「加山雄三さんと東海岸小学校校歌」

 (ハーモニアスちがさき 7月)

茅ヶ崎のケーブルTVで7月に放送された、「ハーモニアスちがさき」という番組での「加山雄三さんと東海岸小学校校歌」のレポートをしました。
”千夏パパ&ママ”さんから、情報ご提供いただきました。
ありがとうございました。

茅ヶ崎市に、一歳半から32年間暮らしていた加山雄三さんに市民栄誉賞が贈られることになり、7月1日その授与式が東海岸小学校で行われました。
加山さんはこれまで、地元茅ヶ崎市に様々な形で貢献されました。その数ある地域貢献の一つとして、茅ヶ崎市立東海岸小学校の校歌作曲があります。
市民栄誉賞が授与されたこの日、東海岸小学校には、創立30周年を記念して校歌の歌碑が完成、除幕式が行われ、加山さんもその式に出席していただきました。

30年前に創立された東海岸小学校、その校歌の作曲を、当時すでに大スターだった加山雄三さんに、頼もうと決めたのは、東海岸小学校初代校長の青木先生でした。

校歌作曲を加山雄三さんにお願いした時の青木校長の思い

青木校長先生)
今までにない、素晴らしい校歌を作ってほしい。加山雄三ならば、素晴らしい斬新な校歌になるだろうと。もうひとつは、加山雄三が海が大好き、目の前に烏帽子岩がある、お母さんと泳いでそこまで行ったとか、カヌーを自分で作ってあそこまで行ったとかね。東海岸小学校の子供たちを、そういう加山雄三と同じように育てたいと思った。それでね、ピッタリの校歌を作ってくれるに相応しい人だと思ってお願いしました。

青木校長先生

(歌碑の除幕式の様子が流されました。)

司会)
ただいまより、東海岸小学校歌碑の除幕式を行います。
東小校歌を愛する会代表挨拶。
代表者)
本日はお忙しい中、皆さんお足をお運びいただいてありがとうございます。校長先生は私達に、いつの日か
恩返しに歌碑を作りたいとおっしゃいました。それから、念願かなって30年経ちましたけれども、歌碑を立てることができました。素晴らしい校歌を、加山さん、ありがとうございました。
司会)
ここで、お披露目したいと思います。一、二の三どうぞ!皆さん、拍手をお願いします。ありがとうございました。

(加山さんを含めた数人で、紐を引っ張ってお披露目されました。)

除幕式の会場へ向かう加山さん。 左から、校長先生、茅ヶ崎市長
そして加山さん
(校歌が流れます。加山さん収録の「杉並児童合唱団バージョン」)

この校歌の作曲者名”弾厚作”は、加山雄三さんの作曲家としてのペンネーム。作詞家、岩谷時子さんとのゴールデンコンビで、数々のヒット曲を生み出してきました。

加山雄三さんに校歌作曲をお願いした時のエピソード
青木校長先生)
加山プロダクション、事務所にね、電話してみました。そしたらね、前にも後にも、そういうのは作ったことがないからということで断られちゃったんです。皆さん、無理だよって囁かれはじめまして。そうだ、直接ね、本人に一度も聞いてないんだから、本人に伝わるような方法を考えようと。もう一回アタックしてみようということで、考えついたのが「親展」で加山雄三に手紙を出すことを考えついた。
加山さんへ送った手紙(コピー)
誠心誠意、心を込めて、思いの丈をその親展の手紙に書き綴りました。そしたら、一週間か10日後くらいでしょうか。ある日、突然ね、学校に、私宛に「加山雄三です」ということで、電話があったんです。飛び上がるような気持ちで、電話に出たら、
「加山雄三です。校長先生から依頼のあった校歌、作らせていただきます。」と、その電話で、即そういう返事をいただけたんですよ。飛び上がるほど嬉しかったです。今でもその瞬間のね、
ワクワクドキドキ、飛び上がって、みんなにね、「加山雄三から電話でね、校歌を作ってくれるぞお!電話があったー!」って。その時の感動は今でも忘れられません。
このとき、新設校として校歌を製作する予算は30万円。
そのことを加山さんへ告げると、加山さんはお金の心配は一切いらない、
かかる費用や作詞の料金についても、加山さんの負担で作ってくれると言っていただけたそうです。
東海岸小学校校歌が出来た時のエピソード

