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介護レポート:2005年1月度
「母の気持ちの流れに従って自然に」

今年のお正月は比較的安定して過ごすことができました。母と詰め合わせたおせち料理やお雑煮を食べ、ひ孫の写真を見ながらおしゃべりをし、 好きな歌を聴き、歌い、母にとっても楽しい時間が多い正月だったように思います。 1月1日は母の87歳の誕生日でしたが、母には特に感慨はないようでした。「もうそんなに歳をとったのかい。」と言う程度でした。

徘徊は短時間を数回程度になりました。この程度は足が弱らないためにウェルカムです。(徘徊実績参照) その代わり、幻聴は相変わらず多いです。聞こえてくる内容も「愛子さんを殺す」、「私のことを怒っている」、「愛子さんはバカだ、バカだ」といった 被害者意識の、怖いものが多いです。このようなモードのときは何を言っても言うことはききませんからそっと見守るしかないです。 しかし、通常1時間程度で気分が変わり、自分の世界から出てくることが多いです。その時を狙って、食事、入浴、着替えなどを勧めます。 何がきっかけで自分の世界から出てくるのかは分かりません。時間の経過なのか、偶然目に入ったものからなのか、よく分かりませんが、徐々にではなく突然変わることが多いです。 突然、霧が晴れたように話しかけてくることもあります。ですから、絶対に悲観せずにじっと待つことです。

もう一つ妹たちで困っていることは、母がときどき「帰ってくださいモード」になることです。私にはないのです。 そうなると何を言ってもだめですから、しばらく二階に行っていたり、聞こえないふりをして黙っているしかないようです。 これはきっと心の奥底で相手が結婚した娘と言うことが分かっていて、その娘が自分の家にいることが不自然に思えるからかも知れません。

いずれにしても母の気持ちの流れに従って、無理をせずに自然に振舞っていくしかないと思っています。
 

○母との会話
(1)ある日の母とのおしゃべり
 「ここは誰の家?」
 「お母ちゃんの家だよ。」
(それで心が安定して夢がふくらんだらしく、)
 「私、何歳だっけ?」
 「87歳だよ。」
 「じゃー、もう結婚してもいい歳だね! 結婚しない人はいないものね。だんだん私にも結婚が近づいてきたね!」
 「そうだ! 明日、結婚相手を探しに行こう!」(このときの母は夢見る乙女のようです。)
 「・・・」(独り言:あしたまで覚えているかな〜。覚えていれば本当に探しに行くのかな〜。まあ、いいや、付いていってあげるから。)
 
(2)「瀬戸の花嫁」を歌っていて、
 「”父さん、母さん大事にしてね”と言うことは、父さんと母さんは死んだと思っていたが、生きているんだね!」
 「・・・」(独り言:言葉はよく理解できるけど、歌の世界と実世界と区別が付かなくなっているいるんだな・・)
 
(3)朝食に母の大好きな野菜スープ『まるごと野菜「完熟トマトのミネストローネ」』を出したとき、
   一口食べて
 「おっ、これは普通じゃないね。ものすごく美味しい。美味しいだけでなく食べやすい。」
 「体にもいいんだよ。」
 「うん。きっと体にいいよ。」
 「これ食べれば、絶対に死ぬまで生きるよ。」
 「ワッハハー。面白いことを言うんだもの、自然に笑いたくなるよ。」
 母の味覚はしっかりしています。普通のものでも「おいしい」と言って食べますが、本当においしいものを食べるときは凄く感動して食べます。そのときは表現が違います。 感動しながら食べているのを見ると、全てが栄養になっているように感じます。そのような食べ物を見つけてあげて時々出して上げることは大事なことと思います。
 
(4)夜、時間を気にして
 「今、何時?」
 「7時だよ。」
 「7時と言うことは、何時?」
 「???」(何と説明すればいいやら・・)
 
(5)縁側から見える隣の家の木を見て
 「大きくなったね。昔は小さかったのだよ。ご馳走をいっぱい食べたのかな?」
 「・・・」
 
○おしゃべり中の母  (2005年2月12日撮影)


(2005年2月17日)
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