共成事業家連合規約
(Associated Enterprises Union Agreements )
市吉 修
2006/10/23 11/19V2
1.目的
(1) 個人の知識、能力、経験を世のために活かす事業を行う。
(2) 多数の個人が力を合わせて多様な能力を発揮し得る協働の場を提供する。
(3) 人が全国どこでも学び、生涯現役で働ける事業の場を提供する。
2.事業家連合の特長
本会は個人事業家を会員とする任意団体であり法的には法人各を持たない。従って事業主体は本会ではなく本会の会員であるが、事業を行う上での規則を確立して責任体制を明確にする為に以下の事項を規定する。
[1]目的
本会は個人事業家が事業力を強化する事を目的として合力するために結成する任意団体である。本会は法人格を持たず、共有の財産や負債も所有せず、事業主となることも無いので利潤も発生せず、従って課税もされない。他の事業体との対比を下表に示す。
会社、組合との比較
|
企業組合 |
事業協働組合 |
会社 (株式、有限) |
事業家連合 |
目的 |
働く場の確保 経営の合理化 |
組合員の経営の近代化、合理化、経済活動の機会の確保 |
利益追求 |
個人事業の強化 |
性格 |
人的結合体 |
人的結合体 |
物的結合体 |
人的連携体 |
事業 |
商業、工業、鉱業、運送業、サービス業等の事業経営 |
組合員の事業を支援する共同事業 |
定款に掲げる事業 |
会員の事業分野 |
設立要件 |
4人以上の個人が参加すること |
4人以上の事業者が参加すること |
資本金 [株];1,000万円[有];300万円 以上 |
二人以上の個人 |
組合員資格 |
個人 |
地区内の小規模事業者 |
無制限 |
個人(*) |
責任 |
有限責任 |
有限責任 |
有限責任 |
個人事業に同じ |
発起人数 |
4人以上 |
4人以上 |
一人以上 |
二人以上 |
加入 |
自由 |
自由 |
自由 |
自由 |
任意脱退 |
自由 |
自由 |
自由 |
自由 |
組合員比率 |
全従業員の1/2以上が組合員>> |
無い |
無い |
限定無し |
従事比率 |
全従業員の2/3以上>> |
無い |
無い |
限定無し |
一組合員の出資限度 |
25/100>> |
25/100>> |
無い |
限定無し |
議決権 |
平等(一人一票) |
平等(一人一票) |
一株一票 |
該当無し |
配当 |
従事分量配当及び一割までの出資配当 |
従事分量配当及び一割までの出資配当 |
出資配当 |
該当無し |
根拠法 |
中小企業等協同組合法 (制定:昭和24年) |
商法 |
該当無し |
(*)公務員、会社員、企業の経営者も個人として加入できる。
2. 構成
本会の主体は会員の個人事業家である。本会は会員の相互研鑽、研究開発、市場開拓、共同受注、共同事業の推進のための連合である。本会は法人格を持たず事業契約の当事者にはなれない。個々の事業に対する事業責任はその事業を行う実行団主幹が負う。
2-1 本部
(1) 連合本部は本部代表がこれを運営する。
(2) 連合本部(Base)はインターネット上にHPを開き世界に対する事業の窓口となると共に会員が共同で事業を遂行するための事業網(WorkNet)を提供する。
(3) 連合本部は複数存在しても良い。各本部は各代表が運営するので代表もまた複数存在し、全体として代表団を構成する。
(4) 代表団は各自の本部をリンクで結合し全体として連合本部を構成する。各本部の関係については本部の開設と閉鎖も含めて代表団が相互に協議して定める。
(5) 本部の呼称は[共通名][個別名]とする。共通名は「共成事業家連合」とする。個別名は代表各位が自分の事業理念を表現する名称をつける。
(6) 本会の会員は代表団と相談の上、自分の事業理念を表す個別名と本会の共通名を有する窓口をインターネット上に設け自営者連合共成のすべてのHPとリンクを張ることにより、新たな本部を設けることができる。
(7) このように本会は複数の本部からなる復合団体を構成する。各本部の運営はその代表が行う。代表は共通名を冠するすべての本部間にリンクを張り、連合代表団を構成して連合全体の運営を行う。
