介護レポート:2003年2月度

介護レポート:2003年2月度
 「母の入浴大作戦」

今月も母の身体の調子は良く、足が痛くなることも風邪を引くこともなく元気でした。介護する私たちも 風邪などを引くこともなく、介護は我々の日常生活の一部として組み込まれ、スムーズに流れました。 ただし、今月目立った問題点は二点あり、一点目は数回、外へ出て行くこと(徘徊?)があったこと、二点 目はお風呂になかなか入らなくなったことです。

一点目の外へ出て行く件については以下の通りです。
痴呆症などの本には、「徘徊とは、あちこちをあてどなく歩き回ること」と書いてあります。母の 場合、外へ出て行く理由を見ているとその一つ一つは母にとってすべて理由があり、又あてどなく歩き回る こともありません。例えば、「何が何だか分からなくなったからお母さんのところへ行って聞いてくる」 (お母さんは母が7才のときに亡くなっているのですが・・・)、「毛糸がなくなったから買ってくる」 (もう買い方は分からなくなっているのですが・・・)、「仕事を見つけに行く」、「結婚相手を見つけに 行く」などです。これは徘徊とは違うのではないかと思い、あるとき医者に聞いてみました。そうしたら これこそが徘徊です、と言われたことがあります。このようなときには、母は人の話は全く受け付けない 状態になっていますので、説得や説明は不可能であり、反対せずに言うとおりにさせておくしかないと 思って対応しています。しかし、道路で危なくないように一緒について行くか、それを拒絶するときには後ろから見え 隠れについて行きます。30分か1時間位歩いて帰って来ると落ち着き、関心は他に向いて外に行くことは 忘れます。

二つ目はお風呂に入ることを面倒くさがって入らないことが多くなったことです。私たちは基本的には毎日 お風呂を沸かし、出来れば母も毎日入れることにしています。今までは何とか7割程度の率でお風呂に 入れることが出来ていました。しかし、最近は面倒くさがって5割程度しか入らなくなってしまいました。妹たちが入 れるときも同様です。そこで私は母をお風呂に入れるにはどうすればいいかいろいろ工夫をし、試みてみ ました。その結果、下記のやり方で8割方うまく行くようになりました。 その方法は以下の通りです。

  1. まず、お風呂に入るための声をかけるタイミングは、晩御飯が終わり落ち着いている夜7時半から8時 ごろの間で機嫌が良さそうなときを選ぶ。
  2. 「お母ちゃん、そろそろパジャマに着替えよう。」と声をかけて、上はシャツ1枚、下はパンツ1枚 まで脱いでもらう。
  3. 次に「あとはここでは格好悪いからあっちで着替えて」とお風呂場へつれて行く。
  4. お風呂場へ行ったら、「お風呂がちょうど良く沸いているので、全部脱いでお風呂へ入ってね。」 と言う。そこで「面倒だから今日は入らない」と言っても「お風呂に入れば、痒いところもなくなり気持ち がいいよ」などと言って粘る。私は大体これで成功している。
  5. 母が入っている間は、耳を澄まして異常がないことに注意を向ける。
  6. 背中を洗ってあげるときは、母が入って5分後位にお風呂場へ行き、「背中洗うからこのタオルで 前を隠してお風呂から出てここに座って」と言って腰掛けを示す。このときのコツは、お風呂屋の三助さんの ように腕まくりをし、ズボンも膝までまくって、自信を持って少し強制的にしゃべることである。そうすれば その勢いに押されてお風呂から出てきてくれる。
  7. 次ぎに背中を石鹸を付けたタオルで洗い、後は自分で前を洗ってもらう。
以上のとおりです。背中を洗うのは今のところ1週間に1度位にしています。今月は3回試みて100% 成功しました。しばらくはこの方法で続けてみるつもりです。ただし、洗髪は私では無理なので妹たちに 任せています。

○母との会話

1.NHKテレビの「クイズ日本人の質問」で回答者がペアになっているのを見て、
「二人ずつ結婚しているのかと思ったら、 名前(苗字)が違っているので結婚相手じゃないんだね。きっと結婚相手を探しに来ているんだね。私も出ようかな。」

2.NHKテレビの「ふるさと皆様劇場」で梅沢富美男の女形を見て、
「あの人は男? 女?」
「男が女に化けているのだよ。」
「なんでそんなことをするの? きっと、出演料が安いから 出たい女の人がいないんだね。私が出てやろうかな。」

3.岸 洋子の「夜明けの歌」を聞いて、
「この人誰?」
「岸 洋子だよ。」
「まだ生きている?」
「病気で大分前に亡くなったよ。」
「あんまり歌を歌うと早く死んじゃうのかな? 私もあんまり 歌わない方がいいのかな?」
次ぎに谷村新司の「群青」を聞いて、
「この人誰?」
「谷村新司だよ。」
「まだ生きている?」
「まだ元気に歌っているよ。」
「歌うと早く死んじゃうと思ったけど、長生き出来なら 歌うことにするよ。」

4.NHKテレビ「首都圏生き生きワイド」でエステシャン養成学校の実習風景を見て、
「何しているの?」
「美人になるようにマッサージしてもらっているのだよ。」
「美人になると言っておけば、そうでない人も来るからだね。」
(2003年3月4日)

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