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送信日時: 20111218日曜日 0:31

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件名: 持続可能な社会保障制度と税

 

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NHK番組; 税から考えるこの国のかたち

今日のNHK討論を見ました。詳細は下記URLをご覧下さい。

http://www.nhk.or.jp/special/onair/111217.html

 

社会保障制度の持続可能性について

上の番組でドイツの年金制度の例が紹介されました。年金支給開始年齢が二回にわたって65, そして今や67歳に引き上げられたそうです。厚生省は年金支給開始年齢を段階的に引き上げ最終的には70歳とすることを検討しているそうですがドイツの例にならっているのでしょう。現実には会社も役所もいわゆる早期選別、早期帝王教育なる思想で選ばれた少数の幹部候補以外の大多数の従業員は早期退職を強制される日本のやり方には合わないと思います。実際50歳を過ぎたら就職の門はうんと狭くなります。年金支給が始まるまでの10年間収入の道が断たれる人が無数に出るのではないでしょうか。

 

税について,Sweden vs Japan

同じ番組でSwedenの例が紹介されました。国民負担60%で対する日本は41%だそうです。それでもSwedenよりも日本のほうが税に対する不満が高いそうです。Swedenは負担も高いけど保障も厚いので国民は納得しているようです。例えば失業しても2年間国の生活保障の下で職業教育が受けられる。社会保障が手厚いので企業もリストラがし易く事業環境に機敏に対応していけると言っていました。

Swedenは地方分権が進んでいるのに対して日本は中央集権である。税の2/3は国に入るのに対して行政サービスは地方が2/3を担当している。すなわち税総額の1/3が地方交付金として国により再配されるがその際ひも付き即ち国が使途を決めて地方が使い道を決められないものになる。何より納税者に内容が見えない税の使い方になってしまいます。

 

税の使い道の決め方

国がきめている現状では納税者には義務だけあって権利がありません。この点で参考になるのが鳥取県、智頭町の取り組みです。ここでは住民代表の百人委員会が町の予算の2%,8,000万円の使い道を決めているそうです。即ち市民から提案のある事業に予算をつけて提案者がそのお金で事業を行う。一例として近隣の山林を利用した幼稚園の事業が紹介されていました。施設を作らず近くの森が子供の遊び場です。始めて3年ですがその間ついた8,000万円のお金で人件費や交通費をまかなっているとの事です。詳細は下記URLをご覧下さい。

http://www1.town.chizu.tottori.jp/

納税者が話し合って税の使い道を決める、これはまさしく直接民主制です。私は日本の未来は直接民主制にあると考えていますが、私が考えるくらいの事は世の中には既に実践している人たちがいます。これは実はブラジルで始まり、南米、アジアに広まりつつある仕組みだそうです。

更に一歩進んだ世界

別に政治に頼らなくても同じ問題を抱える人同士が連携して問題解決に当たる連携世界がさらに一歩進んだ世界だと思います。待機児童問題はずっと叫ばれてまだ解決していませんが、同じ問題を抱える人々、それに共感する人々が協力すれば問題はもっと早く解決できると思います。

年金問題も支給開始年齢は従来の60歳とし、支給額は持続可能な額にする。場合によってそれは生活できない額になるかも知れません。そこでそれを補うための工夫が必要になります。一つは保育所や幼稚園で子育てを終えた経験者をパートタイムで雇用するとか托幼老所で老人が幼児を見るとかいった方法を活用する。以前見たTV番組では老人も幼児も楽しそうでした。

私は3年前から近くの団地でアジア人の子供の学習を毎週金曜日に手伝っています。これは中学校の先生たちが9年前に始めた事業です。就学前の幼児から、小中学生、高校生そして大人も来ます。大人は日本語の学習です。さまざまな事情で母国を後にしてやってきた日本での生活は決して楽ではありませんが子供達は生き生きとしています。私はVolunteerで彼らの学習を助けているのですが反対に元気な子供達から多くの活力をもらっています。孫が何人もいるようなものです。

 

自由人が未来を切り開く

長い封建社会の停滞から近代の驚異的な発展を実現させた原動力は自由です。明治の人々には「自由」という言葉が如何に新鮮に響いたことでしょう。その源はアメリカ独立革命にあります。イギリスの圧制に対してアメリカ人はNo representative, no taxation (代表無くして課税無し)の旗印のもと立ち上がり、Virginiaの議員Patrick Henry Give me liberty or give me death!と演壇で叫びました。これはわが国では板垣退助が暴漢に刺されて叫んだと言われる「板垣死ストも自由は死せず」と同じです。埼玉県の山間の秩父で起きた農民反乱で大宮郷(今の秩父市)の郡役所を占拠した革命軍(明治政府から言えば暴徒)の総理田代英助は役所の玄関に「自由元年」の看板を高々と掲げました。

先人の努力のおかげで日本史上かって無い自由を有する今日の自由人は年金生活者ではないでしょうか。長年培った能力を有する年金世代は子孫により良い世界を残す力があると思います。私はまだそのほんの端くれですがSTFの活動を通じてそう感じています。

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      市吉 修                                Osamu Ichiyoshi

 

二十一世紀を楽しく生きよう会  Human Network for Better 21 Century  http://www5e.biglobe.ne.jp/~kaorin57/

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