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送信日時: 2014112日曜日 23:57

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件名: 経済成長の源

 

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経済は成長しているか

景気がよくなって来ているという人がいますが本当でしょうか。株価の上昇を根拠に景気回復を言う人がいますが、今日のNHK討論で示されたデータでは2013年1−3月期には実質GDP成長率が0.9%(年率3.5%)でしたが7−9月には実質GDP伸び率0.3%(年率1.1%)に下がっていました。

http://www.esri.cao.go.jp/jp/sna/data/data_list/sokuhou/files/2013/qe131/pdf/gaiyou1311.pdf

http://www.esri.cao.go.jp/jp/sna/data/data_list/sokuhou/files/2013/qe133_2/pdf/qepoint1332.pdf

10−12月期はまだ結果が出ていませんが上の傾向が逆転するとは考えにくいですね。

 

安倍政権の第一、二の矢の「異次元の金融緩和」と「財政出動」により株価が上がり、GDPが増えるのは当たり前だと思いますが肝心のGDPは上のデータに見られる通り成長は鈍化していると思います。安倍政権の第三の矢、経済成長こそ最も重要ですがその政策については私は余り期待はしていません。

 

経済成長の源

今年の電子情報通信学会誌一月号は「超成熟社会、発展のための科学と社会システム」特集を組んでいます。その中で経済学者の竹中平蔵氏が「超成熟社会を発展させる経済学」なる論文を載せています。竹中氏は過去の経済成長を分析して経済成長の要因別寄与度は

          労働:資本:技術進歩=1:3:6

であったとしています。この意味する所は少子高齢化で労働人口が減る事は経済成長に与える悪影響はそんなに大きくはないという事でしょう。経済成長の最大の原動力が技術の進歩である事は技術者の私には自明の事ですが竹中氏の分析で経済学からも一つの裏づけが得られて心強く感じています。

 

技術進歩の危険因子

安倍政権が第三の矢、即ち経済成長促進策の一つとして進めている非正規雇用の拡大は会社と従業員の一体感を損ない技術開発力を損なうものだと危惧しています。大企業の経営者に有利なように計らう安倍政権の政策が結局は経営者を甘やかし、新規事業の開拓努力を怠らせるものである事は260兆円という膨大な企業の内部留保に現れています。これが企業の本業である社会への貢献、即ち新規産業の開拓に使われておったならばその分国民所得が増え経済成長が持続し同時に世界に対する日本の技術競争力を今より遥かに強いものに育てたはずです。

経営者と政治屋のレベル低下を許して来たのは国民全体の責任でもあると思いますが現在明確になっている本質的な問題は学問の衰退です。電子情報通信学会は会員が減少し、中でも企業

内技術者の会員が減少しています。同窓会などで聞くと私の同年代の人の大半は定年退職と同時に学会を辞めている人が多いですね。私は電子情報通信学会には退職後も在籍し毎年研究会にも参加しています。学問の進歩に学会の果たす役割は極めて大です。高校生には有名大学を目指すより地元の大学に入り、その代わり早くから学会活動をする事をお勧めしたいです。そのほうが経済的にはるかに安価で且つ学問の実もあがると思います。

学士会も最盛期には10万人だった会員が今や半減している状態です。学会や学士会は安い会費で最高級の情報や人脈が得られますので大いに活用したいものです。

 

経済成長のために

上の事から次の事が結論されます。

[1]学問振興

   学会活動に加えて学士会や放送大学を活用した生涯学問の振興。

[2]福祉社会

   上の竹中氏の分析から分かるように現役世代が減って年金世代が増える事による現役世代の過大な負担という問題は技術の進歩で十分カバーできる可能性があります。払うより貰う額が少ないので若者が年金を負担するのが馬鹿らしいとかいった短絡的な考えもあまり根拠がありません。経済成長の源は学問であり、其処には限界が無いと思います。学問において本質的なのは問題の発見、その内容の解明、その解決法の探求、その解決の実行であり、それは即ち新規産業の創出、経済成長そのものです。

           社会福祉は国民の負担であるばかりでなく経済成長の最大の源でもあると思います。現在の交換経済においては経済を成長させるのは需要です。政府の補助金ばら撒きとは異なり年金、医療、介護は確実な消費と実践に根ざした技術の進歩を通じて経済成長を牽引します。

若者や健康人にとっても高齢化や病気、怪我は避ける事のできない自らの問題です。現役世代が社会福祉を負担と感じ、その削減を主張するとしたらそれは蛸が自分の足を食うようなもので直に自分自身が困難な状況に陥ってしまいます。即ち極端な不況と経済の循環縮小が起こり、最後は自給自足経済に戻ってしまうでしょう。そうなれば姥捨て山の伝説が現実となってしまうでしょう。貨幣を媒介とする交換経済の原動力は消費であり消費とはお金を出して満足を得る事です。日本語の売ると得るが同音であるのは偶然でしょうか。人間とって社会福祉、即ち人間の幸福に勝る満足があるでしょうか。

 

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* 市吉 修   Osamu Ichiyoshi

* 二十一世紀を楽しく生きよう会

* Human Network for Better 21 Century

* http://www5e.biglobe.ne.jp/~kaorin57/

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