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送信日時: 平成 20121日月曜日 1:36

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件名: 二十一世紀企業研究会

 

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二十一世紀企業研究会とは「人が全国どこでも学び、生涯現役で働ける企業」を提案し研究する会です。研究しながら二十一世紀企業を始めましょう。

 

産業交流展

11/25-26東京ビッグサイトで開催される産業交流展に科学技術者フォーラム(STF)として展示を行いました。全国530社の出展がある大展覧会でとても全部は回り切れませんでした。

 

現在は本当に不況か

展示会の盛況を見ると上の疑問が浮かびます。現在は100年に一度の不況の入り口にあると言う経済学者がいますが、目立ちたがりの経済学者の誇張表現ではないかと思います。金融不況の発端は米国のサブプライムローンの行き詰まりでしたが低所得者に高金利のローンを貸し付ければやがて返済に行き詰るのは当然です。米国は70兆円に相当する公的資金を銀行に注入するよりも返済に行き詰ったサブプライムローンの借り手に緊急融資をすれば金融システムの破綻は避けられたのではないでしょうか。ローンの支払いが一月遅れただけで家を差し押さえ、住民を追い出し、その家を売りに出せば当然住宅価格は下落して金融業界と同時に建築業界の不況が起こってしまいます。仮にローンの返済を猶予して二世代にわたって返済する方式を導入したならば世界経済はよほど異なる状況が展開したであろうという気がします。

 

不況に関わらず産業の基盤は健全

だと思います。社会の生産力は株式や原油や住宅価格のように激しく変動するものではないと思います。会社の価値は株式の価格で表されると言いますが私は納得できません。生産財、人材、知的財産から成る会社の価値が簡単に半減したり二倍になったりするはずがありません。1929年の大恐慌時にもエジソンは社会の産業基盤は健全であると書いていましたが私も同感です。

 

金融の本来の役割

前に日本育英会の奨学資金をもらって高校、大学へ進学した事や住宅ローンを借りて庭付き一戸建ての家を取得した事を紹介しましたが、それらは金融の社会的意義を明確に示しています。それはLow Risk Low Return、「細く長く」利用者と付き合い利用者の役に立つ事です。バブル時にはHigh Risk, High Returnとか「太く短く」などという標語がもてはやされましたがそれは金融の本来の目的に外れていると思います。経済の土素人にも分かることですが借りたお金に金利があるという事は社会に流通するお金が時と共に増えるという事です。単純にお金だけが増えればインフレが生じます。お金の価値が保持される為には貨幣の増加に見合う生産力の向上が無くてはなりません。そのためには既存の産業の生産性を上げると共に、新たな産業の創造が必要不可欠です。私のような技術者や労働者、科学者、農家、作家、商売人、その他あらゆる産業分野でまじめに働いている人は誰でも知っていますがそれはとても困難な事で一朝一夕に達成する事は不可能です。株式や土地、石油、宝石、金属、穀物その他の物に触る事もなく単なる名目的な売り買いで利益を得ようとする投機は違法ではないにしろ社会経済には無用の代物です。米国のバブルをもたらした所謂金融工学を創始した功績により米国のある経済学者が何年か前にノーベル賞を受賞し、今年のノーベル経済学賞をもらった某経済学者はデフレに苦しむ日本経済への助言としてインフレターゲット論なるものを推奨していたそうです。意図的なインフレは経済成長に何等寄与せず、貯蓄が頼りの老人から貴重な財産を奪う残酷な政策である事は以前に交換経済の分析に基づき説明しました。経済のプロを自認する麻生首相の政策をみても真に経済成長に寄与するものは見当たらないようです。経済のプロとは経済を知らざるものなり、ノーベル経済学賞は廃止すべきだという意見がありますが全く同感です。

 

社会保障こそ経済成長の基盤

だと思います。戦前の大恐慌は結局対外侵略と世界大戦に行き着きましたがそれは各国の民主主義と社会保障制度が未熟であったからだと思います。満蒙は日本の生命線など言う軍部の宣伝が日本を日中戦争の泥沼に引きずり込みましたが、戦後海外領土をすべて失ってから日本は世界史に残る高度経済成長を遂げました。

現在自動車業界は自動車販売の低迷に対して期間工や非正規雇用を解雇し、三万人の失業者が出るそうです。中には解雇と同時に寮を出なくてはならず住む所も無くなる人もいるそうです。ここで行政がやらなくてはならないのは失業保険、生活保護、失業者の職業訓練や貧困家庭の子女の進学のための奨学資金の拡充でしょう。

消費拡大のためと称して破綻した国庫から2兆円もの貴重な国費を高額所得者も含めて薄くばら撒くのではなくその半分でも良いから不況の中で最も苦しむ低所得者層に厚く支援を行う事が最大の景気刺激政策になると思います。特に貧困家庭の子女の奨学資金は将来への最も確実な投資です。現在日本は医師不足に苦しんでいますので若者の医学部進学や、現役の医師の再訓練に奨学資金を投資すれば数年で効果が現れてきます。

社会保障制度が拡充すれば国民は安心して消費を拡大するでしょう。それが最も確実、自律的かつ平和的な経済成長の道だと思います。

とかく社会保障は国民経済の負担と見られがちですが実は経済成長の基本条件であると思います。それはそもそも国家の存在意義が国民の支え合いにある事から当然の事です。国家の成立過程と歴史の展開は強者による弱者の征服と支配ですが、それは表面的な見え方であり国家の本質は国民の助け合いにあります。それは既に200年以上も前にJ.J.ルソーによって説かれた社会契約論やアメリカ独立革命の原動力となったT.ペインによって説かれた「常識」です。それどころか紀元前に既に成立していた中国の天命と易姓革命の思想に既に表現されていた国家の存立理由に他なりません。「たらたら食っている者の医療費をなんで私が払わなくてはならないのだ」という麻生首相の言は国家の本質を全く理解していない者の言葉だと思います。誰も好んで病気になる人はありません。病を得るのは既に大なる不幸ですが一国の総理のこのような心無い言葉はとりもなおさず日本国の未熟さを表現していると思います。

皆さん、やるべき事はたくさんありますよ。

 

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*  市吉 修   

*  二十一世紀を楽しく生きよう会

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