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介護レポート:2004年10月度
「幻聴は心の叫び?」

今月も徘徊が減り、デイサービスに行きたがらないという傾向は変わりませんでした。(徘徊実績参照)  徘徊は3回でしたので、この程度の徘徊は母の健康のためにもウェルカムです。ただし、安全面だけは気を付けなければなりません。 デイサービスは一時は諦めかけたのですが、今月も12回中、6回行ったということはまだ頑張れるということです。デイサービスへ行くか行かないかは、ヘルパさんが迎えに来たときの母の気分次第で、そのときの風の吹き回しがどちらに吹くかによります。 行く気にさせるうまい方法は思いつかないのですが、少なくとも本人の心が自分の世界に閉じこもった状態ではなく、他人を受け付ける開いた状態になっていることがキーポイントのように見えます。しかし、ヘルパさんが迎えに来たときにそのような状態にしておくことはそう簡単ではありません。

 10月11月12月1月2月3月4月5月6月7月8月9月10月
合計(分)8487638551282101043024018537046535345170
回数32回28回26回31回36回12回17回12回31回18回3回8回3回
1回当り
時間
27分27分33分41分28分36分14分15分12分26分12分43分57分
1回60分
以上
3回3回6回10回3回4回0回0回1回1回0回3回1回
デイサービス
:○/計画
          9/136/126/12


最近、目立っていることは幻聴が四六時中聞こえていることです。今までも書いたことがありますが、幻聴で聞こえてくる音または内容には、@強い雨が降っているような「ザー」というような音、 A音楽、B人の話し声があります。
@の場合、本人にもうるさいらしく、「雨降っているのかい?」と聞きます。「降っていないよ」と言うと、「おかしい」と言って外へ確かめに行きます。
Aの場合、「母さんの歌」のように好きな歌の場合と下記に示します幻聴の表の中の「意味不明の言葉」にメロディーがつく場合があります。本人はそれらに合わせて指揮をしたり、一緒に歌ったりします。どちらかと言うと楽しそうです。
Bの場合、いろいろな言葉が聞こえるようです。本人は幻聴のことを「あっちの人が言っている」とか「テレビが言っている」とか「電話が言っている」とか言います。 幻聴の内容により本人の気分も影響されて、自分の世界に閉じこもったり、徘徊に出て行ったり、落ち込んだり、食事を食べなかったり、お風呂に入らなかったりしますので、悪い幻聴はできれば出てこないことが望ましいです。 そこで、幻聴についてもっと知るためにまず手始めに、幻聴で聞こえている言葉を収集してみました。(下記)

分類幻聴
殺される「殺されそう、殺されそう」、「(私を)殺す、殺す」
死ぬ「お母さんが死んだ」、「死んでしまう、死んでしまう。子供がたくさんいるのに」
怒る「怒っている、怒っている」、「うるさい、うるさい」、「バカヤロー、バカヤロー」、「お金も払わないで」、「私は何もしていないのに私が悪いと言っている」、「うそ言っている、うそ言っている」(うそなんか何も言っていないのに)、「何言ってんの、何言ってんの」
謝る「間違えました、間違えました」、「坂東愛子さんと言う人はどこも悪くないので心配しないでくださいな」
盗む「私は盗んでいないのに盗んだと言っている」
お礼「ありがとうございました」、「先生、ありがとうございました」
褒める「一等賞、一等賞」、「この人(幸一)を誉めている」
意味不明
の言葉
「タンタンタリランタンタリラン」、「タンタンタン タンタラリロン」、「チャンチャンチャラリン チャンチャラリン」、「パーマネント、パーマネント」、「バンドウ、バンドウ、バンドウヨ」
その他(タンスからいくつかの下着を出してたたみながら)「ハイ、分かりました。持って帰ります。」、「愛子さんは何を食べているのですか?」(あっちの人が病気になったので知りたいらしい)、「愛子さんと一緒」、「坂東愛子さんの給料日」

上表から幻聴の内容には、母の人生が下記のように色濃く反映されているように思います。
・子供時代のトラウマ:母親が小さい時に亡くなり、不安だった
・一人暮らしへの不安:母は現在、一人で暮らしていることはしっかり認識している
・性格:他人に迷惑をかけない、他人の世話にならない、悪いことはしないなど

幻聴がなぜ起きるのか私には分かりませんが、私の感じでは、何かのきっかけで潜在意識が働いて、潜在意識が無意識に思ったことが耳から聞こえるように思えるのではないかと言う気がします。 即ち、奥深い心の叫びなのではないか、ということです。 そうだとすれば悪い幻聴を減らすには、悪い幻聴の引き金になる言葉や環境を減らす必要があります。例えば、怖いテレビ番組を避ける、母を怒らないまたは怒られていると思わせないようにする(大きな声を出すだけで怒られていると感じることもあります)、 何事も強制しないなどが考えられます。これらを徹底することは困難と思いますが、できるだけ母が不安のない楽しい気持ちで過ごせるように努力したいと思っています。

○自分で編んだ靴下をうれしそうに履く母
  
(2004年11月5日撮影)




(2004年11月5日)

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