12歳たちの伝説

作者 後藤竜二
絵: 鈴木びんこ
販売元: 新日本出版社
価格: ¥1,500
出版年月: 2000/06
ISBN: 4406027459
風の文学館2

12歳たちの伝説U

作者 後藤竜二
絵: 鈴木びんこ
販売元: 新日本出版社
販売: ¥1,500
出版年月: 2001/09
ISBN: 440602834X
風の文学館2
たよれっと42号より
自主性を持たない自我は、枝を離れた花と同じ、風向き次第で花吹雪ともなり、吹き溜まりのごみともなります。ハレンチノックに投票された230万票、独善都知事への180万票、弱者に強い小泉リーゼントの80%支持率がそれです。

学級崩壊、パニック学級は自我と自主性の過剰イレギュラー組み合わせグループが、浮遊する自我群と非武装の自主性放れ駒を、遠心力でかき回している、電気洗濯機みたいなものです。とすると、テロ未到の悪がきグループは、社会の固化を防ぐ絶好の醗酵剤かもしれません。それぞれの酵素が持っているコントロール因子を、正常に発達させることによって美酒が得られる。手を束ねておれば暴に暴、回顧的圧力教育の復活が待ち構えています。

前巻「12歳たちの伝説T」は伝統のパニック学級6年組みは、自我・自主性の不協和団おっかけ隊の隊長ユーカが、突然の解散宣言をしたところで終わります。第一部で活躍したスター達は、この第二部では背景に身を退き、第T部で引き回され、跳ね除けられていた被害自我たちが主役に登場します。他からの遠心力が弱まってきたとき、不登校、保健室登校、授業拒否など自主性を持つ変形自我が、どのような条件感応を経て回復してくるのかが、個々の自我の立場で捉えられています。自我と自主性の統一的発達こそが、この発達の正常である。そしてその集まりが暮らす全体のありように同影を及ぼしてくるのか、観察と希望を込めた模索がなされています。

子どもが何を「考えて」いるのかということではなく、子どもが何を「感じて」いるかということが大切なのです。これは子どものための小説であって啓蒙書ではありません。けれど1と2を通しで読めば、親と教師、大人が子どもに対して今しなければならないことは何かが分かってくる、そう思います。Vの巻が期待されます。

12歳たちの伝説V

作者 後藤竜二
絵: 鈴木びんこ
販売元: ポプラ社
定価: ¥1,500
出版年月: 2002/07
ISBN: 4406029362
風の文学館2
たよれっと45号より