差出人: OsI [osamu-ichiyoshi@muf.biglobe.ne.jp] 送信日時: 2016年7月3日日曜日 23:17 宛先: 件名: RE: 超高齢化社会 ; 参院選挙に当たり、教育投資について思う 転送歓迎 配信無用の方はお手数ですが返信願います。本MLは会員の紹介により加入する会員の自主研究会です。返信ま たは全員へ返信により意見交換をお願いします。二十一世紀世界研究会とは「人が全国どこでも働き、生涯豊かに生 きられる世界」を提案し研究する会です。研究しながら理想の二十一世紀世界を実現しましょう。 どの参院立候補者も教育への投資を訴えています 日本は先進国の中では教育への投資が最低だそうです。確かに私達が大学に行った半世紀前の国立大学の 学費は年間数万円でしたのでアルバイトだけで十分やって行けました。今は50万円程度に上がっているので生活 費も含めれば年間200万円程度が必要に成りアルバイトだけでは賄いきれず全額奨学金を借りたとすると4年制 大学を終えた時には1,000万円近い借金を背負う事になってしまいます。医療関係の学部や私立大学は学費が その何倍もかかるため卒業時の借金はその倍位にもなるでしょう。 そこで政治屋は給付型奨学金の導入や教育の無料化を呼号していますが、先進国の中で桁違いに累積財政赤字の 大きな我が国にはそんな力があるでしょうか。仮に実現したとするとそのような奨学金をもらえた人と貰えなかった人 の格差が大き過ぎるのではないでしょうか。 解決案1. 返済方法の改善 給付型奨学金とは返す必要が無い奨学金ですが、持続可能な制度にするには長期安定した財源が必要です。10万人に年間平均200万円給付するには2,000億円程度の財源が必要です。持続可能な制度にするには卒業後返還する方が良いし、貰えた人と貰えなかった人の公平性の上からも返還する制度のほうが良いのではないでしょうか。 特定の条件の下で働けば返還免除にするとか或いは返還額を減額するとか、あるいは返済期間を長期にしたり、 変換が困難な状況では猶予期間を設けるとかすれば返すのはだいぶ楽になると思います。 解決案2. 生涯学問の一環としての教育制度 具体的には学問体系に基づく単位制度を整備して単位を積み重ねて行けば色々な分野の学問を何時でもできる ようにすれば良いと思います。例えば現在の4年制大学を通年制にして8年でも10年でもかかって目的の学問を 修めて学位も取れる仕組みです。実は米国の大学は昔からそうなっているのではないかと思います。かかる学費が 取る単位に比例するようにすれば8年かかって卒業する計画の人は毎年の学費は30万円程度になり、働きながら 十分賄えるのではないでしょうか。 提案制度の利点 働きながら学ぶ事ができるので貧乏な家庭の子も大学教育を受ける事が可能になります。単位制度の利点は米国 人が良くやるように複数の分野の専攻を取る事が可能な事です。 人類最高の物理学者の一人、英国のP.A.M.Diracは大学での専攻は電気工学でした。量子力学におけるDirac の手法は演算子法の駆使でしたが、それは電気工学における交流理論がその基礎になったと思います。異なる 分野でも基礎となる学問は共通していますので複数の分野で功績を挙げる事は可能です。というよりそれが本来 の人間の能力であり日本のように硬直的な縦割りの学部学科制度は学問の名に値しません。米国では学部どころ か大学も入った所から別の大学に移る事が可能ですが、これこそ学問というものです。何千年も前の古代中国に おいても孔子が老子を訪ねて教えを乞うたと伝えられていますし、古代インドの釈迦も釈迦族の王子の身分を捨てて 僧形となり世に聞こえた師を何人か訪ねて修行しました。天文学の大転回を達成したコペルニクスも祖国ポーランド から当時の学問の中心であったイタリヤに遊学してボローニャ大学、パドゥア大学、フェラーラ大学を巡って研鑽を 積みました。このように大学が本来の学問に適した形になれば従来のような大学受験による教育の歪もなくなり、人 は必要な学問を可能な時に最適な所で行う事ができると思います。 私は貧しい中から両親をはじめ多くの人のおかげで大学に進学できたにも関わらず勉学に身が入らなかった事を 今でも悔いています。ひとつの言い訳は余りに短期間に多くの学科を学ばなくてはならなかったので消化する時間 が足りなかった事と、学生という気楽な身分に甘えて習っている学問の必要性、有用性が分からなかった事です。 会社に就職して技術開発部に配属された時に初めて大学で習った学問の意義と自分の実力不足を思い知り、遅ま きながら独学と仕事、後には学会参加による学問を始めました。 過去一年半の両親の介護においては訪問介護、看護、医者による往診により両親とも最後まで自宅で暮らす事が できました。介護士、看護士、医師によるチームにより支えられ私は非常に楽させてもらいました。その経験から思う のですが、若者が上述の学問に基づく教育制度を利用して、介護、看護で働きながら医学部で学び、最後に医師 の資格もとれるようにするのが良いと思います。日本の縦割り教育制度では介護、看護、医師の間の責任分担が 画然と決められていますが、訪問看護士は経験を積みつつ医学も学べば、立派な医師になれると思います。 教育制度が硬直的な縦割りになっている事による弊害はいわゆる正統派(!)西洋医学と昔から日本にある漢方、 および民間療法が互いに無知である事です。福田稔先生は元来ばりばりの西洋医学の外科医であり、癌患者の 手術で実績を積み新潟県立病院の副院長の地位を提供されていた程の人ですが、いくら手術で癌は取っても再発 して死亡する患者の多い事に絶望して漢方医学を学びだしたら勤務していた病院やひいては医学界から追放され、 一時期深刻なうつ病にかかってしまいました。免疫学者の安保徹先生との共同研究で新たな免疫学による治療法 を確立し、頑固なうつ病も克服してメスを鍼に持ち替えて漢方的手法による癌患者の治療を行っておられます。 日本の医学教育がもっと学問に基づく自由なものであったなら福田先生の苦労はあんなに苦しいものでなくてすん だことでしょう。幸い日本の医学教育も近年東洋医学が必須科目になり、改善されつつあるようです。 ************************************** * 市吉 修 Osamu Ichiyoshi * 二十一世紀を楽しく生きよう会 * Human Network for Better 21 Century **************************************