介護レポート:2004年1月度 「在宅介護のヘルパさん拒絶症への対応が成功!」
今月、母の調子は全般的には先月と変わりなく、調子は良い方でした。しかし、徘徊については、
「徘徊実績」に示すとおり、回数、時間共に今までの中で一番多かったです。60分以上の長時間の徘徊も
先月6回に対して今月は10回に増えました。増えた理由はよく分かりません。
| 10月 | 11月 | 12月 | 1月 |
合計 | 848分 | 763分 | 855分 | 1282分 |
回数 | 32回 | 28回 | 26回 | 31回 |
1回当たり時間 | 26.5分 | 27.3分 | 32.9分 | 41.3分 |
1回当たり60分以上の回数 | 3回 | 3回 | 6回 | 10回 |
先月の問題として在宅介護のヘルパさんを拒絶する問題が出てきたと書きました。今月もそれは続いています。
先月は「母の策略」に書いたとおり、母に一本取られた感じでしたが、今月は私の方が下記のように知恵を絞り、
何とかうまく行きました。まさに母と息子の知恵比べです。
在宅介護のヘルパさんが来ますと、私は「お母ちゃん、僕は2階で仕事
しているからヘルパさんとお話していてね。」と言って2階へ行きます。そうすると母は何回か2階へ上がって
来て、「知らない人が来てなかなか帰らないよ。」とか、「お宅さん(私のこと)が来るのを待っているよ。」
とか報告に来ます。私は「仕事が忙しいから行けない、と言っておいて。相手を怒らせないようにうまく言ってね。」
などと言います。母は「うん。分かった。うまく言っておく。」と言って1階へ下りて行きます。
30分もすれば1階から母とヘルパさんの笑い声が聞こえてきます。その頃を見計らって私は1階へ下りて行き、
「お母ちゃん、僕の子供のことが気になるのでちょっと家に帰って見て来るよ」と言うと、母は「親が子供のことを心配
するのは当然のことだよ。行ってらっしゃい。」と言います。そこで私は後をヘルパさんに頼んで自宅に帰ります。
このやり方で殆どうまく行くようになりました。
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○母との会話
1月10日の3回目の徘徊時の会話です。
その日は落ち着きがなく、1日で4回も出て行きました。3回目のときに母は車が比較的激しい道路に向かってどんどん歩いて行きました。
私は急いで母を通り越してその道路に先回りし、母の方を見て難しい顔をして待っていました。通常なら、そうすると母は嫌がってくるっと踵を返して
もと来た道に戻っていくのです。しかし、その日はそうせずにどんどん私に近づいてきて私に声をかけました。
母:「(北海道の)室蘭の御前水*1はどこでしょうか?」
*1 北海道・室蘭の御前水は、母が子供の頃育った場所です。
私:「ああ、御前水なら私もちょうどそちらに行くので一緒に行きましょう。」
母:「やっぱり御前水の人ですか。どうも昔会ったことがある人のような気がしてうれしく なって聞いてみたのです。」
(それから私は母と世間話をしながら母を家の方へと導いて行きました。)
母:「ここが私の家です。折角ですからお茶を一杯飲んで行きませんか?」
私:「それではご馳走になります。」
と言って二人で家に入り、私がお茶を入れました。家に入った途端に母の頭の中は元に切り替わったようで、
私がお茶を入れてもおかしいとは思わないのです。その後はいつもの通り、母は編物を、私はノートパソコンで
仕事を始めました。
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○単純計算ドリルで母の脳を鍛える試み
先日、会社時代の先輩にお会いしたときに、「音読や単純計算で痴呆症が改善するという話があるよ。」と教えてくれました。
その本は、東北大学教授 川島隆太著 『脳を鍛える大人の計算ドリル 単純計算60日』(くもん出版 1,000円)というものでした。
その本によると、12名のアルツハイマー型痴呆患者に、音読と書きを行う国語学習を1日10分、計算問題を行う算数学習を1日10分、週
2〜5日行ってもらったそうです。すると学習を行わなかった人たちは、認知機能(物事を理解したり、判断したりする能力)・
前頭葉機能(言葉を作りだしたり、行動を抑制したり、指示にしたがって行動したりする能力)共に半年の間に低下したが、学習を行った
人たちは認知機能低下の防止、前頭葉機能の改善に成功したとのことです。
そこで私は早速その本を購入し、母に試してみることにしました。まず1日目の問題100問をやってもらいました。ところが、最初の2題、
即ち、4+5= と 2×4= はできたのですが、以後、引き算全部と答えが10を超える足し算は全くできませんでした。もちろん掛け算も駄目でした。
本人はやる気十分でしたが、可哀想になって止めました。それまで私は母の計算能力がこれほど落ちているとは気がついていませんでした。
しかし、本人には「頭が良くなる訓練」と言って始めたので本人はやる気十分になっており、中止は非常に残念な顔をしていました。
そこで私はもっと単純な計算を独自に作りやってもらいました。まずは両手を使ってできる足し算にしました。しかし、片手でできる計算、例えば
1+2=、2+3= などはできましたが、5+1=は 51と答えてしまい、出来ませんでした。引き算も最初は意味が分からなかったようです。
これらは正解を丁寧に説明すると理解しました。
その後もやる気があるときに行い、現在までに4回程度やりました。その結果、当初できなかった5+1のような問題はできるようになり、
足し算、引き算については両手を使ってできる範囲の問題はできるようになりました。最近の例を下図に示します。問題は私が書き、
答えは母が書いたものです。
効果の程は今のところ分かりませんが、気のせいか問題を解いた後、何となく脳の働きが活発になっているのかな〜、という気がします。
少なくとも、数字の概念を忘れない、数字を書くことを忘れない、足し算、引き算の意味を忘れないという効果はありますので、
今後も続けてみたいと思っています。
○計算ドリルの例
(2004年2月2日撮影)
○手編み中の靴下に足を合わせる母
(2004年2月2日撮影)
靴下の最初の難しい部分は私の女房が編んであげています。また最後の部分は難しくて、最近は完成できなくなっています。
(2004年2月10日)
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