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交換経済における富の源泉
私は技術者として複雑な装置やシステムを設計して実用化してきましたが実は何より理解し難いのは経済の仕組みです。それは自分がその中のほんの一点として組み込まれて生活しているため却って分かりにくくなっていると思います。
豊かになりたいとは万人の願いだと思いますが、豊かになるとはどういう事かはよく考えてみる必要があると思います。今の日本は半世紀前に比べれば想像もできないほど物質的には豊かな社会ですが毎年三万人以上の自殺者が出る状況では人心は却って貧しくなっているのではないでしょうか。
今日の経済ではお金が基本ですので私たちはややもするとお金そのものに価値があると思ってしまいますが、実はそうではなくてお金が持っている信用に価値があります。信用が無くなればお金はただの紙切れになってしまいます。インフレにおいては物価が上がってお金の価値が下がります。典型的な例は第一次世界大戦後のドイツであり、毎日物価が上がり、ついにはパンを買うのにリヤカーに積んだお金を持って行くまでになりました。
事業を起こすのに債券を発行して資金を集められるのはその人の事業計画を投資家が信用できる場合です。その債券を日本銀行が購入すれば市場に現金が出回り社会はその分全体として豊かになったと言えるでしょう。
そのお金の価値を保障するのは詰まるところ社会の生産力だと思います。ある製品に対する需要が増えて売り切れを起こす状態ではその市場価格は上昇しますが生産が追いつけば価格が下がることからそれは明らかです。
生産力の源は人間の知識と自然の恵みだと考えます。例えば農業は一粒の種からその何百倍
もの実を収穫できるところにその基礎があります。投資した以上の利益が得られること即ち
利得 = 利益/投資 > 1
になることが経済成長の条件です。人間の生産力の根源は知識にありますが、その特徴はAがBにある知識を伝えると知識の量は二倍になることです。逆にAが誰にも知識を伝えなければその知識は減少してやがて消失します。以上のように考えると豊かさの源泉は結局学問にあると言えるのではないでしょうか。人間が問題を発見して、その解決のために相互に意見を交換し、試行錯誤を重ねて獲得する知識の創造こそ富の源であると考えます。
富の源
お金の価値は信用にあり
信用を支えるのは生産力なり
生産力の源は自然と人との働きなれば
経済成長の原動力は人間の成長なり
人間の知能
一つのことに集中すれば
それ以外の事は心に入らず
人間は認識を誤るものなり
事物の関係によりて概念を定義し
内に成る世界を外に検証する
人間は誤りを正し得るなり
学問
学問は人と人との対話に成る
人は自己との対話で思考す
一人の経験は学問を通じて
万人の知識となる
思考で深まり、対話で広がる
学問は人の自立の基なり
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市吉 修
Osamu Ichiyoshi
二十一世紀を楽しく生きよう会 Human Network for Better 21 Century http://www5e.biglobe.ne.jp/~kaorin57/
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