差出人:	Osamu Ichiyoshi <osamu-ichiyoshi@muf.biglobe.ne.jp>
送信日時:	2019年8月31日土曜日 14:27
宛先:	
件名:	戦争文学「アジア太平洋戦争」を読んで

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戦争文学 アジア太平洋戦争 (集英社)
を読みました。
改めて思うのはこんな恐ろしく、悲惨かつ馬鹿馬鹿しい戦争が何故起ったのかという疑問です。どの作品も忘れ難
い印象が残りますがここで報告したいのは吉村昭「手首の記憶」です。これはおそらく実話だと思います。昭和20年
8/15のポツダム宣言受領後も樺太ではソ連軍の攻撃が続き日本人は逃げ惑って山野を彷徨い多くの人々が死傷
しました。
ソ連軍が近づいて来た塔路町近くの大平という所にあった王子製紙系の炭鉱病院で最後まで患者の世話をしてい
た看護婦23名も病院を脱出して逃避行中に山中で行き詰まり集団自決をしました。結局死亡したのは婦長以下6
名で17名は死にきれず近くの製材会社の従業員に救助されました。彼女等は手首に傷跡が残りましたがそれより
遥かに深い傷が心に残り、戦後はおのおの孤立してひっそりと沈黙を守って暮らしました。もしこの物語の主人公の
新聞記者の努力が無かったならばそのまま誰に知られる事もなくこの事実は埋もれてしまった事でしょう。
樺太では他に真岡電話交換局の電話交換手の集団自決がよく知られています。誠に残念なのは後二、三日待て
ば8/25には日本軍とソ連軍の間で停戦が成立して戦闘が終わった事です。
軍人に止まらず一般住民の集団自殺は南洋の島々や沖縄ににおいても少なからず起こりました。上述の炭鉱病院
の看護婦達はまさかソ連軍も重傷患者を殺す事はないであろうと患者を病院に残して逃避行を始めたのですが
「まさか一般住民を殺す事はないであろう」と考えて病院に残ったならば皆助かったであろうと思います。
今から振り返ると不可解な当時の日本人の行動は鬼畜米英とか生きて虜囚の辱めを受けずとかの戦陣訓、即ち
戦争宣伝、propagandaの影響が大きかったのだと思います。もっと根本的には外国に対する国民の無知でしょう。
それは同時に自国に対する無知でもあります。

戦後平和の恩恵
私は小学生の頃学校で「ひめゆりの塔」という映画を見て戦争の恐ろしさに数日間怯えると同時に平和な戦後に生
まれた幸運を感謝した記憶があります。あれから60年経った今その思いはますます強まっています。
中学校で国連憲章や日本国憲法について学んだ時も基本的人権、民主主義、平和主義の原則に心から賛同し
且つ安堵しました。

戦争の根本原因
根本的には人民の「無知」が原因だと思います。戦前は国境から向こうは全く別世界であり国民は世界について
あまりに無知でした。また知識人も自らの狭い世界に閉じこもっていたと感じます。この事を反省してか、日本は
四方を海に囲まれているのでこの外国に対する、ひいては自国に対する無知、無関心を島国根性と称して私が
小学生のころは「島国根性に囚われるな」とよく言われたものです。
あのような戦争を起こすには余程国民を騙す必要があり、そのためには「大日本帝国は万世一系の天皇、これを統
治す」とする天皇主権と「天皇は神聖にして犯すべからず」という現人神、つまり王権神授説の日本版とが戦争宣伝
に絶大な効力を発揮しました。勿論皇室が政治を行える筈はなくその権威を利用して自己の野心を遂げようとした
政治屋の責任でしょう。天皇を飾りにして国政を我が物にする手法は藤原氏全盛の平安時代から「玉はこちらの手
にある」などと共謀していた討幕の志士達の活躍まで一貫して続きましたがその最大、最悪の現れが帝国主義最後
の第二次世界大戦であると思います。

最悪の?日韓関係
現在日韓関係は最悪だと言われますが本当にそうでしょうか。私達は島国根性に囚われていないでしょうか。同様
に韓国の民衆は半島根性に囚われていないでしょうか。
政府間の関係が悪いのは事実でしょうがそれに便乗して民間交流をも自粛するなどとは愚かな事だと思います。
来る10月には福岡で日韓合同衛星通信研究会、済州島で国際宇宙航空electronics研究会に参加予定です。
私はもう何回も参加してきた研究会ですので顔見知りの人も幾人かあります。政府間の関係が悪い時こそ民間交流
を進めるべきだと思います。

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* 市吉 修   Osamu Ichiyoshi                    
* 二十一世紀を楽しく生きよう会                    
* Human Network for Better 21 Century      
*  http://www5e.biglobe.ne.jp/~kaorin57/
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