「NY かわら版」

2008年10月11日

梓真悠子、池端えみに聞く

BOUT NO.21

〜加山ファミリーその2〜

本紙発行人がNYで出会った人達とストリートファイト”対談”

 先週号に引き続いての加山ファミリー特集。今週はお2人の娘さん、料理研究家として活躍する長女・梓真悠子さんと、ニューヨーク在住で女優として活躍する次女・池端えみさんを中心にお話を伺った。そして話題はその場にいらっしゃらなかった2人の息子さん、作曲家、映像作家の池端信宏さん、俳優の山下徹大さんまで及んでいった。

NJの別邸に家族でくつろぐ

完全プライベートに密着

司会)真悠子さんのブログ拝見しました。えみさんと一緒にマンハッタンにショッピングに行かれた事をすごく楽しそうに書かれていらっゃいましたよね。

真悠子)はい。2人一緒っていうのは最近あまりチャンスがなくて。

えみ)日本だと姉は子供がいるのでなかなかショッピングには行けないんです。だから今回は久々に一緒に行く事ができたのでうれしかったですね。

司会)真悠子さんはお料理研究家として日本のテレビでも活躍されていらっしゃいますが、やはりこちらに滞在されている間の時間は日本の仕事にとっていい刺激になりますか。

真悠子)そうですね、ウィンドーショッピングするときでも、やっぱり家具1つ、食器1つとっても全然日本と違うセンスだったりするのでそういった物を見て回るだけで楽しいですね。日本に持ち帰ると(料理教室の)生徒さんにこれどこで買ったんですかって聞かれたりして。いろいろ刺激になるみたいです。

司会)なるほど。今後はどのような料理研究家になりたいでしょう。

真悠子)今後はお料理の本とかも出していきたいですね。でもお料理だけでなく結婚前にやっていた女優業にも力を入れていきたいなとは思っているんです。思ってはいるんですが子育てもまだまだ真っ最中なので、母としても成長していきたいなって、そんな感じですね。

司会)お料理の道に進まれたきっかけはやはりお母さまの影響もありましたか。

真悠子)そうですね。もちろんありましたね。

(さえぎって)いや、もともと僕が好きなんで僕のね、影響なんだよ。創作料理とか、アイデア料理を考えるのがすごく好きでね。でも彼女(真悠子)は普通、家庭では味わえないようなアイデア料理を(家庭で作れるように)教室で教えているから大したもんだよな。

真悠子)教室では最初にデモンストレーションして分からなかったら質問をしてもらって、って感じです。包丁はこう持たせてとか、切り方はこうじゃなきゃ駄目とかじゃないんです。あくまで会話を楽しんでもらって、リラックスして、出来た料理も食べてもらって、でついでに料理も覚えてもらって帰っていただく、そんな料理教室なんです。

司会)食べるのが専門で料理教室なんて自分の人生に全く関係ないと思ってましたが、今の話を聞くと通いたくなりますね。

真悠子)男性の方もたくさんいらっしゃいますね。

  ◇  ◇  ◇ 

司会)昨年の10月にえみさんの舞台を、拝見させていただきました。「アイアンド、ユー、あんどヒーあんど・・・」。

えみ)「I and Me & You and I」です(笑)。

司会)本当に素晴らしかったです。(タイトル忘れてたくせに)

そうなの?

