ”。オバケとモンスターって近種なのでは?
食べ物のことで内輪喧嘩を始めた模様。
 
黄色のエサ。どんな味がするんだろうね。甘いのかな?
しょっぱいのかな?みなさんはどう思われますか。
 
辛そうな赤色のエサ。”ピリ辛”てっ感じがするね。おいしいものは後にとっとく?
「エサ」って下品だね。
 
連続して次々に食べると、得点が増幅。
十分に引きつけておいてから食べるのがお決りのパターンだよね。


外人さん困惑(なさばな〜)
この「パックリ」や「パック」「パクパク」「パックン」といった日本語限定の表現を、果して外人さんは理解しているのでしょうか。まず「PAC」という英単語は、いわずもがな存在しません。しいていえば、「PAC.(Pacificの略)」で「PACMAN=太平洋の人」ということになり、”大海原を渡るたくましい海男”という間違った印象を与えかねません・・・。また、学研の「PUCK MONSTER」の「PUCK」というのは「アイスホッケーのパック(ボール)」です。「ニホンジン、アンナモノ、食ベル、ナゼ?」と聞かれて、なんと答えれば良いのですか。さらに、アサヒ玩具の「PACK'N MATE」では「PACK(梱包)する仲間」となり、謎が謎を呼ぶといった感じです・・・。どれもみな、奇妙この上ない意味になっていますね。次のメールのやり取りをみてください。
 
当時のパックリモンスターの広告
(外)「Hey, fumi. What's the meaning of "ri" of packri-monster ? Can you explain it ?」
(ねぇ史、パックリモンスターの”リ”ってどういう意味なんだい? 説明してくれる?)
 
(史)「Well, "ri" is like "WABI, SABI" that is Japanese emotional expression.
    Do you know "WABI, SABI" ?」
(えーと、”リ”っていうのは日本の”詫・寂(わびさび)”のようなものなんだよ。ワビサビって知ってる?)
 
(外)「Oh, yes. I know "WASABI" in the "SUSI". "TORO" "ANAGO"」
(もちろんとも。ワサビだろ、スシの。)
 
(史)「It's incorrect........!! "WABI, SABI", not "WASABI"」
(違うって・・・ワサビじゃなくて、ワビサビ・・・・)
 
このように、国境を超えた意思の疎通には程遠い2人でした・・・。 



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