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図書紹介:『小惑星探査機 はやぶさの大冒険』
本書は、日本の小惑星探査機「はやぶさ」の打ち上げから地球帰還までの7年間を追ったドキュメンタリーである。 「はやぶさ」は2003年5月9日に内之浦宇宙空間観測所から打ち上げられ、地球から約3億キロ離れた小惑星「イトカワ」に着地して星のカケラを採取し、かずかずのトラブルに見舞われ、まさに満身創痍になりながらも 2010年6月13日に地球帰還を果たしました。この成功は多くの人に感動を与えました。私もその一人であり、早速本書を購入して一気に読みました。 本書の著者の山根一眞氏の本は以前に「メタルカラーの時代」を読んだことがあり、文化系出身でありながら、技術もよく理解していると感心していました。 本書は、著者が「はやぶさ」打ち上げ当初から多くの関係者に接して綿密に取材を続けた結果をまとめたものであり、技術的な解説や開発の裏話も豊富に含まれており、分かりやすくまとめられています。 「はやぶさ」は単なる機械でありながら多くの人は命を持った生き物のように感じているのではないかと思います。これは日本の伝統芸能「文楽」における人形がそれを操る人形遣いによって魂が植え付けられるのと似ている と感じました。きっと宇宙科学研究所のプロジェクトチームの方が「はやぶさ」の人形遣いなのだと思います。しかし、文楽の人形と違って「はやぶさ」は、かなり自律的に行動ができる知的人形だと思います。 技術的成果である「はやぶさ」が自分も含めた多くの人々に夢と感動を与えてくれたことに感謝します。また、「はやぶさ」の7年間の様子を詳細に伝えてくれました本書にも感謝です。 |
(2010年10月31日) |
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