司会)で(共演の)山村美智さんにインタビューさせていただいた時に、山村さんも絶賛されていらっしゃったんですよ、えみさんの事。

俺1回も見てない。

司会)舞台の途中から、中身の違う人間になる設定だったんですが、本当に全くの別人になってました。

ヘー、そうなんだ。

司会)でも、アレだけの長セリフの2人芝居って、今まで経験された事は・・・。

えみ)全くないです。全くないまま2週間で8公演。

司会)長いですよね。大変だったと思いますが。

えみ)そうですね。でももっとやってもよかったかなって(笑)。

司会)山村さんも同じ事おっしゃってました。真悠子さんは、観に行かれましたか。

真悠子)行きました。良かったです。演技する妹を見ていなかったんで、こんなに成長しているとは思っていなくて。会うたびに英語も上達していますしね。

司会)お母さまから、女優としてのアドバイスみたいなものはありましたか。

えみ)頑張れってことだけです。声を大きくね、ってそれくらいですね。

司会)うーん、それくらいなんですね。何か、ご両親の威光を借りてないというか・・・。あの、真悠子さんもこの世界入られたきっかけは、街でスカウトされたからですよね。

真悠子)はい、そうです。

司会)えっと、えみさんも舞台の時に、加山雄三、松本めぐみの娘だって事はプロフィールに、一言も入ってませんね。

えみ)別に隠してませんけど、特に表には出してませんね。。

司会)お2人とも「加山雄三、松本めぐみブランド」には頼られてないんですよね。今回、お話を聞いてて非常にそれを感じたんです。だけど、世間では親の七光り的に思われた事だって、今まであったと思うんですよ。

協力なんか全然してない。自分でオーデション受けろ、自分で事務所見つけろ、やりたかったら自分でやれ、ってね。私の娘ですからよろしくお願いします、なんて言った事今まで一度だってない。考えた事もなかったよ(笑)。せがれたちにも同じ。もちろん、あとでね、「あれ、加山雄三、松本めぐみの娘だってよ」って事で懇意にしてもらう事はあるにせよ、だよ。

司会)そっちの方が本物って感じがします。

今は長男がね、花火師として力をつけてきた。本当は、映像作家でCM制作とか、NHKのアニメ番組とかをしていきたいんだけど今回、長岡花火大会で、来年の大河ドラマの「天地人」が地元なんで、そのコーナーを作りたいと。そのプロデュースを、市長から直々に頼まれてね、日本一の花火大会の、だよ。その「天地人」のイメージで作曲をした上で、その曲に合わせて花火を上げていく、で、やったんですよ。もんのすごかった!日本中の花火師が、みんな集まってこんな花火見た事ないって、どうしてこんな花火が上げられるんだって言うくらい。全員が、うわーって立ち上がったと思ったら、60万人から拍手と叫びがね、あの黒柳徹子さんまでね、まあきれい、まあきれいって興奮状態になってね(笑)。今までの中で一番すごい、世界一の花火大会だってみんな感動して、涙流してたよ。

司会)お話を聞くだけで、観に行きたくなります。

来年もそのまんまやろうって、市長がね。やる気満々なんだよ(笑)。やつ(長男)は、子供のころから花火が好きで好きで、アメリカ行って免許を取って、日本でも免許を取って、世界中の花火大会を実際に見て回り、どうやったらどんな花火が出来るか研究して、業者と綿密な打合せをしてさ。そこまで自分でして、それでも個人でやってるから、みんな僕のせがれだって知らないよ。新聞に取り上げられたり、人気が出てきて、でそのうちに「加山雄三、松本めぐみの息子だってよ」ってなるんだよ。それまで、いやそこからも何もしてやったりした事ないよ。だから、とにかく自分でやんなさい、俺は知らないよって、ね。

司会)自分たちの力だけでやってられるんですね。でも、息子さんたちとは違ってお2人は女の子なんで「ちょっとお父さんなんとかしてよ」みたいな事って言われたりしないんですか(笑)。

全くないね。頼まれるのは孫の面倒くらいなもんだよ(笑)。

司会)あの、使えるモンは使った方が・・・(笑)。「あたしを誰だと思ってんのよ。加山雄三、松本めぐみの娘なんだから!」みたいな・・・。

真悠子、えみ)アハハハ、ないです。ないです。

でも、この子たちは、世間からはうらやましいと思われる事もあったと思うよ。加山雄三、松本めぐみの子供だから、何不自由なく暮らせて、とかさ。まあ、実際に子供のころは、世間で言う温室育ちだった時期もあるしね。

