差出人: O-ichi [osamu-ichiyoshi@muf.biglobe.ne.jp]

送信日時: 平成 201228日日曜日 22:41

宛先:

件名: 二十一世紀企業研究会

 

配信無用の方はお手数ですが返信願います。本MLは会員の紹介により加入する会員の自主研究会です。返信または全員へ返信により意見交換をお願いします。二十一世紀企業研究会とは「人が全国どこでも学び、生涯現役で働ける企業」を提案し研究する会です。研究しながら二十一世紀企業を始めましょう。

 

NHK記者討論「そこが知りたい」

昨晩11:40-3:00まで経済不況の現状、あるべき日本経済の将来像、環境対策についてNHKの各分野の解説委員による報告、問題提起、議論が行われました。視聴者からも3,000通近い意見が寄せられました。年金、医療、生活保護など下から国民の生活を支える社会保証制度の拡充、雇用と若年者の職歴、教育の重要性、新たな産業構造の構築と政治指導力の重要性など既に本研究会で明らかになってきた事と相通ずるものが多くありました。

 

来し方行く末

第二次世界大戦前は帝国主義の時代、戦後は米国とソ連の冷戦の時代、ソ連崩壊後は米国の唯一の超大国時代と極く大雑把に言えると思います。戦後米国からの技術導入から日本独自の技術革新に火が点き、1960-70年代は世界史に残る高度成長を遂げ、米国に次ぐ経済大国に成長しました。この頃の日本の会社はUnion Shop即ち全員正社員で労働組合員、生涯雇用、年功序列賃金でした。たいていの会社の社是は人の和でしたね。役員も一般従業員と同じ作業服を着て、大きな社員食堂で食事をしていました。仕事場も広々とした職場に新入社員から部長まで全員座って仕事をしていました。私達は米国出張の折などに技術者が個室で仕事をしているのを見て驚いた次第です。1980年代は日本の台頭によって米国の技術優位が脅かされ、米国の銀行は南米諸国に貸し付けた膨大な不良債権を抱えて今と同様の苦境に陥っていました。私が米国勤務していた1982-84年には失業率が最悪13%に達しました。今から思うと1980年代は米国が底、日本が山の時代だったと思います。貿易収支は殆どの国に対して日本の一人勝ちの状態でした。各国は日本企業の強みを探ろうとして、通産省の指導、生涯雇用、受験競争、果てはすし詰め通勤列車まで実験した位です。日本の好景気はついには住宅や株のバブルの様相を呈し、工学部の卒業生も銀行に就職したがる有様でハイテクより財テクと言われたものです。

1990年代はソ連の崩壊と米国産業の強力な復活、日本のバブル崩壊が起きました。米国の復活の牽引力はマイクロソフトとAppleに代表されるPC、シスコシステムやeBay, Amazon.comに代表されるインターネット、IntelやTexas Instrumentに代表されるマイコン等でした。日本は住宅バブルが崩壊し、不況に突入しました。ケインズ理論の生半可な理解に基づき景気刺激と称して財政出動を続け、リゾート法などで地方自治体にも箱物を奨励し、その結果として今日800兆円にも上る財政赤字を累積させて来ました。正に失われた10年ですね。この間の米国とEU及び中国とインド等の成長に比べて一人負けの感のあった日本は版を米国に取り、必死にその真似をしました。経済用語はカタカナが氾濫し、内容も生半可な消化に終わったと思います。皆さん、コーポレートガバナンスと言われて何の事か分かりますか。これを直訳して企業統治と言われても私には意味が掴めません。経営責任と言われれば読んで字の如く自明になります。エンパワーメントとかシナジー効果とかセレンディピティとか書かれてもおそらく大半の日本人には意味不明でしょう。Empowerment, Synergy effect, serendipityと書かれれば意味は明瞭です。日本語に訳す時は強化、相乗効果、幸運とか巡りあわせとか言えば意味は明確になります。日本の失われた10年の1990年代は経済学者、経営者、政治家、技術者に至るまで米国の物真似の度が過ぎたと思います。会社経営では所謂成果主義と格差の導入、年俸制、非正規雇用、正社員も管理職は一年単位の契約社員化と米国の方式を必死に導入しましたが形だけ真似してもうまく行かなかったと言わざるを得ません。それは経済競争力の国際比較で日本の地位がかっての3位から今年は19位に転落している事からも明らかです。

21世紀の始めには米国の財政は大幅に黒字化してそれをどう使うか議会で議論していました。投票率では負けていながら大統領選挙人の獲得数では勝つという奇妙奇天烈な制度で辛うじて大統領に選出されたBush政権が発足して一年目にNew Yorkで9.11テロが起きました。これに対してBush政権は所謂有志連合国を率いてアフガニスタンを攻撃し短期間にタリバン政権を打倒しました。複雑な多民族から成り歴史上戦火の絶えなかったアフガニスタンにやっと平和が来たかと思ったらBush政権はイラクに戦火を拡大しました。その結果所謂テロリストの拡散を生じ、イラク、アフガニスタンだけでなく今やパキスタン、インド、トルコ、欧州その他の国にまでテロが広がっています。のみならず火元のアフガニスタンの治安は最悪の状態になっています。その詳細は拙著「テロリストは人間ではないのか」に譲りますがBush政権の8年間は米国の失われた10年間として歴史に残ると思います。私は詳細を知りませんが金融工学なるものが一見米国の長期成長をもたらして来ました。敵対的買収(TOB)とは買収しようとする会社の資産を担保にして銀行から金を借り、その金で狙った会社の株を買い占めて会社を乗っ取る方法だそうですがそんな事が正業と言えるでしょうか。High Risk High Returnとして低所得者に高金利の金を貸せば破綻は目に見えています。 約20年間毎年3%前後の成長を続けてきた米国経済が今年破綻したのはそのバブル体質から当然の成り行きであったと思います。

それでは今後我々はどの道を目指せば良いのでしょうか。単純に昔のUnion Shop制に戻ることはできないでしょう。それは確かに高度成長の原動力として素晴らしく機能しましたが、1980年代の終りにはその限界もまた明らかになっていました。生涯雇用は一種の社会主義にも似て非効率とぬるま湯、有能な人材の囲い込み、いわば飼い殺し状態の無駄の弊害が目立っていました。この当時に立ち返れば小泉改革が米国を手本にしたのも無理からぬ政策だったとは思います。

ということは我々が目指すべき新たな世界とは従来に無い道を取らなくてはならないという事です。昨夜のNHK記者討論でその片鱗は見えていますがそれから一つの全体像を作りあげ、そこに通ずる道を探る事が必要になります。それは次回以降に提案致します。

 

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*  市吉 修   

*  二十一世紀を楽しく生きよう会

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