1日遅れだけど、気にせずに(イベント当日が11月1日でした)



「Trick or Treat」
 そんな言葉と共に、頭の上から大量のお菓子が降ってきた。
 本当に文字通りに降って来て、綱吉は腰の辺りまでお菓子に埋もれた。
 まさか本当にお菓子に埋もれるなんて体験をするとは夢にも思わず、綱吉は少しの間呆然とする。
 目の前には、そんな綱吉を淡々と見つめるご先祖様。
 お菓子を頭上から大量に降らせてくれたボンゴレの初代大空。
 お菓子をくれなきゃいたずらするぞ、と言った本人がお菓子を持ってきた。
 イベントの趣旨は分かっているのだろうか。
 とりあえず綱吉はお菓子を1つ拾って手渡した。
 受け取る彼の表情は動かない。
 でも多分満足したのだろう、1つ頷いた。
「あの…、それでこのお菓子は…。」
 きょとりと初代は瞬きをする。
 そして片手を軽く上げた。
 またお菓子が降る。
「ちがっ、違います!足りないって言うわけじゃないんです!!」
 手を下せばお菓子は止まった。
 一体何処から誰が降らせているんだろう。
 何処かは分からないが、きっと降らせているのは初代嵐の人だろう。
 いつもの事だけどあの人も大変だなぁ、と空を見上げた。
「………、何この有様。」
「あ、雲雀さん!ダメです、今来たら!!」
「え?」
「Trick or Treat」
 何かの呪文のようだ。
 またしてもお菓子が降る。
 今度は雲雀の上に。
 お菓子に埋もれた雲雀は呆然とする。
 それはそうだろう、綱吉だって同じ気持ちだ。
 無表情にお菓子をもらう側の台詞を言って、お菓子を降らせるのだから。
 多分彼は純粋にイベントを楽しんでいるだけなんだろうけれど。
「………、何これ。喧嘩売っているなら買うよ?」
「すみません、雲雀さん!オレのせいじゃないけど、オレの先祖がすみません!」
「………、おかしいな…。」
「何がですか!?」
「私の雲は喜んだのに。」
 ポツリと呟かれた爆弾発言。
 綱吉も雲雀も固まる。
 初代雲の人って一体…、と困惑したが、あれは喜んでいたのではなく唖然としていたんですよ、と何処からか初代嵐の人の声。
 誤解を解いてくれてありがとうございます。
 そして本当にいつもご苦労さまです。
「ああ。」
 考え込んでいた初代は手を叩く。
 そして何処からかクラッカーを取り出して、やっぱり無表情に紐を引いた。
「Happy Birthday」
「だからそうじゃないんです!しかもオレの誕生日は半月前だし、雲雀さんにいたっては半年も前です!」
 綱吉は泣きたい気持ちで叫んだ。
 初代はやっぱりきょとりとしていた。





□ END □

 2010.02.10
 初代は無表情に意味不明な事をする人だといいな、と思って書いたら、こんな有様になったという…





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