私(メリー)の

生い立ち
特訓
初仕事

 

生い立ち

 茨城県鉾田町の本多さん(ご主人のおじいちゃんも元気で実猟の名人)の家に昭和43年5月12日3人兄弟の長女として生を受けました。

家の前は田んぼが広がり裏は雑木林や竹藪が続くとてものどかな自然に囲まれた環境で私は一度も鎖に繋がれたことなく伸び伸び育ちました。3ヶ月を過ぎた頃弟2人はご主人の知人がいらして貰われていきました。ご主人が私を大変お気に入りで後継者とする積りだったようですが10月始め従兄弟と毛塚のおじさんが来てどうしても私が欲しいと懇願され毛塚家の住人となったのです。

 

私の血統

 私の祖父は英国トバドニーのチャンピオンでお母さんは群鳥さばき(群鳥を押えポイントして1羽づつ追い出す、普通は数羽一度に追い出してしまう)と落ちた鳥の回収は獲物を全く痛めず大変お見事でご主人は何時も仲間に自慢していました。動物の女性は殆どが短足でスタイルが悪く、自分で言っては何ですが私はすらっとした八頭身で決して男性に負けない素晴らしい体形だったので3年後サントリーのCMに抜てきされ出演することになりました。
(別項で掲載)

 

雉や小寿鶏の探し方と追い出しの特訓

:雄は羽が空色と薄茶色が混じっており、雌は茶褐色で里の鳥といわれ、人家近くに住み日本固有の種です。雄の泣き声は
「チョッケーン・チョッケン」と鳴き縄張りを主張する。雌は「ク・ク・ク」と鳴き仲間と呼び合います。

小寿鶏:鳩位茶褐色で群生し地上生活が主で関東以南に多く生息している。泣き声は『チョットコイ・チョットコイ』と甲高い声で連呼する。

私は4ヶ月目になるとお母さんと二人になり何処えでもついて回り、お母さんの愛情を一人占めできとても幸せでした。朝起きると前の田んぼへ散歩に出かけると、カル鴨が子連れでいると遠くからそっと静かに姿勢を低くして近寄っていきます。私は後ろでその様子を見てるだけでした。疲れて帰ると朝食を食べてからオッパイをねだりお腹一杯になると眠くなりお母さんと朝寝をするのが気持ちよく弟の夢も時々見ました。

10時頃裏山からチョットコイ・チョットコイの声に目が覚めるとお母さんが「さあー行くよ」と言って泣き声のする雑木林へ向かって出発です。お母さんは林の茂みの中を進むのは未だ無理と思い小道を遠回りをして近ずくのですが後に着いて行くのは必死でした。泣き声の近くに着くと藪の中へと静かに入っていき私が寂しくなりクンクン泣いていると、藪の奥からバサバサっと小寿鶏が飛び出してくるのです。間もなくお母さんが帰ってきて一休みしながら体中をなめてくれます。幸せな一時を過した後林の中をあちこち見物しながら家へ着くともうクタクタとなりパタン休でした。夕方は又前の田んぼで鴨を追いかけながら泥んこになって家へ戻ってくると夕食となり後は思いっきりお母さんに甘えていました。

 

 私は3ヶ月を過ぎて未だヨチヨチ歩きの時からお母さんの後を追って、早朝は前の田んぼの小川にいる鴨を追い回したり、食事してから一休みした後は裏の雑木林にいる 「チョットコイ」 の鳴き主の小寿鶏や雉を探して追い出すのが日課でした。でも最初は何も分らずお母さんの回りを只チョロチョロするだけで叱られるばかりその内 「いい加減にしなさいと食わえて押えこまれた」 ことも度々でした。そうこうしてる内に私もグングン成長しお母さんが何をしに林に私を連れて行くのか理解できるようになり、鳥の臭いが漂う方へ静かに藪をくぐり抜けての接近方法と風下から近ずき押え込み一羽づつ追い出すコツを毎日教わりました。鳥の居場所は毎回異なりその都度地形に応じた追い出しをするのは決して簡単ではないのよ。又ご主人の居る方へ回り込んでの追い出しには頭脳と経験が必要ですね。なあーんて偉そうなこと言ちゃってね。

 

私の初仕事

 10月始め毛塚家の一員となり実家同様庭で繋がれることなく快適な生活ができました。直ぐ裏は河原で鴨・雉・小寿鶏がいて毎日朝夕散歩に行き、鳥の臭いがするとお母さんに習ったことを想いだしながら練習の毎日でした。待ちに待った初猟11月1日が来て(前日より主人と車で長野へ来た)早朝猟場へ着き主人が 「さあ頑張ろうね」 と言って車から降りると勝手の違う山坂の多い処でしたが直ぐに馴れ張り切って雉の捜索開始です。午前中3回臭いを採り追い出したが牝(禁止)なので撃でず主人と雄雉がいない訳ないのになーと話しながら段段田んぼで昼食をしながら一休みとなりウトウトしてしまいました。

午後も夕方近く小杉の急斜面で臭いを感じ主人も私の動作を見て 「杉山だから雄だぞメリー頼むよ」 と言い撃ちやすい場所に位置し合図をしたので 「一気に突っ込みました」 雄雉がゴトゴトっと大きな羽音を立て飛び出し、お見事一発でし止め沢下へ落ちていくのが見え夢中で沢を転げながら下り未だ少し息のあった立派な雄雉を発見クワエたら初めての事どっしりと重く、沢の急斜面をゆっくり登っていくと主人が私を抱きしめ 「メリー有難うよ」 と何回も言い喜び合った事が今でも忘れられません。半年目の出来事でした。

主人は立派なトロフィーが沢山あるのは私のお陰と何時も話してくれてます。

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