介護レポート:2003年3月度

介護レポート:2003年3月度
 「痴呆は進む、しかし母は母・・・」

今月も母の身体の調子は良かったです。しかし、痴呆の方はどうしようもなく少しずつ進んでいるように思います。 それでも母は限られた脳の機能を精一杯使って一生懸命生きていることが分かります。脳の機能が限られているのですから 異常に見える言動や行動を日常的にします。しかし、それに対して説明し、説得して間違いを分かってもらうことは不可能です。 説得は本人に理解不可能ですし、非常なストレスになるようです。ですから私たちはまず母の世界にこちらから入り、合わしてあげるようにしています。 悲しいけれど仕方がないです。それでも母の人格はしっかり残っていますから、楽しく介護できています。 介護レポートの「母との会話」には、ちょっと面白くて良い会話を載せていますが、実際には「これが痴呆だ」というような会話が 多いです。今月はそのような会話を載せてみましょう。介護するにはそのような会話も普通にできることが大事と思うからです。

○母との会話

1.一日に何回か交わす会話です。
「あなた様と私はどんな関係でしたっけ?」
「親子だよ。」
「どっちが親?」
「そちらだよ。」
「えっ? と言うことは私から生まれたということかい?」
「そうだよ。」
「親のほうが小さいのかい?」
「生まれたときは小さかったよ。」
「ああ、そうか。」

2.私が母の家に行くとまず交わされる会話です。
「急に背が伸びたね! ちょっと比べて見よう!」
 (ここで母と背比べするのです。母はこれが心からうれしそうです。)
「どうしてそんなに背が伸びたの? きっとご馳走ばかり食べたからしょう?」
「特別なものは食べていないよ。生まれつきだよ。」
「そんな筈はないでしょう。分かった!! 奥さんが栄養のあるものを作ってくれたんだ! いい奥さんでよかったね。」

3.結婚について
「おたくさんは結婚しているの?」
「しているよ。子供も二人いるよ。」
「よかったね! 私はまだ結婚してないんだ。これから相手を見つけに行いこうかな?」
「無理だよ。」
「いや〜、中には私でもいいという人がいるのではないかい? ちょっと今から探しにいってくる。直ぐ帰ってくるから心配しないでいいよ。」
 (と言って外に出て行ってしまうこともあります。そのようなときは後ろから見え隠れについて行きます。大体はその辺を一回りして帰ってくれば、もう忘れています。これも徘徊の一種かな?)

4.頭が混乱しているとき
「何がなんだか分からなくなったから、ちょっとお母さんの家に行って聞いてくる。」
「お母さんは小さいときに亡くなったからもういないよ。」
「えっ? 初めて聞いた。だれも教えてくれないなんてひどいよ。きっと私がかわそうだと思って教えてくれなかったんだね。そんな気を使う必要はないのに。」
(2003年4月23日)

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