戻る

図書紹介:『メイヨー・クリニック アルツハイマー病』

  • 著者:メイヨー・クリニック、訳者:諸治 隆嗣  
  • 発行所:株式会社法研、ページ数:289ページ
    発行日:2005年4月15日第一刷、定価:2500円+税


本書は、全米屈指の医療機関であるメイヨー・クリニックがアルツハイマー病に関する新しい知識とその他の病因による認知症との関係を掘り下げて論じたものである。 訳者は精神神経薬理学の専門家である諸治隆嗣博士であり、非常に丁寧で分かりやすい訳とともに適宜訳者注も入っており、読者の理解を助けている。 治療と介護に関する実用的な解説も収録されているので医療・介護関係の専門家だけでなく、患者の家族にも非常に役に立つ。

本書の中の情報の多くは、メイヨー・クリニックの臨床医、精神科医、神経内科医とメイヨー・クリニックに所属するヘルスケアの専門家から直接もたらされたものである。 本書の内容は4部構成プラス「介護者のためのクイックガイド」よりなり、概要は下記のとおりである。

第1部「老化と認知症」では、正常な老化とアルツハイマー病との違い、脳はどのようにはたらき、何が故障するのかについて解説している。
第2部「アルツハイマー病を理解する」では、アルツハイマー病とはどのようなものか、その病因は何か、どのようにして診断するのかなどについて解説している。
第3部では、アルツハイマー病に治療について現在行われている治療から研究中の治療について解説している。特に、研究中の治療戦略では、治療の最先端を垣間見ることができる。
次に介護者のためのクイックガイドとして、日常生活動作、対処が難しい気分と行動、難しい問題と決断、しばしば起こる医学上の問題について述べられている。 ここに述べられている内容は、現在まさに介護を行っている人に直ぐに役に立つ内容が豊富に述べられている。
第4部「アルツハイマー病の介護」では、介護者になることはどういうことかから始まり、日々の介護の問題、長期にわたるケアをどう考えるかなどについて述べられている。

以上のとおり、本書を読むことにより、アルツハイマー病に関して、病気そのものから介護までの広い領域について最新の知識を得ることができる。 特に、今まさにアルツハイマー病の介護に関っている介護関係者や患者の家族の方々に役に立つと思う。
(2005年12月30日)
戻る