2-2 会員
(1) 人は事業家として会員の推薦により本会に入会できる。
(2) 会員は自ら行う事業については全事業責任を負う。事業責任はその事業に関係しない他の会員には波及しない。
(3) 会員は代表団の承認の下に新たな本部を開設することができる。
(4)[ 代表はその運営する本部を閉鎖する時は代表団の了解を得てリンクを解消する。
(4) 本部は相互にリンクを張り連合の共通運営を行うと共に、本会の会員に対しては事業の中心場としての機能を果たす。
3. 製品開発および事業遂行の流れ
[1] 自主問学会による生涯学問
本連合においては全国の地域に居住する会員が通信網を通じて共同事業を行う。近くに専門家がいるわけではないので本会の会員は広い分野の知識が必要である。従って在宅生涯学問網が必須となるが、本会においては「学問の本質は問うことにあり」との思想に基づき自主問学会と名づくる相互研鑽の場を提供する。自主問学会は会員の相互研鑽の場であるばかりでなく、以下に述べるように本会の事業の源泉でもある。
[2] 製品開発および事業遂行の流れ
(1)
問題提起
会員は研究に値すると思われる問題を自主問学会に公開提起する。
提起された問題について会員は公開で意見交換を行う。
(2) 研究会
その問題を本格的に研究したい会員は研究会を結成して共同研究を行う。研究会は通常非公開となるが共同研究の結果の概要は公開する。
(3) 開発団
研究会の研究結果に基づきそれを事業化したいと考える有志は共同開発のための開発団を結成して開発を行う。開発活動は非公開で行う。
(4) 製品登録
事業化の目途がつけば本部の製品一覧表に(開発中として)登録する。登録内容は
-
製品名とその仕様 (機能、性能、大きさ、重量、動作条件など)
-
技術責任者名
-
価格と納期、納入条件
-
保守、アフターサービス内容など
-
(5)
市場開拓
全国の会員は登録された製品一覧表の仕様を見て当地域で市場性ありと判断すればその製品の技術責任者と連絡を取って市場開拓を行う。
(6)
応札団
引き合いがあれば、営業責任者と技術責任者を決めて応札団を結成し、提案書を作成して受注活動を行う。
(7)
遂行団
受注したら、応札団を遂行団に格上げして営業主幹と実行主幹が責任をもって契約を遂行する。遂行団は契約された仕事を完遂し、運用開始後、保障期間(通常一年)を過ぎたら保守体制を確立した上で解散する。
4.遂行団方式自営者連合
[1]連合と会員の関係
本会の会員は本部を運営する代表も含めて個人事業者である。会員は本部が提供する事業網を通じて他の会員と連携して遂行団方式で共同事業を行う。各事業の全責任は遂行団主幹が負う。その遂行団に関与しない会員に事業責任が波及する事は無い。
本連合の会員資格は個人事業家である事である。会社員、公務員、組合員その他の企業の従業員や経営者も個人の資格で加入できる。また会員の職業分野や資格あるいは資産の高等も問わない。このようにして本連合は多種多様な職業の会員による同業者連携体であると共に異業種交流事業連携体であることもできる。
[2] 遂行団方式連合の構成
(1) C&C通信網を駆使した分散型の個人企業連合である。
(2) 全国に分散した会員は独立した事業家として他の職業との兼業も可能である。
(3) 会員は本会の協働通信網(Work-Net)の上で連携事業を行う。
(4) お客に対してはその事業の遂行団主幹が事業責任を負う。
[3]受注および事業方法
(1) 地域の営業員が顧客の引き合い情報を受けると事業通信網(Work-Net)を通じて応札の呼びかけを行う。
(2) それに応じて必要な技術を有する会員が集まって、応札団を結成する。
(3) 応札団は顧客要求を分析して、全体仕様、設計、製造、試験、納入、運営、保守を含む全体計画を確立し、費用とリスク評価を行い、提案書を作成して応札する。
(4) 受注したら本部の事業網(Work-Net) 上に遂行団(Program Office)を結成して業務を遂行する。
(5) 上記応札団と遂行団は団の発足、提案書の内容、事業の進捗状況、団の解散についてWork-Net上に定期的に(毎週)報告を公開する。
(6) 遂行団は受注と共に発足しその事業の完遂と共に解散する。
