今日のひとりごと
プロポーズ
「僕 ばぁばと結婚したい」娘の家で夕食のとき4歳になる孫が突然そう言った
「?!」思わず箸が止まった
「だめよ、ばぁばはじいじと結婚しているから出来ないの」
求婚者のママである娘は動じる風もなく即座に答えたが じいじと結婚とは心外
結婚した相手がいつの間にか年寄りに(お互い様だが)なっただけのこと
「ね 結婚てどういうことか分かっているの?」とのママの問いには
「一緒に住むこと」と即答があり「間違ってはいないわね」と親は満更でもなさそう
その場はそれで終わったが 以来ばぁばは考え込んでいる
久しぶりのプロポーズにではなく 孫が出現したときにやたら甘い祖母にはならないぞ
と誓ったことが 守られていないのではないかと気付いたからだ
昔から山やスキーで体育会系のばぁは 4歳坊主の要求に応えてアバレンジャーにも
仮面ライダーファイズにもなる 悪役ならそれなりに戦って負けたふりもする
たまに預かれば出来る限りお相手にこれ努めるのだが それは短時間と決まっているからこそ
できることであり ひとつ屋根の下で一緒に暮らしていたらとてもこうは出来まい
パパやママは彼の要求に何パーセント応えているのだろう
ばぁばは持病があるじいじの分もと張り切っていたのだが ムリな願いを叶えてくれるばぁばは
彼にとってはちょっと都合のよい相手だったとは気付かなかった
明治生まれの私の母は 孫は11人にもいたからどの孫にも甘い顔はあまり見せなかった
可愛いからこその距離も節度も必要なのだと改めて思った求婚事件だった
9月27日 朝日新聞「ひととき」欄掲載