司会)でも僕は、おそらく息子さんたちと同世代なので、想像がつくんです。多分いい事ばっかりだったわけないんだろうなと。

父親が加山雄三であるからこそのプレッシャーも、特に男の子には相当あったと思うんですよ。もっといえば嫌だった時期もあるんじゃないかなって。

そうそう、そうそうあいつら(息子)2人ともに言われた事あるよ。どこにいっても(話題の中で)おやじが先に出て来る。正直、おやじの事が邪魔だって、ね。

司会)だからこそ、本物の実力を身につけていかれた。

そう。俺自身がそうだったから。スタートした時に、親の名前を使って当人が売れ出したら、その後の不安感っていうのはね、大変なものなんですよ。自分はどこかで修行したわけではない。実力でどこかの劇場に、立ってきたわけじゃない。だけど、もう大スターとして、にっちもさっちもいかないくらい売れちゃった。そうするとね、なにか細ーい竹ざおのてっぺんに座らされてる、いつポッキリいくか分かんない、っていうそういった不安感が、常につきまとうんですよ。

司会)はい。

それが、自分自身の実力で下積みからやってきたら、そこまでやってきた自信が出来てくる。その時こそが本物だよ、と最初から大変だってことが分かった上で苦労する。そうやって生きていく中で、つかんだ自信があれば不動の自分が確立できるんだ、と。そういう生活を味わえるなら、その方がずっといい。学校を卒業したら、そっから先は自分で苦労しろと、親の力を借りたら充実した人生というのは送れなくなる。それじゃあ駄目なんだよと。そう言い続けてきたからね。

司会)それが伝わっているから皆さん、加山さんに最初から頼らないんですね。

そうだと思うね。・・・でも、孫の面倒は頼んでくるんだよなあ。

インタビューを終えて

インタビュー終了後の撮影時、フレーム越しにのぞく「絵に描いたような幸せな家族写真」。一朝一夕ではこんな絵にならない。という事をすべてのお話を聞いた後、僕たちは知りました。この魅力あるご家族に、同行したスタッフ一同はその日、本当の意味で加山雄三、松本めぐみファンになった気がしました。

梓真悠子さん
1976年生まれ、東京都生まれで神奈川県出身。料理研究家として活躍し、同世代の主婦たちから注目されるセレブなヤングミセス。高校在学中にスカウトされ、21歳の時にNHK大河ドラマ「毛利元就」で芸能界デビュー。98年にはNHKの「ハイビジョンフラッシュ」などに出演していたが、慶應大学卒業後に結婚し、2人の男の子の母として子育てをする傍ら、自宅で両親から受け継いだ料理の腕と食のこだわりを発揮したクッキングサロンを主宰。
「やんちゃくれ」(NHK)、「らせん」(フジテレビ)、「踊るさんま御殿」
(NTV)、「ソロモン流」(テレビ東京)、「徹子の部屋」(テレビ朝日)、その他CM、報道番組、ファッション誌など多角的に活躍し、雑誌「Saita」(セブン&アイ出版)などでエッセイ執筆活動も行っている。「梓真悠子スタイリッシュサロン主宰」

池端えみさん
1978年生まれ、東京都生まれで神奈川県出身。2000年女優デビューし、ドラマ「月曜ミステリー劇場」(TBS)、「火曜サスペンス劇場」(NTV)、「涙をふいて」(CX)、映画「SF/ホイップクリーム」(瀬々敬久監督)などに出演。03年に女優修行をするためにニューヨークへ渡る。ACMEActing Lab,Acting Studio,Inc.New York Film Academy、で映画から舞台まで幅広い演技のスキルを学ぶ。映画「Wake Up and Waltz」(Dj Mendel監督)、昨年はオフブロードウエー公演2人芝居「I and Me & You and I」(Mahayana Laundowne監督)などに出演。準主役に抜擢されたハリウッド映画「The Grudge 3」のDVDが来年発売予定。現在ユニクロやVerizonの広告に登場し、ニューヨークでの女優活動を続けている。

11年02月03日新設