二十一世紀に求められる情報通信網
2004/4/7 市吉 修
1.
国内経済の停滞
悪循環
2.
問題の根は何か
2.1 世界市場の変化に立ち遅れ
(詳細略)
2.2 起業力の弱体化
a.廃業数>>創業数
b.金利ゼロでも借り手が無い。
=> 製造業から創造業への発展が必要
(詳細は省略)
2.3 技術開発力の弱体化
国内経済の停滞の原因は結局これに尽きると思う。下表参照。
我が国の1960‐70年代の高度成長を支えたのはその内の幾つかはNHKのProject‐Xでも取り上げられた数々の日本発の突破口技術(VTR, 魚群探知機、Computer,電卓、Quartz時計、トランジスターラジオ、テレビ, 新幹線、鉄道座席予約システム、高感度FM受信方式と全国マイクロ波通信、マイコン、手書き文字認識技術その他多数)であった。
過去20年間のC&C分野の技術Break‐Through
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CPU |
OS |
言語 |
応用 |
通信 |
DSP |
産業 |
日 |
Vシリーズ (NEC) |
第五世代コンピュータ TRON |
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Hi‐vision【NHK】 一太郎花子 ALADDIN StarOffice 各社LAN |
PDC i-mode |
NEC (77xx) |
カンバン方式 (トヨタ) |
米 |
Intel
|
Basic Apple MsDOS GUIUNIX Windows |
FortranCobol
Pascal Small-talk VBasicHTML JAVA C, C++ |
HTTP WORD/ ExcellGPS |
ARPANET→ InternetEthernet SNA【IBM】 DAMPS |
TI |
CALS
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欧 |
Inmos, |
Linux |
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EBU |
WEBGSM |
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Euro |
ITU |
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|
MPEG |
x.25,x.400 |
- |
- |
注)黒字下線は現在世界の主流となっているもの。
3 世界的な産業構造変化と国内問題
3.1 中国、インド、アジアの急成長
- 国内産業の中国移転
- 生産拠点から世界最大の市場へと変貌
3.2 国内の問題
- 失業率の高止まり
- 特に若年失業が高いのは問題。
- 不安定なアルバイト人口が400万人以上、数年後に500万に近づく恐れあり。
- 少子高齢化傾向の持続
- 東京一極集中と地方の過疎高齢化
- 年金他の社会保障制度の維持困難
- 巨大な財政赤字、
- 超低金利
- 現状では政策的に打つ手は少なし。
4 日本新生の実現
悪循環から好循環への転換
倒産、リストラ、廃業 不良債権処理 不良債権の増 不況
好循環
好況 生産増 総需要の伸び 個人消費の増加停滞 就業者増
好循環の実現の条件;
(1)上の太枠の項目の推進
(2)「人が全国どこでも学び、生涯現役で働ける」事業環境の整備。
求められる情報通信網の条件;
(1) 地域的、人口的な情報格差の解消が可能なこと。
(2) その上に安価かつ柔軟に事業人間網を構築可能な情報通信網であること。
5 求められる情報通信
5.1 インターネットの完全普及
(1) 全国的な普及
- 離島、山間僻地等の地理的な情報格差の解消
(2) 全国民的な普及
- 高齢者、農林漁業者、職人等、
- 若年失業者、登校拒否児童、引きこもりの人、
- 身体障害者
(3) Multicast, Broadcast機能を完備したインターネットの普及
(4) 拡張インターネット
衛星放送、地上放送、電話網(PSTN), 携帯移動通信、移動体衛星通信網等と接続する統合通信網としてのインターネット。元来インターネットとは異なる通信網を水平に接続して拡張される網際網。
拡張インターネットの構成
5.2 拡張インターネットの完全活用
拡張インターネットの応用分野一覧
利用者 |
データ配信システム |
遠隔会議、 共同作業室 |
直接衛星学園 在宅学習 |
インターネット衛星放送 |
個人 |
・電子図書館、電子博物館、電子音楽堂から絵や書物、音楽を購入。 ・遠隔地では衛星網の予約配達を利用。 * 書斎が図書室、資料室、仕事場に変わる。 |
・全国公開討論、 ・国会議員、地方議会議員立候補者の立会い演説会、 ・地域住民会議、 ・全国規模の行事に参加. |
・専門分野の最近の進歩を吸収、 ・自己の経験と研究成果を伝授、 ・生涯学習、 * 登校拒否児童に学習環境を提供 |
・国会、地方議会の審議を監視 ・個人、小企業が全国向けに発信 * 大道芸人、素人楽団、劇団の演芸、演奏等を発信。 |
中小企業、SOHO |
・電子図書館から仕事に必要な情報を取得。 |
・事業提案、 ・共同作業 ・ Project管理。 (多数の直接参加が必要な共同作業) |
・ 仕事に必要な分野の体系的学習 ・ 最新の先端技術を学習。 * 遠隔学会に参加。 |
・ 自社の特長を全国にPR. ・ 新製品のPR ・ 文化芸術後援 |
大企業 |
・ 全国の支店に全社資料を一斉配布。 ・ 社内教育資料の一斉配布。 |
・ 全国の支店間で営業会議。 ・ |
・ 社内教育に活用。 ・ 顧客に自社製品について教育訓練。 |
・ 全国に自社の直接PR. ・ 広告主として自社の間接PR. |
大学、 専門学校、 研究機関 |
・ 直接衛星学園の教材の定期配布。 ・ 特殊な文献を入手 ・ 専門分野の成果を電子図書館に蓄積。 |
・ 全国的な遠隔授業やセミナー ・ 遠隔学会 ・ 研究成果の共同事業化検討 |
