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介護レポート:2004年3月度
「徘徊が減って、幻聴が増えた」

今月の母の徘徊は、下表の通り合計時間、回数共に減りました。(詳細は徘徊実績に示す)  その代わり幻聴が増え、四六時中、何かが聞こえているようです。 徘徊と幻聴が関係あるのかどうかは分かりませんが、少なくとも幻聴に聞き入っている時間は座っていることが多いので徘徊を減らす 要因にはなっていると思います。

 10月11月12月1月2月3月
合計848分763分855分1282分1010分430分
回数32回28回26回31回36回12回
1回当たり時間26.5分27.3分32.9分41.3分28.1分35.8分
1回当たり60分以上の回数3回3回6回10回3回4回

徘徊と幻聴の関係を探るためにまず母の幻聴の様子について整理してみます。
母の場合、幻聴で聞こえる内容は大まかに下記3種類に分類できます。
 @雨が降っているような「ザー」という音
 Aいろいろな歌
 B誰かがしゃべっている声

@で困るのは、雨の音を確かめるために外で出ていくことです。この音は本人にとってうるさくて嫌な音のようです。 この音は体調が悪いときに聞こえることが多いようです。

Aで聞こえる歌は2種類に分けられます。第一は、自分が知っていて好きな歌、例えば「母さんの歌」、「夜明けの歌」、「小指の思い出」 などです。この歌が聞こえるときには本人はじっと聞き耳を立てて一緒に歌います。歌詞も聞こえているようです。第二は いろいろな言葉や意味不明の言葉がメロディー付で聞こえるようです。例えば、「坂東愛子と申します」とか「タンタンタリラン、タンタリラン」 などの言葉がメロディー付で聞こえるようです。母は一緒に歌いながら、指揮をとることもあります。ひどいときには1時間位繰り返し続けます。 朝食のときに始まるとそれが終わるまでご飯を食べないのでちょっと困ります。宗教のお祈りに没入している感じです。

Bでしゃべっている内容は、そのときの母の気持ちや頭の中の思考の流れに沿った内容に関係した内容です。例えば、病気に関心 が向いているときには、「坂東愛子さんという人はどこも悪くないから心配しないでください」などと耳から聞こえてくるようです。 また、聞こえてくる内容に対して、「はい」とか「ありがとうございます」などと答えていることもあります。どうも母の頭の中には 二人の自分がいて、それらがお互いに対話をして一方が無意識に耳から聞こえてくるように思えるのではないか、という気がします。

今月の母は、四六時中、上記@、A、Bのどれかの状態になっています。このために徘徊は減ったのではないかと思います。

そのほかに今月目立ったことは、テレビというものが分からなくなったことです。テレビに人が映っている場合、その人がそこの場所に 来ていると思っているようです。例えば、NHKのスタジオパークを見ているときに、たくさんの人が手を振っているのを見て 「私のためにここに来てくれてありがとうございます」と言って頭を下げます。チャンバラで悪い人がやっつけられるのを見て 「仕事を放り出して私に会いに来たので怒られてやっつけれれている。かわいそうに」などと勝手な解釈をして申し訳なさそうにします。 また、食事をしているときにアナウンサーなどがこちらを見てしゃべっていると、「恥ずかしい」と言って後ろ向きになって食事をすることがあります。

以上のいろいろなことから、母の心は今までに比べて内面に向かっているように思います。これは痴呆が進み、周りのことを理解する力 が落ちてきたためかな、とも思います。ただ、救いはこのようになっても母の明るさと生きる生命力は何ら落ちていないことです。

○母との会話
1.母の大演説
  3月28日、母はテレビを見ていると思ったら、急に立ち上がって演説を始めた。
「世の中はだんだん変わってきた。昔、女の人は着物を着ていれば良かったが、 今は洋服になってきた。今までの日本風でもいいけど外国風も考えないと笑われてしまう。皆、頭を使って昔と今が違うということを考えなければ ならない。昔は先生が言う通りにしておけば良かったが、今では各人自分が考えてやりたいようにやるのが良い。先生方も相談してそれが一番 良いと言うことになったようだ。」
「パチパチ」(拍手)

○幻聴の歌に合わせて指揮をとる母
  
(2004年3月31日撮影)


(2004年4月20日)

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