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送信日時: 2012325日曜日 1:43

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件名: RE: 災転じて福となさむ

 

配信無用の方はお手数ですが返信願います。本MLは会員の紹介により加入する会員の自主研究会です。返信または全員へ返信により意見交換をお願いします。二十一世紀企業研究会とは「人が全国どこでも学び、生涯現役で働ける企業」を提案し研究する会です。研究しながら二十一世紀企業を始めましょう。

 

森さん、

同じ事でも異なる人が異なる方向から見るとまるで違ったものに見えるものですね。

森さんが悲観的に見ておられる日本の現状は私の見方では全く違って見えます。例えば働くより生活保護の方が収入が高いというのは社会的矛盾ですが他面から言えば至高の福祉社会の状態でしょう。その日本でも医療費や60歳以上の住民の交通費が只という英国に比べればまだ足らないとも言えそうです。

人口減少について言えばつい30年前までは人口爆発とまで言われた人口増加を恐怖の目で眺めたものです。成長の限界というローマクラブの報告書は何とかしてそれを抑えることを主張していました。今やそれが達成されると今度は逆に人口減少が悲観される。徒に悲観も楽観もせずに冷静に真実を見る必要があると思います。

シンガポールは学校の成績で国家が各人の進路を決めると聞いた事がありますが、もしそうなら私はシンガポールに生まれなくて良かったと感じています。国家の統制が強い社会は窮屈ですね。典型的なのは戦争中の日本です。男女が街中で一緒に歩いているのにも他人から軟弱云々の嫌味を言われました。淡谷のり子は戦地に慰問に行った時ステージにドレスで立ったら、戦闘服を着ろと忠告した人に対して「これが私の戦闘服なのよ」と答えて拒否したそうです。国家の統制が強い社会からはT.A.EdisonA.Einsteinのような偉大な人間は出ないと思います。

IPSTARの筆頭株主がシンガポールの会社で今の社長はそこから派遣された人ですがそのお手並みはこれから拝見です。IPSTARに働くものとして私が尊敬しているのはリスクを恐れず事業を始めた創業者とその事業をここまで育ててきた従業員であり、株式を買い占めて会社の支配権を手中にした金融業者ではありません。もちろん金融業者もリスクを取って事業をしているわけですが利益が目的だと必ず失敗すると思います。その事業によって少しでも世のためになろうと努力すれば成功するでしょう。

民主制よりも独裁制のほうが効率は良い場合もあると思いますがそれは一時的な現象です。第二次世界大戦時の日米の政府を比べるとまるで大人と子供の知恵の違いがあると思います。英語を禁じて野球でボール、ストライクまで悪し、良しなどと言い換えていた日本と、戦争開始と同時に大規模な日本研究を開始した米国の差は独裁と民主主義の差だと思います。先日日本に帰化されたドナルド・キーンさんはそのプロジェクトで輩出した日本研究者の一人です。戦後GHQを率いたDouglas MacArthurが日本人を評して15歳の子供と言った事があると父から聞きましたがそれはある程度当たっていたと思います。尤も同じ米国政府でも数年前虚偽の情報を流しては国民を騙してイラクに侵攻し、フセイン政権を倒した後に直接軍政を敷き、イスラム研究どころかイスラム系の自国民すら抑圧したBush政権に対しておそらくD. MacArthurは同様の評価をすると思います。

 

諸悪の根源は権威への盲従

ではないでしょうか。学校教育によって人がいかに類型的な思考法に染まり、権威に盲従するかはあたかも動物が調教によって如何にも素晴らしい芸を獲得するのと類似しています。このようなまやかしの生き方は原始時代にはありませんでした。というのは原始時代には「働かざるもの食うべからず」とは諺ではなく現実そのものでしたから。厳しい自然の中で生き抜くには真実の生き方しかありえませんでした。それが文明によって堕落した人間の目に如何に新鮮に映じたかはフランスの思想家J.J.ルソーに自然状態の概念を与え、米国の独立宣言を起草し後に米国の大統領も勤めたT.Jeffersonが北アメリカ東部の原住民に呈したNoble savagesの賛辞に現れています。

 

