図書紹介:『ぼけ(老人性痴呆)が起こったら』
〜新版 アルツハイマー病、 脳血管性痴呆の介護〜


本書は、アメリカのジョンズ・ホプキンズ大学医学部が痴呆の看護の研究をするプロジェクトチームを 発足させて研究した成果として世に問うたものである。原書の初版は1981年に、改定版は1991 年に出版された。本書は改定版の日本語版である。

私が本書を最初に読んだのは、母が初期のアルツハイマー病と診断された4〜5年前である。本書に よってアルツハイマー病になるとどうなるか、そして介護はどうすればよいかなどを知った。現在、 きょうだい5人及びその配偶者で一致協力して母の自立を助ける形で介護ができているのは、本書の お陰であると思っている。最近、再び読んでみたが、正に現在の母の状況に相当する病状とそれへの 介護の参考になる内容が多数記載されており、改めて本書の正しさ、有用性を認識した。

本書は、まずプロローグで“ぼけ(老人性痴呆)とは何か”を痴呆になった患者自身はどう感じて いるか、どんな症状が起こるかを説明し、介護方法として家族こそが最良の介護者であるとしている。 第T編では、ぼけが起こったらどのような症状になり、介護者はそれらにどのように対応すれば よいかということが具体的なヒントと共に詳細に説明されている。初期段階か重病段階まで述べら れているので誰が読んでも直ぐに役に立つと思う。 第U編では、介護者とその家族への影響について問題点を広範に取り上げている。家族で引き取る 場合の家庭生活への影響、家族による介護の限界の状況判断、施設への入居、痴呆研究の現状など が説明されている。

本書は、以上の通り老人性痴呆に対する介護への具体的なヒントに満ちており、痴呆者を抱えている 人達にすばらしい指針を与えてくれるであろう。一読をお薦めする。

下記に私の心に響いている言葉の一部を本書の中から紹介する。

(2002年5月14日)

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