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図書紹介:『進化とは何か』』

  • 著者:リチャード・ドーキンス著、吉成真由美編訳   
  • 発行所:早川書房、ページ数:246ページ
    発行日:2014年12月20日第一刷、定価:1700円+税


   宇宙的視点で見た場合、生命とは何かに興味がありますので『進化とは何かードーキング博士の特別講義―』(リチャード・ドーキング著、吉成真由美編・訳、早川書房)を読みました。
 ドーキング博士(オックスフォード大学、進化生物学)が「宇宙で育つ」(Growing up in the universe)と題して1991年に英国王立研究所で行った、子供たちを対象にした「進化」についての レクチャーを編集・翻訳し、それにインタビューを加えて1冊にまとめたものです。
 ドーキング博士は、ダーウィンが提唱した「自然選択による進化」論をベースにこの惑星で30億年という長い時間をかけて非常にゆっくりした小さな変化の積み重ねで進んできた進化の過程を分かり易く説明しています。博士は人がデザインした物と自然が作ったデザインされたように見える物体を区別し、後者を「デザイノイド」と呼んでいます。「デザイノイド」は、シンプルな基礎の上に自然選択によってゆっくりと進化して行き、非常に複雑なデザインされたような形になり、生命も生み出しました。生命の始まりは、海の中にある簡単な有機化学物質の入った濃いスープから、物理と化学の法則に従って自己複製の性質を持った分子ができ、それからダーウィン進化と生命が始まったということです。 私たちがここに存在することは実に驚くほど幸運なことで、生きとし生けるものは大方が子孫を残すことなく死んでしまうのに我々の祖先だけが運よく子孫を残してきたから我々がここに存在している。しかも永い時間を使った「進化」の過程を経て生み出された世界に生きている。私たちは延々と続く永い時間の中で、現在の一点のスポットライトに照らされた中で生きている。幸運にも与えられた貴重な時間を大切にして精一杯生きたいと思います。
(2012年12月29日)
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