・ 学園の提供主体、 ・ 学校教育を補完する教育体系。 ・ 活動範囲を地域へ拡張 |
・ 公開講座 ・ 公開実験 ・ 研究紹介 |
政府、 地方自治体、 |
・ 官報、白書、広報その他公的文書の一斉配布。 ・ 住民の要求に応じて保管文書の配信。情報公開 ・ |
・ 公的問題の公聴会、公開討論。 ・ 選挙立候補者の立会い演説会。 ・ 住民自治会議。 ・ 各種の公共講演 ・ 非常災害時通信 ・ 公開入札、公募 ・ 案件説明、 |
・ 公的な学科の公開講座。 ・ 衛生講演会 ・ 公務員教育 ・ 市民講座 ・ |
・ 公共機関の広報、 ・ 国会、地方議会の実況放送、 ・ 地域関連の定期放送(朝夕) ・ 地域関連の実況放送 ・ |
地域、団体 |
・ 各種同人誌、同好会、同窓会等の会報等、 ・ 新聞その他の報道誌の定期配布。 ・ 地域ニュースの全国配布。 |
・ NGO,NPOの全国会議、報告会、 ・ 各種団体の全国大会、共同作業。 ・ 地域問題の全国会議。 |
・ 同好会の情報交換、セミナー等。 ・ 地域特有の文化、技術、特産物の研究。 ・ 極めて特殊な分野の研究団体の活動 |
・ 地域から全国への情報発信 ・ 各種団体の成果発表会。 ・ NGOの活動広報 ・ 特殊な競技会の実況放送 |
注 下線の項目は公共性の強い通信。
6.e-Japan計画の目的を実現
拡張インターネットの完全活用によって実現可能となる我が国の姿;
l 全国どこからでも容易に全国向けに発信が可能, 多角的な情報社会が実現。
l 全国どこでも大量なデータを安価に入手、遠隔セミナー、在宅学習が可能なため、高度な知識の普及、学問研究の隆盛、伝統文化や技術の継承と発展が可能。
l 在宅でも地方議会や国会の傍聴、各種公聴会、国民会議や住民会議への遠隔参加が可能なため、民意の反映が容易になり政治の透明化、行政費用の削減が可能。
l 全国どこでも学び、働く環境が整い、起業機運が高まり、生涯現役社会が実現。
l 目的を共有する多種多様な団体が勃興、多元的な社会となる。
l 全国の中小個人企業が情報交換、事業提携して技術水準を高め、生産力を強化。
l その結果国内産業の空洞化問題が解消し国際経済の中で繁栄を持続。
分野 |
課題 |
解決 |
農山漁業と地方 |
東京一極集中と地方の過疎高齢化、財政赤字問題 |
SOHO等、新たな産業の地方展開とそれに伴う地方人口の増大により根本的に解決。更に少子化傾向も鈍化。 |
輸入農産物との価格競争 |
顔の見える市場、産地直送と地域間交流、安全性が明確な食品の供給等により国内農林漁業が競争力を回復。 |
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輸入木材による国内林業の衰退と国内外の環境破壊 |
地方人口の増加により国内市場回復。国内森林環境の保全。熱帯林、シベリア原生林の輸入量の減少により改善。 |
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BSE、不当表示など食の安全問題 |
定期的な専門セミナー、産地と消費地の交流により情報公開と製品追跡方法が進歩、食の安全を確保。 |
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減反政策による農地の荒廃 |
地方人口の増加により地元生産の競争力が復活、作物の多品種化も進み補助金依存からの脱却>>> 減反は不要 |
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原生林の消滅,杉、檜の過剰植林による花粉症公害 |
国内林業の回復と共に杉、檜の成木が伐採、利用され後に保水力に優れた広葉樹を植林、国土保全に有効。 |
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酸性雨による立ち枯れ等の環境破壊 |
地方人口の増加に伴い、Bio-Mass,木ペレット等のエネルギー自給率が向上、化石燃料の使用量減により改善。 |
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棚田、里山の復活が急務 |
地方人口の増加と地場産業の回復に伴い自然に復活。 |
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製造業 |
国際競争の激化、工場の海外移転と国内産業の空洞化 |
国内産業の高度化、海外の工場と分担する形で事業が国際的に発展、国内には研究開発工場が展開。製造方法の技術革新と有機的な事業網により国際競争力を回復。 |
国内失業率の高止まり |
在宅学習網とComputer通信網の活用により全国規模で分業が進み、起業風土が勃興し、国内失業率が低下。 |
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若年失業者が多いことによる技術の伝承の途絶 |
在宅生涯学習の普及。全国規模で多種多様な学習課程が提供され、技術と文化が伝承される。 |
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社会的問題 |
健康保険制度の保持が課題 |
生涯現役環境と衛生環境の整備により、熟年層の自立と国民の健康増進により解決。 |
年金保険制度の保持が問題 |
生涯現役が普遍化して基本的に解決。 |
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財政赤字 |
自立の風土が定着し、個人消費が堅調に増加すれば持続的な経済成長によって10年程度で解消する。 |
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特殊法人の赤字 |
郵便貯金の民営化により特殊法人は原則的に自立。 |
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幼児虐待 |
地域の人間網による子育て支援により解決する。 |
完