差出人: OsI [osamu-ichiyoshi@muf.biglobe.ne.jp]

送信日時: 20131215日日曜日 23:51

宛先: 'Etsuro Mori'; '市吉修';

件名: RE: 128日に思う。;

 

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東京大空襲被害者の「人権救済申し立て」報告集会報告

前回紹介しました会合に参加しました。

この会の趣旨は下記URLをご覧下さい。

http://www.geocities.jp/jisedainitakusu/20131125-jinkenyougo.html

東京大空襲被害者が国に戦争被害の補償を求めて起こした裁判は結局最高裁で門前払いされて敗訴となりました。今回の集会はこの裁判の結果を日本弁護士会に訴え人権救済申し立てを行う活動の報告でした。国に欠陥があるので民間の団体に訴えて調査をしてもらう趣旨です。日本弁護士会が調査結果に基づき国と一般国民に勧告をする予定です。

 

日本国の欠陥

東京大空襲被害者の裁判が敗訴となった口実は同じ戦争被害でも「軍人は国と契約関係があったが一般人とは無かった」事に尽きると思います。具体的には国に一般国民に対する戦争被害を補償する法律が無いというのが原因です。三権分立とは言え司法は立法の下部にあるわけです。選挙法などでいくら違憲判決を出しても国会が真剣に選挙改革をしないのも分かりますね。

法律が無いとどうしようも無いので戦争被害者の運動は一般戦争被害者援護法の設立に向かっています。戦争孤児は国民全体から見れば少数弱者なので実現はなかなか困難だと思います。しかしこの問題は日本国の欠陥を浮き彫りにしており日本国民の全体に関係すると考えています。法律ではないにしても戦前には学校で大真面目に「子共は天皇の赤子」と教えていました。これを国の約束と国民は信じていたはずです。戦争孤児に対する日本国の無策は普通なら詐欺罪に当たるのではないでしょうか。幼い子供を残して空襲下の火炎地獄で亡くなった何十万という親御さん達に対して日本国はどの面下げて見える事ができるでしょうか。

 

西欧諸国との決定的な差

戦争被害についてはドイツ、イギリス、フランスなどにおいては軍人も一般人もまた国籍も差別せずに平等に補償しているそうです。

 

西欧諸国との差の原因

は法学の有無ではないでしょうか。西欧では中世において学問は神学についで法学の地位が高いとされました。神学もまた広い意味の法学によって論理づけられていると思います。例えば信仰も神と人の間の契約に基づいているとか。近代の民主社会の土台を据えたJ.J.ルソーの社会契約論も伝統的な神学と法学に由来していると感じられます。

これに対して日本には伝統的には法学の概念が弱く、律令も単に為政者の一方的な命令だという感じです。この伝統からすれば日本の法律は強者の論理であり弱者の切捨てになるのは自然の筋道です。日本には為政者の作る律令や式目、法度などという法律はあったけれども自然法の観念が薄いようです。自然法とは哲学ですが日本人はこれが弱いという気がします。従って日本の司法が弱き切り捨て、強きに仕える傾向があるのも頷けます。

 

江戸時代以前の日本人は違った

江戸幕府の厳しい身分制度、明治以降の学校制度における皇民教育により形成された日本人の性格がややもすると今日まで続いているのは前述の通りですが近代以前の日本人は全く違いました。鎌倉武士はご恩と奉公の関係で結ばれており恩が得られなければ奉公も無く自分に謀反するものは天皇や上皇もをも容赦なく遠隔地に流刑に処しました。この自己本位な鎌倉武士は日本人の一つの骨格を成していると思います。

 

言葉の変遷に見る日本人の性格

平安時代までは「はべり」という言葉が広く使われましたが鎌倉時代以降には廃れ、代わって「さむらふ」という言葉が普及しました。これは「そうろふ」として明治ごろまで広くつかわれました。「はべり」の語源は「這う」であり身分の下のものが高貴なお方の前に這いつくばう意味だそうです。これに対して「さむらふ」の語源は「もる、守る」から来ています。「はべり」は屈従的ですが「さむらふ」は自己の意志がこもっています。このように日本人は本来自尊心が強い民族であると思います。

先に「人」は「一つ」であり「等し」と同根だろうと述べたことがありますが、日本人は本来自尊心と平等感の強い民族だと思います。

 

今こそ日本人の本性を発揮しよう

日本人の本性は長い江戸時代の身分制度と明治以降の国家による教育制度でかなり損なわれたと感じています。戦後処理に見る日本と西欧諸国の差もそこに由来するのでしょう。戦争孤児の切捨てと軍人に対する厚遇に典型的に見られる強者に奉仕し、弱者を搾取する政治の根もそこにあると思います。現在の日本の多くの問題、中でも非正規雇用と社会格差、貧困、少子高齢化問題の根はそこにあると考えます。今こそ日本人本来の独立自尊と自由平等の精神を発揮すべき時ではないでしょうか。

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* 市吉 修   Osamu Ichiyoshi

* 二十一世紀を楽しく生きよう会

* Human Network for Better 21 Century

* http://www5e.biglobe.ne.jp/~kaorin57/

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