Japan Storytellers Association
語り手たちの会

 ◆ 設立の趣旨

特定非営利活動法人語り手たちの会

設 立 趣 旨 書

 私たちの国日本は、“言霊”の国としての何千年もの歴史と文化を持って今日に至りました。政(まつりごと)や文芸、思想をはじめ、愛憎、喜怒哀楽などあらゆるコミュニケーションの場にあって、先祖から伝承された言葉の恩恵なくして自らの考えを他者と分かち合うことはできません。言葉を通して人間同士の心の絆は生れ、人との語り合いによって心の平安を得、一人ひとりの心の平安が世界に平和をもたらすのです。
 1977年に創設された語り手たちの会は、わが国古来の言霊の文化を受け継ぎ、さまざまな形で残され伝えられてきた「語り」を次の世代に手渡す活動を続けてきました。
 いま、私たちが生きている環境を省みるとき、「すべての人が安心して幸せに生きる」ことが必ずしも保障されているとはいえない現状に心が痛みます。特に子どもが大人によって傷つけられたり、子ども同士が傷つけあったりしている事件の報道に触れるたびに、経済的な繁栄への道をひたすら走りつづけてきた結果、私たちの社会が心を豊かに育てる言葉や文化や時間を軽んじ、そのことの歪みが心の砂漠化を進めていることに気づきます。
 私たちは、そうした時代の流れに抗い、細り行く心と言葉の環境を少しでも改善したいと願って、家庭・学校・地域を結ぶ語りのボランティア活動を全国で繰り広げてきました。このことは、学校や図書館での読書活動に加えて、肉声による語りを通して豊かな心を育て、言霊の文化を次世代に伝えようとするものです。
 また、私たちは、大人同士の心をつなぐメディアとしての語りを重視し、大人の文化としての物語をともに楽しみ、自分たちの生活や心情の記録を語りにして伝える活動に取り組んでいます。自分の人生をいとおしみ、人を愛し、世界を愛することこそ「すべての人が安心して幸せに生きる」ことにつながると信じるからです。
 このたび、私たちは、心と言葉をつなぐ語りを活動の中心に据え、創立以来30年続けてきた活動をさらに深め社会に広めるために、 「語り手たちの会」 を、「特定非営利活動法人語り手たちの会」として発展させ、口承文芸としての語りの文化の可能性を多角的に追求し、心のつながりをより豊かにして行くという目的をかかげ、ともに手をたずさえて歩んで参ります。


    2007年 10月 28日

                           代表者      櫻井 美紀