青木校長先生)
一切のそういう心配はいりませんということで、それ以上に予算の30万円までも学校に寄付いたしますと。ほんとに申し訳なくて、そこまで気を使っていただいて、ありがたいと思いました。
その30万円で、加山雄三文庫をお礼の印に、非常にささやかだけど気持ちとして作りました。(写真は「加山雄三文庫」)。

加山雄三文庫は、東海岸小学校の生徒児童たちが、加山さんのように何でも知っている、博識な大人に育ってほしいという思いを込めて、揃えられた百科事典です。また、校歌製作にあたっては、作詞の岩谷時子さん本人も取材をしに来てくれました。

青木校長先生)
ここへお見えになって、茅ヶ崎の海をご覧になったり、特に印象に残っているのは、「校長先生として、歌詞に入れたい言葉がございませんか」って。物静かにおっしゃるんですよね、私即言いました。「自由と優しさを入れてください」って。そうしましたらものの見事に、3番に入れていただいて、さすが岩谷時子さんと思いましたね。
それからが大変なんですよ。
杉並児童合唱団の合唱を、オーケストラの伴奏でテープに吹き込んだものを持ってきていただいたり、校歌の発表会をする段取りになって、岩谷時子さんは出席していただけたんですが、加山雄三さんはギリシャへロケに行って、出席できないというメッセージがテープに入れて届けていただいた。

加山さんのメッセージ
生徒の皆さん、こんにちは、加山雄三です。
この度、青木校長先生から、学校の校歌を作ってくださいというお話がありました。
3ケ月間くらい、いろいろ、どんな歌を作ったら良いか悩みまして、そしてやっと出来上がって、今日本日、皆さんにお披露目するということだそうですが、僕が参加できないのはとても残念です。
(中略)
卒業されていく6年生は、卒業の間際にしか歌えなかったかもしれません。でも、必ず良い思い出になると思います。それからもちろん、1年生、2年生、これから何かというと校歌を歌う時がたくさんあると思います。きっと良い思い出になるとおもいますので、どうかみなさんで大事に、この歌を愛してやっていただきたいと思います。
それでは、ありがとうございました。
歌詞にいれられた
「自由と優しさ」
加山さんから学校へ送られてきた譜面と合唱のテープ
そして校歌が出来てから30年、この日校歌の歌碑が出来上がりました。

司会)加山雄三さんから、お言葉をいただきたいと思います。
(歌碑を前にして、加山さんが挨拶されました。)

校歌を頼まれたときには、実は、校歌というものは作ったことはないし、非常に責任が重いなあということで、気が重くて、なかなかいい返事をできなかったんです。
青木先生の物凄い情熱で手紙をいただきまして、これはもうお引き受けするしかないなという気持ちに
なりました。そして、茅ヶ崎というところで育ったおかげで、現在の僕があるということをつくづく思っております。

歌碑の前で挨拶する加山さん
湘南の地が大変好きであります。その感謝の気持ちを、育んでくれた恩に報いるために、全力で作らせていただきたいとお伝えしたところ、大変喜んでいただきまして。感謝の気持ちと、みんなが心豊かで、明るく未来を築いていただきたい、そして自然に恵まれたこの茅ヶ崎という地に、育まれた若い人たちの将来を、心豊かなものになってもらえればという気持ちを込めて、作らせていただきました。
この除幕式ができたということを、ほんとに嬉しく思います。烏帽子岩も入ってるし、たいしたもんだなあと思いますが、ここに譜面が入ってないのがちょっと残念ですが。ハッハッハッハ。
立派な物が出来たことを、心から感謝しますと同時に、益々皆さんが発展されることを心から祈念します。ありがとうございました。
(そして校歌を歌ってくれた生徒に、加山さんが挨拶されました。)

ほんとに元気よく、校歌を歌ってくれてありがとう。ほんとに感動しました。やはり自分が育った茅ヶ崎に、感謝の気持ちを持っているもんで、「ようし、じゃあ作ろう!」一所懸命作りました。でも、これでよかったのかなあ?どうなんだろう?そんな気持ちでいたんですけども、今日みんながあんなに元気よく、歌ってくれたのを初めて聴いて、もう涙が出てきました。すごく嬉しかったです。感動しました。

生徒に優しく話す加山さん
みんな良く覚えてくれて、音程もいいし、上手だねえ、ビックリしました。ノリもいいし、あらためて作ってよかったなあと思いました。
こうして、たくさんの思いが込められて出来上がった校歌。
いつまでも大切に歌い継がれることでしょう。

(終わり)

10年08月05日新設