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介護レポート:2005年7月度
「徘徊が再び増えてきた」

今月の生活行動状況は、徘徊が増えて6回、デイサービスは一回も行かず、食事成功率81%、入浴は1週間平均2回という状況でした。 先月に比べて、徘徊は増加、食事、入浴は改善という結果です。徘徊が増えているのは、今居るところが自分の家であるということがますます理解できなくなり、自分の家に帰ろうとすることが増えたためと思われます。 デイサービスはもう全滅状態です。しかし、定期健診には、機嫌の良いときに買い物に行こうと誘って車椅子に乗せて診療所に連れていくことに成功しました。先月からデイサービスは週1回に減らしたのですが、 これも駄目かもしれません。週1回残しているのは、月1回の定期健診を受診させたいからなのですが、今月のようにデイサービスとは無関係に機嫌の良い日時に連れて行くことを考えればもうデイサービスはなしとしていいのかも知れません。
食事、入浴が改善しているのは良いことで、これは徘徊が増えていることも合わせて肉体的な体調は良いためと思います。
徘徊実績等

最近、食事、着替え、入浴等の生活行動はすべて母の気分次第であり、その気分も何がきっかけかよく分かりませんが、突然変わることが多いです。 最悪の状態から突然、笑い出し、良い気分に変わることがあるかと思えば、非常に良い気分と思っていたら突然怒り出して最悪の状態になることもあります。 もし、これらの気分が変わるきっかけは何かということが分かれば、介護の参考になると思います。この解明の第一歩として、ある日(6月11日)の母の行動、気分の変化を全て記録して見ました。

○6月11日(土)一日の記録
土曜日を選んだのは、土曜日はヘルパさんには頼まない日であり、24時間観察できるからです。
下記記述の中で、気分(精神状態)のレベルを10段階で示しており、現状の母の通常状態をレベル0(L0)、一番良い状態をレベルプラス5(L+5)、一番悪い状態をレベルマイナス5(L-5)としました。 これは私が勝手に付けたレベルであり、各レベルの厳密な定義はしておらず、大まかな私の感じであり、大体下記の通りです。

・L+5:心が開いた状態であり、他人とコミュニケーションができ、こちらの言うこともある程度理解できる。
・L0 :母の通常の状態であり、幻聴が聞こえたとしてもそれに心を奪われることはなく、編み物などの自分のことができている状態。
・L-5:心が閉じた状態であり、幻聴が聞こえ、他人を全く寄せ付けない。この状態のときには食事などの日常生活行動はできない。
 
時刻 (レベル)気分、行動等
8:50 (L+5)起床。「随分、寝たな」と言って機嫌良く起床。着替え。
9:00 (L+5)着替え完了。畳に座り、びん止めを外し、髪を整える。
9:07 (L+5)洗顔。
9:15 (L+5)食事開始。本日の目玉は「オニオンスープ」。狙い通り「おいしいよ〜」と言って飲む。パン、卵焼き、ハム、カボチャ、スイカを食べる。ドリップコーヒーを入れて上げると「これまた、おいしいよ〜」と言って一気に飲む。
9:38 (L+5)食事完了。120%栄養になった感じ。食器を台所に運び、食器洗い開始。
9:55 (L+5)食器洗い完了。
10:00 (L+5)「新聞取って来て」と言うと郵便受けまで行くが、新聞を取らない。新聞を取って渡すとうれしそうに部屋に戻る。これで母の朝の仕事は終わり。ベッドに座り外を見ながら独り言を言っている。
10:27 (L0)「坂東さんバカだ。バカだ。」と独り言。その後も静かに外を見ている。
10:36 (L0)編み物に手が行き、毛糸いじりを始める。
10:38 (L0)私は掃除、洗濯を開始。母はベッドで毛糸巻き。
10:43 (L+3)瀬戸の花嫁などの歌を歌い始める。機嫌良い。その後、編み物開始。
10:50 (L+3)私、洗濯終了。
10:55 (L0)だんだん変な独り言になってくる。「学校やめる」「全部やめる」「返事しないで知らんふりしている」など。
11:09 (L0)しかし、悪くはならず、機嫌の良い状態に戻る。「病気全部直った」と独り言。その後も静かに経過。
12:00 (L0)昼食の準備は終わったが、編み物に集中しており、声がかけられない。機嫌は悪くないが、声をかけても無視ないしは言うことを聞かない状態。
12:48 (L-5)「私を殺す」モードへ。きっかけは、NHKテレビ「ファイト」の言い合いの場面を見たせいかも知れない。
13:30 (L-3)気分が少し明るくなる。「全部直ったよ〜」と独り言。
14:30 (L-2)自分の世界に入っているが、笑い声が聞こえる明るい状態。その後もずーっと外を見て時々笑っている。
15:30 (L-2)私、買い物へ。
15:50 (L-2)買い物から帰る。
16:20 (L0)トイレへ(小)。愛子画集を持って寄ってきたので一緒に見る。
17:00 (L-5)晩御飯ができたが、食卓につく気持ちではない。「私を殺すと言っている」と独り言。
17:22 (L-3)少し良くなる。
17:45 (L0)機嫌良く毛糸巻き。
18:10 (L+5)毛糸巻きが終わった瞬間を捉えて「こっち」と声をかけたら食卓に座り、晩御飯を食べ始めた。食べなかった昼食も半分位食べた。
18:30 (L+3)食器洗い。
18:45 (L-3)「私を殺す」モードに。「愛子さんはバカだ。愛子さんはバカだ」「殺されたら困ってしまう」、その後、ベッドで静かに独り言。
21:10 (L0)入浴を試みたが、失敗。ベッドで毛糸の巻き直しに集中。
0:45 (L-3)水を飲みに台所へ。帰りトイレへ(小)。一度、玄関から出て行ったが直ぐに戻る。
1:15 (L0)機嫌よくなる。
1:30 (L0)強引に消灯。5分後に布団にもぐり、就寝。

上記表を時間軸上で図化したもの⇒6月11日(土)一日の記録
 
○一日記録の分析
@この日の平均レベル:マイナス0.88
Aこの日の内訳(就寝時間を除く):Lプラス→144分(14%)、L0→424分(42%)、Lマイナス→432分(43%)
B良い状態(L5、L3)は、食事をしている時、歌を歌っている時など
C通常の状態(L0)は、編み物に集中している時など
D悪い状態(L-5、L-3)は、「私を殺す」「愛子さんはバカだ」などの悪い幻聴が聞こえている時など
○介護へのヒント
介護のための課題は、如何に気分の平均レベルを上げるか、であると思う。上記分析により、一つのヒントは、現実世界との係わり(食事、編み物、お金を数えるなど)を増やして上げることである。 レベルがマイナスのときには、現実世界との係わりがなくなり、自分の頭の中の仮想世界で過ごしており、その中でいろいろな幻聴が聞こえるのではないかと思う。

  ○久し振りに一緒に買い物  (2005年7月25日撮影)

○上機嫌時の母  (2005年7月27日撮影)

(2005年8月2日)
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