民主主義はまだ未完成

現在の民主主義はまだ殆ど間接民主主義です。これは国民が権威に盲従する状況では歴史的に成立して以来数千年続いてきた専制国家と大して変わるところはありません。

今一段の進歩は直接民主制によって達成されます。これは原始時代の人間の真実の生き方の回復です。そこに至ってはじめて生活保護者の方が労働者よりも収入が多い矛盾とか1%の人間が社会の50%の富を所有する(もし貧困が無ければそれでもOKですが)極端な格差が無くなると思います。

道州制は直接民主制の立場から見ると空中楼閣です。直接民主制の場は市町村などの基礎自治体です。これは東日本大震災で崩壊した東北地方の再生過程を見ればよく分かります。未来の希望は被災地現地にあり現地住民の自立的な努力無しには被災地の復興はありえません。それ以外の地域や国にできるのはそれを支援することだけです。

 

財界の変革

財界と言えば経団連などの大企業の集まりであり彼らが産業界の代表のような扱いを受けていますが、実態は違いますね。大企業の声が大きいことと政府の介入が日本の産業の弱体化の原因であることはエルピーダメモリの破産や東日本大震災で露になった原子力村の無能さを見れば明白です。

日本の産業を支えているのは中小企業です。中小企業が力を終結すれば日本は力強く再生します。その一例が先日創立されました。詳細は下記URLをご覧下さい。

https://enekei.jp/default/abstract

 

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      市吉 修                                Osamu Ichiyoshi                        

二十一世紀を楽しく生きよう会  Human Network for Better 21 Century  

 http://www5e.biglobe.ne.jp/~kaorin57/

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Subject: RE: 災転じて福となさむ

 

市吉さん、こんにちは。

森です。

 

「働かざる者食うべからず」という言葉が昔よく言われましたが、今や働きたくとも仕事がなかなかありません。また、ITのスキルがないと労働再生産をするほどの給料を得られないため、働くより

生活保護を受けた方が収入が多いというのが実情です。

少子高齢化で日本の人口は漸減しています。豊後高田市

http://www.city.bungotakada.oita.jp/kikaku/page_00075.html)のように婚活で

人口を増やそうとしている自治体もありますが、少子化や人口の漸減は経済的な低迷の原因ではなく結果だという考えもあります。

ローマ帝国が滅びたように、終戦から急速な経済成長を遂げた日本もDOWNTURN ECONOMYの段階に入ったのかも知れません。GDPで中国に抜かれ、個人所得はアジアでもNo.2(トップはシンガポール)、香港や韓国にも追いつかれようとしています。

しかもウサギ小屋のような家に住み、コメの輸入税が799%というように、国民は所得に見合う恩恵を享受しているとはいえません。

 

シンガポールは人口密度が高く日本同様に天然資源に恵まれていません。シンガポールは水すらなく、マレーシアとインドネシア(バタム島)からパイプラインで供給を受けています。

農産物も自給率ゼロパーセントで、インドネシアとマレーシアから食料の輸出を止められたら、3日で全国民は海外に移住せざるを得なくなります。

工場もほとんどありません。しかし金融業は栄えており、タイコムの筆頭株主であるTEMASEK HOLDINGは政府が運用している年金ファンドで毎年5%以上の着実な収益を上げているそうです。隣国との平和友好が存立の基盤であり、世界のグローバル化が繁栄の理由です。

 

道州制というのは、日本を人口500万〜2000万の道州に分けそれぞれがシンガポール

のような規模の経済を持つことと理解しています。メリットについては理解していませんが、知事や県会議員にとってはとんでもない話です。

 

大方の経済学者や評論家は円の暴落はないと言っています。ただし格下げを契機とする国債の暴落はあるかも知れません。地震学の権威の言葉を借りれば、向う4年以内に可能性が70%程度あると思っています。

 

道路や橋梁などのインフラは国民の資産ですが、造ったら必ずメンテが要ります。これを怠るとミネアポリスの橋梁の落下のような事態が必ず発生します。日本には98もの空港があるそうですが、全く採算性のない空港を無理に造っただけでなくメンテ費用まで賄えず後世に負担を負わせることは我々世代の過ちだったと思っています。

チャーチルが民主主義はベストではないがベターだと述べましたが、確かにベストではありません。シンガポールのような一党独裁の国の方がうまくいっています。

 

森 悦郎