C&C基礎技術講座
講師 市吉 修
Computer & Communication即ち情報通信技術の基礎講座です。
内容は大学の専門課程で学んだ基礎知識と実社会で私が長年通信装置の設計に従事して得た技術知識をまとめたものです。特に有用な技術であるが、世間にあまり良い解説書が見当たらない事柄を重点的に解説しています。以下の内容は本HPの「自主問学会」に公開しているものが中心です。もし集合形式の講座の希望があれば連絡願います。
連絡先 cachumannet-education@memoad.jp
学習方法
(1) 自主問学会上に公開されている資料は自習目的に限り印刷して使用してもよろし。
(2) 上の資料を予習の上、直接講義を希望される方は連絡願います。
a. 資料は各自事前に印刷して予習をしておく事。
b. 各単元の講義は原則一時間とする。
c. 全国に出かける交通の手間と費用を考慮すればできるだけ10名以上、10単元以上かつ一日集中講議として事前に相談して計画を立てる。例えば土曜日など。
d. 首都圏の場合は参加者が5名以上であれば毎週一回でも出張可。
C&C基礎技術講座一覧
単元 番号 |
単元名称 |
概要 |
費用(円) |
基礎数学 |
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BM-1 |
複素関数論の概要 |
複素関数論の概要を解説し、応用上重要な留数定理とその定積分への応用演習を行う。 |
1,000 |
BM-2 |
行列と行列式 |
ベクトルの集まりとしての行列および行列式を物理的に分かりやすく解説する。 |
1,000 |
BM-3 |
フーリエ解析概論 |
フーリエ級数とその拡張としてフーリエ変換、ラプラス変換、Z変換の基礎と実用的に重要なDFT, FFT, DCTを解説する。 |
1,000 |
BM-4 |
波束変換 Wavelet Transform |
時間と周波数の不確定性関係からくる従来のフーリエ解析技術の限界を改良し特に画像音声の帯域圧縮に有効な技術の所以を解説する。 |
1,000 |
BM-5 |
情報理論の概要 |
1948年にC.E.Shannonが発表した「通信の数学理論」をもとに情報量、情報源の符号当たり平均情報量(エントロピー), 情報源符号化定理、通信路の通信容量、伝送路符号化定理などの基礎概念の解説を行う。 |
1,000 |
BM-6 |
応用代数学入門 |
整数論と有限体論を概説し、PN符号、暗号(特に公開鍵暗号法と鍵配信法) 及び誤り訂正技術(特にBCH符号とReed-Solomon符号)への応用を解説する。 |
1,000 |
信号伝送技術 |
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ST-An-1 |
アンテナ工学の基礎 |
無線通信工学の一環としてアンテナの基礎を解説する。アンテナ工学は電磁界物理学的基礎と回路網理論的基礎、及びδ関数に関する数学的基礎など多面的な技術である。ここではできるだけ厳密にかつ分かり易くアンテナ工学の基礎を解説する。 |
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ST-Rp |
電波伝搬の基礎 |
電波伝搬はアンテナ工学と共に無線通信の伝送技術の柱である。ここではMaxwellの電磁界の基礎方程式と並んでHuygens及びFermatの原理が重要な役割を果たす。回折問題に対するFresnel zoneの適用は特に有用である。ここでは 電波伝搬の基礎を解説する。 |
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ST-1 |
データ変復調の基礎 |
データ伝送に広く用いられるNyquistの波形伝送論と多種多様な変調方式を複素信号の乗算との観点から直交振幅変調(QAM)として統一的に解説する。受信部において符号誤り率特性に優れた同期検波復調に必要不可欠な搬送波および符号タイミング再生法について解説する。 |
1,000 |
ST-2 |
誤り訂正(1) 最尤度復号法の原理、畳み込み符号及びターボ符号の概要 |
C.E.Shannonの伝送路符号化定理の具体的な実現法としてデータ系列に距離構造を導入し、受信部において受信信号とあり得るべき候補信号との類似度を計算して相互に比較し類似度が最大の候補信号を選択する最尤度復号法の原理を解説する。符号誤り率が符号間距離によって決まる公式を導き、通信容量との関係を解説する。 その具体的な実現法として畳み込み符号とViterbi復号法、及び符号間距離を遥かに拡大する方法としてターボ復号法について解説する。 |
1,000 |
ST2-A |
符号化変調 (TCM) |
畳み込み符号は変調と一体化すれば更に大きな効果が得られる。Viterbi復号法でHamming距離に代えてEuclid距離を採用することにより一挙に3dBの改善が得られたが、さらに多値データ伝送への応用としてTCMが有効である。その概略は伝送データを二進数値として扱い上の桁は大きな変調点変位に対応させ、下の桁は畳み込み符号化によって符号間距離を拡大することにより全体として良好な誤り率特性を得る事ができる。 |
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ST-3 |
誤り訂正(2) ブロック符号 |
ブロック符号はデータ系列への距離構造の導入法として代数体の拡大法を用いる方法である。まず二審データのガロア拡大体の概要を解説し それをブロック符号に適用する巡回符号を説明する。ガロア拡大体の応用としてリードソロモン符号とその簡易版としてのBCH符号を解説する。さらにリードソロモン符号と畳み込み符号を組み合わせて極めて優れた誤り率特性を実現する連接符号とその応用について解説する。 |
1,000 |
ST-4 |
位相同期回路(PLL)入門 |
通信及び制御分野で広汎に用いられる位相同期技術を解説する。その構成、動作原理及び特性について解説する。また実用的にはじゅうようであるが解説書が少ない発振器の内部雑音による劣化の機構と解析法について解説する。 |
1,000 |
ST-5 |