(7) 遂行団はその計画に責任を持つ営業および実行主幹(Program Officer)が中心となって遂行する。主幹は共同で遂行団本部(Program Base, PB)を形成する。
(8) 遂行団は一個の企業体として資金管理も含めて当該事業に必要なすべての事項を遂行する。
(9) 遂行団はシステム納入、運用開始後、通常一年間の保障期間が過ぎると解散する。
(10) 解散にあたり収支決算を行い関係する主幹が利益を配分する。利益に対する課税処理は会員が個人事業として行う。
(11) 遂行団の解散にあたり遂行団主幹はアフターサービス体制を確立する。連合本部の事業網HP上の遂行団のページは以後保守段階に移行する。また保守業務は連合内部の他の会員による保守遂行団(もしあれば)あるいは外部の保守専門企業に委託しても良い。通常の保守で対応できない問題の発生時には解決のために問題解決遂行団を結成して当たる。その際そのシステムを開発し、または納入した元の遂行団の主幹は本部の要請により問題解決遂行団の技術指導に当たる責任を有する。
[4]遂行団式事業の資金管理方式
(1) 売り上げあるいは契約金額Sのα=(0.1)は本部の収入U
U=αS
(2) Sのうちβ=(0.20)は営業費M
M=βS
(3) 残りが技術、生産、納入、試験、保障期間の保守費用T
T=(1-α-β)S = ( 0.7).S
基本的なシステム設計は技術主幹が行い、詳細設計、製造、試験、運搬、保守はそれぞれ組合内外の専門企業を活用する。
(4) 見積もり書の提案価格の作成順序は
お客要求の分析=> システム仕様の作成から運用、保守までの全体計画の骨子を作成
=>実行予算Tの見積もり=> 総費用見積もり;S = T / (1-α-β)の算出=> お客に提案。
(5) 既設計の商品の価格決定は次の過程で決まる。
T = 生産体系から決まる製造原価 + 技術主幹の報酬 = C (1 + γ)
S’ = T/(1 – α – β) = C . (1 + γ) / (1 – α – β)
S = 市場価格
S’ = Sとなるように市場の状況を反映して主幹が調整を行う。
(6) 資金管理は個々の事業に関しては実行団主幹が行う。
(7) 本部の運営費用は上記Uによって賄う。
実行団方式事業の構成を下図に示す。
(8) 遂行団の対応に問題がある場合にはお客は本部のお客様相談係りに苦情を申し立てることができる。本部代表は問題を指摘された遂行団主幹と話し合って問題の解決を図る。
(9)
契約書
本会の会員は本部代表も含めて個人事業家であり事業責任は遂行団主幹が負う。従って小さな事業であっても必ず契約書を作成し、事業責任の範囲を限定しておく事が必要不可欠である。発注者、受注者の特定、事業内容、納期、金額等の条件を明確にして遂行団主幹(営業および実行)が署名する。
本部代表は契約には直接関係しないが、前述の補助的役割を果たすので必ず連絡先をお客に伝えておくこと。
(10)
遂行団の事業遂行の場
遂行団主幹は遂行団の開始と共に本部HP上に事業遂行の場を設け契約の概要、日程計画、進捗状況の概要を公開すること。但し契約内容、進捗状況、知的財産等の詳細については非公開とすること。事業の詳細情報、特に問題発生状況は遂行団主幹の判断で本部代表に相談すること。
まとめ
交通通信網が未発達な段階で成立してきた従来の組織は必然的にピラミッド形の階層組織になる。一人が接触できる世界は狭すぎるため人は組織の一部として働く他に道が無い。組織に雇用されなければ即ち失業となる。団塊の世代が定年を迎えつつある現在、経済の活力と社会保障制度の維持発展には従来とは異なる事業方式の開拓が必要不可欠である。即ち人が全国どこでも学び、生涯現役で働ける二十一世紀企業の創造が急務である。
今日ではインターネットを始めする情報通信網と交通網の高度な発展によって、平坦な網状の組織が有効に機能する条件が整ってきた。瞬時に、しかも多数の関係者と大量の情報交換が可能な通信環境においては、ここで提案する事業家連合が最も有効な企業に成り得ると思う。なぜなら従来の階層組織が個人の創造性を抑圧する傾向があるのに対して、ここで提案する連合は個人の創造性を組織の力で現実化するのに最も適した組織であると思えるからである。
- 終 -