ペアマッチ
PAIR MATCH
FL LSI GAME/バンダイ


Written by T鈴木





FL電子玩具



光と音のエレメカ風電子ゲーム
電子ゲームの歴史を紐解くと、その始祖は「サイモン」のような光と音を使用した電子玩具に行きあたるのだが、そのほとんどが記憶力ゲームやモグラ叩きのような単純ゲームで、現在解釈されている「電子ゲーム」「LSIゲーム」とは差別化された、一種のエレメカ(エレクトロニカルメカニック)として一般的には認識されているようです。

で、この「ペアマッチ」ですが、パッと見た目は光と音を利用したエレメカ風なのですが、実は蛍光表示管(FL)を使用した、れっきとしたLSIゲーム。
古くからの電子玩具を、FLという最新の技術(?)で蘇らせた、非常に歴史的意義のある作品なのです!(たぶん)

1984年発売。





ピラミッド型本体



2人対戦もできる
本体はピラミッド型で、上部の半透明パーツ部分を覗きこむような形でプレイします。
(もちろん反対側にもスイッチ類があり、2人対戦できる)
ゲームは全部で4種類。
パワースイッチで電源を入れたら、セレクトキーでゲームゲームを選択し、スタートキーでゲームスタート。
またスキルレベルでコンピューターの強さを調整したり、サウンドのボリュームも3段階に調節できるぞ。

ちなみに「ペアマッチ」の本体カラーは黒・白の2バージョンありますが、どんな違いがあるのかまったく不明です(知ってる人がいたら教えてちょ)。










ゲーム1「ペアマッチング」



同じ音を見つけろ
それでは4種類のゲームを紹介していきましょう。

ゲーム1は「ペアマッチング」
ルールは神経衰弱とほぼ同じで、32種類のパネルを任意でめくり、8種類の同じ音を探し当てましょう。
めでたく探し当てると続けてプレイすることができるが、違った音を出してしまうと相手プレイヤー(コンピューター)と交代になるぞ。
ちなみに先行は必ずコンピューター(青サイド)、2人プレイのときはスタートキーを押した方が先行となります。





最終的に多くのパネルを取った方の勝ちとなり、同数の場合は引き分けとなります。
決着が付いたときと引き分け時ではファンファーレが違うので、余裕があるなら試してみよう。
24対8で赤サイドの勝利





◆以下が8種類の音。
テキストで書くと分かりにくいが、だいたいこんな感じです。
音を記憶するより、パトカーや小鳥を想像して記憶するのがコツだ(個人差あり笑)。

ヒュンヒュン パトカー
ヒュー 落下音
チュチュ 小鳥のさえずり
ピンポーン チャイム
ブロロー エンジン
ピポプペ ロボットの声
ビュンビュン 光線銃
トウルルルル テレフォン





ゲーム2「ペアサンド」



同じ色で挟んで一気にひっくり返せ
ゲーム2は「ペアサンド」
何やらうまそうな名前ですが、その名の通り、神経衰弱+オセロのルールが加えられています。
相手のパネルを縦、横、斜めのいずれかで挟むと、自分のカラーにひっくり返すことができるぞ。

ゲーム1ではただ何も考えず、好きな場所をめくっていればよかったのですが、この「ペアサンド」では無計画にパネルをめくっているとあっと言う間に逆転されたりします。
オセロの基本攻略にのっとり、隅のパネルから意識して狙っていこう。





ゲーム3「ペアブリッジ」



ゲーム3は「ペアブリッジ」
基本はゲーム1と同じなのですが、縦、または横方向に画面を横断する形でパネルをめくる(パネルで橋がかかる状態にする)と、問答無用で勝利となります(ただし一部分でも斜めになっていると駄目)。
これは駆け引きが熱い!
せっかく架かりかけた橋が、相手の妨害で封鎖されてしまうと、もの凄く腹が立つぞ(笑)。

両プレイヤーとも橋が作れなかった場合は、最終的に取ったパネルの多い方が勝ちになります(同数なら引き分け)。
縦か横に橋を作ろう





ゲーム4「ペアスクエア」



4枚のパネルで四角形を作ろう
ゲーム4「ペアスクエア」
ハッキリ言って最高の難易度!

基本はゲーム1と同じにして、画面上に4枚のパネルで4角形を作らねばなりません。
これだけだと「簡単なのでは?」と思いがちですが、嘘偽りない「完全な四角形」を作らねば駄目。
一か所でもパネルが隣接し、形が崩れてしまうと無効になってしまうのです(つまり取れそうなパネルでも、敢えて断念しなければならないばかりか、相手の妨害も常に気にしなければならない)。

←こんな四角形は駄目

ゲーム3同様、両プレイヤーとも四角形作れなかった場合は、最終的に取ったパネルの多い方が勝ちになります(同数なら引き分け)。
「もはや四角を作るのは不可能!」…と判断したら、素早く多くパネルを取る戦法に切り替えよう。





帰電グッドデザイン賞



バンダイの電子ゲームにしては、何から何まで異色のような感じのするこの「ペアマッチ」ですが、従来のFL(「クレイジークライミング」など)とはあくまで別ラインの、あくまで一般層向き、玩具性を強く意識して作られた商品といった感じがしますね。
その弊害か、コレクターにとっては割と空気のような存在なのですが、それはこの「ペアマッチ」が、ぞんざいな粗略品と言う意味ではありません。

サウンドは全電ゲーで1〜2を争うほど豊富で美しい音色を奏でるし、何より本体がカッコいい!
ピラミッド型のフォルムに、半透明のクリアパーツを使用した上半部。
そしてそこに映し出される美しいFL表示。
これほど未来的、かつ神秘的優雅さを兼ね備えた電子ゲームが他にあったでしょうか!?

その影響かどうかは知りませんが、「新スタートレック」(TNG)の171話にて、登場人物がなぜかこの「ペアマッチ」で遊んでいるシーンが映し出されているようです。
宇宙船や未来世界にあっても違和感のないこの「ペアマッチ」が、いかにデザイン的に秀でているかを証明するかのようなエピソードですね(でもないか笑)。
「ペアマッチ」のパッケージ





「ペアマッチ」の全蛍光表示パターン





週刊電子ゲームレビューINDEXに戻る

帰って来た電子ゲーム TOPに戻る