Generalized Transmultiplexer (TMUX) |
トランスマルチプレクサ(TMUX)は周波数多重信号と時間多重信号の変換装置であり、初期のディジタル信号処理(DSP)の典型的な応用であった。本稿はTNUXを一般化してチャネル周波数間隔よりも広い帯域幅を実現できる一般化TMUXを解説する。またTMUXの最も簡単な形が現在ディジタル放送やADSL,無線LANなどに広く用いられているOFDM方式に他ならないことを解説する。 |
1,000 |
ST-6 |
Adaptive Interference Cancellation |
干渉問題は通信と表裏一体であり予防できない場合に最後の頼りになる解決法が干渉波相殺法である。相殺後の信号電力を最小化する最小二乗法は直感的に分かり易く広汎に用いられているが、結果として得られる特性は干渉波を取得する補助回路の特性で制限され、通常返って劣化してしまう。そこで干渉波の正確な雛形を得る為に希望波信号に関する予備知識を活用する。干渉波の正確な雛形を得るために希望波の再生信号の除去(Decision feedback) を用いれば特性の大幅改善が可能である。本講においては信号空間論を用いて上述の干渉波相殺法の動作を図式で分かり易く解説する。更に実用上重要なディジタル伝送路の等化、交差偏波干渉の相殺、無線伝送路の干渉波相殺法などについて分かり易く解説する。 |
1,000 |
ST-7 |
非線形増幅器のモデルと動作解析 |
増幅器の非線形特性は位相変調信号の特性劣化、周波数スペクトルの広がり、周波数多重信号の混変調など重要な劣化要因である。通常は実関数の入出力特性で近似計算を行うがそれではAM/PM特性の解析ができない。本講においては複素関数を用いた解析法を解説する。これによりAM/AM,だけでなくAM/PM特性を評価することができるだけでなく広汎な大振幅動作に対して現実の増幅器によく合う動作を示すことができる。 |
1,000 |
ST-8 |
チャープフィルタとその応用 |
Chirpフィルタとは時間Tの間に周波数帯域Bに渡って時間に比例して周波数を変化させるChirp信号に対して分散遅延合成処理を行い信号時間幅1/Bで振幅がTに比例するパルス圧縮動作を行う。これはレーダに最適であるが、通信においてもFDM/TDM変換への応用がある。時間圧縮パルス効果を活用して通信と測位の融合システムなどに新たな応用が期待される。 |
1,000 |
通信網技術 |
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NW-1 |
トラフィック理論の基礎 |
電話網においては呼びの生起分布がポアソン分布に従い、継続確率が指数分布に従うモデルが現実にもよく合う事が実証されており、要求される呼損率に対して最も効率的に交換網を設計する手法が確立されている。他方インターネットはパケット交換網でありその性能評価はパケットの平均到達時間と消失確率である。多数のルータを経由して目的地に到達するパケットの到達時間はアーラン分布に従い、パケット消失確率は各ルータを待ち行列としてモデル化して計算することができる。本講は通信網の設計に必要不可欠なトラフィック理論の概要を解説する。 |
1,000 |
NW-2 |
LANの概要 |
LANとはそれに接続している任意の端末から発した信号が到達する伝送路を共有する端末の集合と定義することができる。ここでは代表的なLANとしてEthernetを紹介する。LANにおいてはすべての端末が伝送路を共有するため、伝送パケットの衝突が避けられない。衝突すればパケットは消失するため伝送率、即ちスループットが低くなるばかりでなく再送が増殖して系が不安定になるおそれがある。本講においてはLANのスループット特性と安定化の機構を解説かる。 |
1,000 |
NW-3 |
インターネット入門 |
インネットはルータ、即ちパケット交換機の作る網であると定義できる。ルータは待ち行列と経路表で構成される。ルータの動作は経路表を参照して各パケットのあて先の通信網側に最短の出力端子にパケットを送出することであるが、問題はその経路表を如何に作るかである。ここではRIPとOSPFについて解説する。経路表の作成は目的の通信網(LAN)に到るルータ網の最短経路を決定することが必要であるが代表的な方法としてDijkstraの最短経路探索法を解説する。 |
1,000 |
NW-4 |
移動通信網の回線制御系の動作解析; Performance
Analysis of Signaling System of |
移動通信網においては呼びの発生ごとに通信回線を割り当て通信の終了と共に開放して空き回線とする。その動作は通常の交換機と同様でありその性能は呼損率で評価できる。更に重要な性能指標は回線接続に要する時間である。無線通信網においては回線要求回線は全端末が一つのパケット回線をランダムアクセス方式で共用する。通常Slotted ALOHA方式が用いられるが、これは一種のLANでありスループットと安定性の確保が重要な性能指標になる。また端末の呼び出しや回線付与回線など端末と通信網の間でかなり複雑な信号のやり取りが必要であり回線設定時間や失敗確率の計算が通信網の設計に必要である。ここでは移動通信網の典型的なモデルについて動作解析と設計法について解説する。 |
1,000 |
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技術英語
文献読み
今日の事業で英語は必要不可欠です。本講においては技術文献を読む訓練を行います。
例えばCE.Shannon, A mathematical theory of communication, BSTJ,1948
は通信技術者必読の書であり英語力と技術力の両面の向上に一挙両得です。
技術文書作成
受講者の技術論文や報告書の作成を指導します。
英会話
上記講義を英語で行い、質問も英語で受け、議論も英語で行います。参加者は一定の時間、英語で議論しているといつの間にか英語で考えるようになると思います。前述の講義資料
の幾つかは英文で書かれていますが、これらは英語で講義をする方がやり易いですね。
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